「サポート校」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?通信制高校への進学を考える際、ぜひ併せて知っておくべきなのがサポート校ですが、通信制高校との違いがわからないという方が多いかもしれません。今回は、サポート校とは何か、そして利用するメリット・デメリットについてしっかり解説していきます。通信制高校選びと一緒にサポート校を調べておくと、後から「こんな存在知らなかった!」と嘆かずに済みますよ。
サポート校とは?
サポート校とは、無事に3年間で通信制高校を卒業できるようフォローしてくれる、教育支援施設のことをいいます。自分のペースで学習を進められるのが通信制高校の魅力ですが、その自由さの裏には「自分で計画的にやらないと卒業できない」という責任も生じています。単位を取りこぼしてしまうと卒業までに4年以上かかるため、自習をうまく進める自信がない生徒は通信制高校への入学自体を躊躇してしまうことも。そんな不安を取り除いてくれるのがサポート校です。学校と同じようなイメージですが、服装・校則などのルールは最低限で厳しくはなく、比較的自由なのが特徴です。
サポート校のカリキュラムは各校によって異なるものの、少人数制やマンツーマン制をとっている場合が多く、生徒一人ひとりに寄り添ったサポート体制が築かれています。
主な支援内容は次の通りです。
- 学習計画の相談
- 単位修得の相談
- 学習内容の相談
- レポート作成のサポート
- テスト対策
- 個別カウンセリング など
通信制高校と同様に、サポート校に通う生徒も不登校やいじめの経験など、さまざまな事情を抱えている生徒が多いと考えられます。そこを十分に考慮し、すべての生徒が不安なく通えるような仕組み作りがされているのです。
通信制高校では、小中学校のように学習の内容やスケジュールが細かく決められている訳ではありません。自分のペースで自宅学習ができる方には必要ないのかもしれませんが、計画的な学習に自信がない場合は、サポート校をうまく活用するとよいでしょう。
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通信制高校とサポート校の違い
通信制高校とサポート校は同じような意味合いだと思われることがありますが、実際は全く異なるものです。
高校卒業資格を得られるか否か
まず、通信制高校と大きく異なる点は、いくらサポート校で頑張って卒業しても、通信制高校自体を卒業できなければ高校卒業資格は得られないということ。塾や予備校のテストで満点を取っても、肝心の学校のテストや入試で結果を残せなければ意味がないのと同じです。
サポート校は学校ではない
「サポート校」ときくと、学校の一つの形態のように感じますが、国から高等学校と認定されている通信制高校と違い、塾のような立ち位置になります。サポート校に入るということは、関連の通信制高校にも入学することになり、単体では通えないと認識しておきましょう。
また、運営元がどこかという点もポイントです。
主な運営機関
通信制高校(公立) | 国や地方自治体 |
通信制高校(私立) | 教育に関する学校法人 |
サポート校 | 塾や予備校などを運営する民間企業、学校法人など |
【補足】ID学園高等学校は「学校法人郁文館夢学園」という学校法人が運営元です。
サポート校によっては、学習支援だけでなく、アニメ、ダンス、音楽、ファッションといったさまざまな専門分野の知識と技術を学べるところもあります。卒業後に免許や資格が取得できたり、その業界へ就職できたりする場合も。将来を見据えて長期的に考えると、通信制高校卒業後に専門学校へ通うよりも結果として時間と費用を節約できます。
学費がそれぞれ必要
サポート校に興味があっても費用が気になりますよね。残念ながら無料で利用できる、というわけではありません。サポート校に通うには、通信制高校の学費とは別でサポート校に支払う費用がかかります。大学進学や専門コースなどメインに打ち出している特色もさまざまあり、学費や教育内容についても各校で決めることができるため、費用面も大きく変わってくるのが実情です。
利用を検討する際には、「自分に必要なサポート」「サポート校で学びたいこと」「費用」を照らし合わせながら、できる限り多くのサポート校について情報を集めるのがおすすめです。
サポート校は、通信制高校でできない部分を補いながら、レポート指導などを通じて通信制高校卒業までを二人三脚でサポートしてくれる存在です。
週に一度以上通学し、学習と支援の環境が整ったサポート校をベースと考え、単位修得に必要なスクーリング時には通信制高校へ行くというのも、活用法の一つではないでしょうか。
サポート校を利用するメリット
費用がかかるにもかかわらず、多くの生徒が通信制高校とサポート校を併用しているのには理由があります。
- 個人にあった計画を一緒に立ててくれる
- カウンセラーがメンタル面もサポートしてくれる
- オンラインや訪問でサポートしてもらえる
- 小中学校の学び直しができる
- 専門的な知識を身につけることができる
サポート校のメリットを一つずつ見ていきましょう。
個人にあった計画を一緒に立ててくれる
単位計算に時間割の作成、復習にレポート……。自由な時間がある通信制高校だからこそ、自己管理はなかなか難しいものです。サポート校では、学習計画に自信がなくても的確なアドバイスをくれるので、自分に合ったスケジュールを組むことができます。学習面でのサポートだけでなく、課題への取り組み方や生活リズムの整え方についても対応してもらえるので、精神面でも頼りになる存在です。
カウンセラーがメンタル面もサポートしてくれる
常駐カウンセラーに相談できるサポート校も多く、悩みや不安を一人で抱え込まずに解決していける環境が整っています。生徒だけでなく保護者も相談でき、ケアしてもらえるのが心強い点です。
オンラインや訪問でサポートしてもらえる
サポート校は通学制をとっているところが一般的ですが、生徒の希望にあわせて週1日~5日まで登校日の調整が可能だったり、オンライン対応をしてくれたり、自宅に講師が出向いてくれたりする場合があります。さまざまな事情を抱える生徒がいるとわかってくれているからこそ、通学自体に抵抗があっても、無理のない方法でサポート校を最大限利用できます。
小中学校の学び直しができる
サポート校の役割の一つとして、通信制高校の卒業やレポート提出を支援してくれるという点があります。繰り返しにはなりますが、通信制高校は飽くまでも高校で、高校卒業資格の取得を最終目標としています。
もちろん、通信制高校の中でも授業内容に関する質問やサポートは行われていますが、小中学校の基礎的な部分についてはカバーし切れない面も出てくるでしょう。そのような通信制高校ではやり切れない部分をサポート校が補ってくれます。
専門的な知識を身につけることができる
通信制高校では、高校卒業がまず第一の目的となります。そのような点で、就職に向けた専門的な知識・スキルやプログラミングなどの実践的な体験を提供していることが挙げられます。また、サポート校とは異なり、授業の一部を単位として数えることのできる技能連携校もあります。
サポート校のデメリット
では、良いところが多い印象のサポート校におけるデメリットは何でしょうか。
- 学費が高くなる
- 高卒資格が得られない
以上の2点が挙げられます。
学費が高くなる
先にお話したように、サポート校に入るには通信制高校とは別途で費用がかかります。通信制高校であれば、多くの家庭が就学支援金制度を利用し、学費を抑えることが可能です。一方で、サポート校は学校教育機関と国から認められていないため、残念ながら公的制度の補助を受けることができません。そのため、通信制高校の分とは別にサポート校の費用が必要となるのです。サポート校の授業料に通信制高校の学費が含まれている場合があるので、費用の内訳は事前によく確認しておきましょう。
サポート校の入学金は5~20万円ほどになることが多く、年間では30~80万円ほどになります。そのため3年間で100~300万円ほどの費用がかかる場合があります。
通常の学習・進学塾でも年間100万円ほどの費用が一般的になるので、塾代と考えると高額とは言えないでしょう。実際に高校生の学習塾利用率は50%を超えているため、一般的に見ても教育費として検討すべきとも言えます。
高校卒業資格が得られない
サポート校は、あくまでも通信制高校と併用で利用する施設であるため単体で通うことはありません。「サポート校を卒業しても、学校ではないので高校卒業資格は得られない」という点は重要なポイントです。サポート校をうまく利用して必要単位を修得し、通信制高校のスムーズな卒業を目指しましょう。
サポート校は実に多様性に富んでいます。「費用がかかるから」「通学は抵抗があるから」と諦めず、自分の要望を満たしているサポート校がないかまずは調べることをおすすめします。
まとめ
サポート校は、生徒の自主学習や自己管理をフォローし、通信制高校をスムーズに卒業できるよう最大限にサポートしてくれる場所です。学校ではないため、サポート校だけに通って高校卒業資格を得ることはできません。しかし、通信制高校のデメリットをカバーしてくれるサポート校を活用することで、より充実した毎日を送ることができます。
複数の予備校からさまざまな生徒が集まるサポート校は、気の合う仲間を見つけるきっかけの場ともなるでしょう。
通信制高校に通う際には、同時にサポート校についても調べ、費用や支援内容をよく比較しながら、自分にとって必要かどうかを検討してみてください。