小学校・中学校と学年を進めると、当然勉強の内容は難しくなっていきます。
科目によって少し異なりますが、基本的には小学校で学んだことの上に中学校の内容が、さらにその上に高校の内容が乗ってくる形です。
しかし、何らかの事情で小学校や中学校に通えなかった人もいるでしょう。
そのような人たちには、小学校と中学校の勉強の学び直しをおすすめします。
「今さら恥ずかしい」と思う人もいるかもしれませんが、高校生になって学び直しをするのはとてもいいことなのです。
今回は、小学校・中学校の学び直しが大事な理由とそのメリット、具体的な学び直しをしておくべき内容について解説します。
今から学び直しをしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 小学校・中学校の学び直しが大切な理由
- 小学校・中学校の学び直しをするメリット
- 小学校・中学校の学び直しをするデメリット
- 小学校・中学校の学び直しをする具体的な方法
- 【教科別】小学校・中学校の学び直しの効果を高めるポイント
- まとめ
小学校・中学校の学び直しが大切な理由
小学校と中学校は義務教育であるため、あえて学び直す必要があるのかと考える人もいるかもしれません。
確かに全員が小学校6年間、中学校3年間を必ず学校で過ごすようになっているため、こう考えても不思議ではないでしょう。
しかし中には、さまざまな事情で学校に通えず、小学校と中学校の学習内容がおろそかになっている人もいます。
例えば病気がちで学校にあまり通えていない、いじめなどを原因として不登校になってしまったなどのケースがそれです。
このような状況の子どもたちを救済するため、院内学級やNPOなどによる支援も行われていますが、子ども本人の感覚で学び直しが必要だと感じることもあります。
こういった事情を抱える子どもたちは、何かしらのきっかけをもとにして小中学校の学び直しをしたいと考える人が多いようです。
また、高校の授業についていけるか不安で、基礎の部分に当たる小中学校の内容をもう一度勉強し直したいという人もいます。
科目にもよりますが、基本的に勉強は積み上げ方式であるため、土台部分に当たる小中学校の勉強が不十分だと、高校の授業に影響を与える可能性もあるのです。
これらの理由から、小中学校の勉強内容を学び直すことは、非常に大切であることがわかります。
基礎の部分がしっかりしていれば、その上に積み上がるものの量も増えるため、高校に入って勉強に対する苦手意識が強くなっている人は小学校・中学校の学び直しをしてみる価値はあるでしょう。
小学校・中学校の学び直しをするメリット
小学校・中学校の学び直しをすると、次のようなメリットを実感できます。
- 高校の勉強の基礎がわかるようになる
- 資格取得などに有利になる場合がある
- 新しい発見ができる可能性がある
学び直しは、何かしらの事情で学校に通えなかった子どもがするものという先入観を持たれがちです。
しかし、普通に学校に行けている子どもでも、小中学校の勉強内容を学び直してみると、さまざまなメリットを発見できるかもしれません。
高校の勉強の基礎がわかるようになる
繰り返しになりますが、高校の勉強は小中学校の積み重ねの上に成立しています。
つまり小中学校の内容が理解できていないと、高校の勉強がわからなくなってしまう可能性があるのです。
特に基礎の部分でつまずいてしまうと、当然その後の応用問題や発展問題を解くことはできません。
高校の勉強では、小中学校で学んだ内容が基礎として出てくるため、高校に入ってつまずかないようにするためにも学び直しは必要なのです。
基礎が理解できていれば、その後に続く応用問題や発展問題、大学入試の問題にも対応できるようになるでしょう。
科目によって異なりますが、特に英語や算数・数学は小中学校からの積み重ねの傾向が強いため、この2科目に対して苦手意識があるという人は、ぜひ学び直ししてみることをおすすめします。
資格取得などに有利になる場合がある
高校卒業後、進学せずに社会人になるという人も含めて、学び直しをすることで資格取得などが有利になる可能性はあります。
一般的に資格と言うと専門知識が求められるイメージがありますが、中には小中学校の時に学習した内容で対応できる場合もあります。
特に計算や国語・英語などの言語系の科目は、資格取得のために出題される問題が小中学校で学習した内容というケースも珍しくありません。
受験する級や資格の内容にもよりますが、小中学校の学び直しをして不利に働くケースというのはないでしょう。
例えば、公務員試験の問題では、基本の計算を問われる問題もあります。
応用問題などの出題はないため、小中学校の学び直しである程度対応できるかもしれません。
このような意味でも、進学・就職に関わらず小中学校の学び直しは有利に働く可能性があるのです。
新しい発見ができる可能性がある
小中学校の学び直しをしていく過程で、新たな発見がある可能性も考えられます。
学校で学習する内容は教科書によって大きく変わるほか、4年に一度行われる学習指導要領の改定で、今まで習っていなかったことが追加されている可能性もあるためです。
また、習っていたのに忘れてしまっていたことや、そもそも覚えきれなかったことが、改めて学び直してみると自分の知識につながる可能性もあります。
中には、小中学生時代は苦手だったものでも、学び直してみることで得意になるケースもあるでしょう。
人によるため一概には言えませんが、学び直しをすることで新しい発見ができる可能性があるのは事実です。
言い換えれば復習ですが、気持ちの持ち方として、新しいことを学べるかもしれないよという心構えで臨むのもありかもしれません。
小学校・中学校の学び直しをするデメリット
小学校・中学校の学び直しをする上でデメリットになることは、主に次の2つです。
- 学校の勉強と並行して学び直す必要がある
- 自学自習で学び直す場合、自分で解決する力が必要になる
特に高校生にとって大きなハードルになるのが、学び直しをする時間です。
高校生になって学校の勉強もしなければならない中で、それらに加えて学び直しをする時間を作る必要があります。
高校の授業の復習・予習の時間と学び直しの時間を確保しなければならないため、1日のスケジュールを見直さなければならないかもしれません。
また、学び直しの場合は自学自習になる場合がほとんどであるため、疑問に思ったことを自分の力で解決する力がある程度必要になります。
後述しますが、参考書を購入したり通信教育などの方法と併用して勉強すると、より高い効果が得られるでしょう。
選択肢によっては費用がかかることもあるため、親御さんとの相談も視野に入れた方がいいかもしれません。
小学校・中学校の学び直しをする具体的な方法
学び直しは、学生だけではなく社会人からも注目を浴びています。
リカレント教育や生涯学習という言葉が流行っていることからもわかる通り、何度も繰り返し学んだり、一生何かを学び続けるという姿勢が浸透しつつあります。
そのため、小学校・中学校の学び直しができる機会は非常に多くなりました。主な方法としては次の4つが考えられます。
- 参考書で学ぶ
- 通信教育などで学ぶ
- YouTubeなどで学ぶ
- 夜間中学校に通う
それぞれ特徴が異なるため、どれが自分に適しているのか試せる場合は試してみてもいいでしょう。
自分に合ったものを見つけたら、その方法で学び直しを実行してみてください。
参考書で学ぶ
書店やインターネット通販で、学び直しを目的にした参考書を購入して勉強する方法があります。
特定の科目に特化しているものもあれば、5教科の内容を網羅的に解説したものまでさまざまです。
1つの科目だけ学び直しをしたいのか、広く全教科を見直したいのかによって、購入すべき参考書が異なるので注意しましょう。
価格もそれぞれ異なるため、自分の予算に合ったものを選ぶようにしてください。
注意点としては、学び直しをするのであればひとまず1冊を終わらせるようにすることです。
複数の参考書を購入するのもいいのですが、1冊を繰り返し解いて完璧にする方が勉強効率としてはいいでしょう。
まずは完璧にする参考書を1冊見つけ、何度も繰り返し完璧になるまで解くのがおすすめです。
通信教育などで学ぶ
リクルートが提供しているスタディサプリなどの通信教育を活用するのも一つの方法です。
毎月いくらかの費用は発生しますが、映像で講師が解説している教材もあるため、自分一人では解決できない問題もクリアできるかもしれません。
特定の教材を解いていくスタイルでも、参考書よりも内容が詳しく載っている可能性もあるため、一人で1冊完璧にする自信がないのであれば通信教育の活用をおすすめします。
デメリットとしては、先述した通り月々の費用が発生する可能性がある点です。
それほど重い負担にならないのであれば選択肢として考えてもいいかもしれませんが、あまり費用をかけたくないという場合にはおすすめできません。
また、通信教育は自分の好きなタイミングで受けられるというメリットがある反面、自分で勉強する時間を設定しなければ放置したままになってしまう可能性もあります。
1日のスケジュールの中に学び直しの時間を作り、実行するのが効果的と言えるでしょう。
YouTubeなどで学ぶ
お金はかけたくないが、動画の講義などで解説を聞きながら勉強したいという場合は、YouTubeなどの動画配信プラットフォームを活用しましょう。
多くの動画がプラットフォーム上にアップされているため、自分の好みでどの動画で学ぶかを選択できるのがメリットです。
中にはプロの塾の先生や元学校の先生など、教育のプロが学び直しの授業動画をアップしている場合があります。
これらを参考にしつつ自分で学ぶことで、小学校・中学校の学び直しができるようになるでしょう。
ただし、YouTubeで学び直す場合も、1日のスケジュールの中に学び直しの時間を作る必要があります。
加えて、プラットフォーム上には誘惑も多いため、勉強する時間はそれ以外の動画は見ないという決まり事を決めておく必要があります。
夜間中学校に通う
国が設置している学び直しの機関として、夜間中学校と呼ばれるものがあります。
公立の中学校で夜の時間帯に授業が行われるクラスのことをいい、元々は戦後の混乱期に中学校に通えなかった人のために開講された学校です。
最大で80校あった夜間中学校ですが、政府広報によると2023年現在、全国の夜間中学校の数は34校にまで減少しています。
しかし今でも需要があるほか、文部科学省が全ての公共団体に対して夜間中学校の設置を義務付けるなどの動きがあり、今後各都道府県に1箇所ずつ設置される予定です。
日中は働いていても夜間中学校に通って勉強する機会ができるため、学習習慣がない人でも安心して学び直しができるでしょう。
一方で、夜間中学校に通う人の年代や国籍はさまざまです。
年上の人とコミュニケーションを取ったり、外国籍の人と接するのに苦手意識がある人にはあまり向いていない形態と言えるかもしれません。
【教科別】小学校・中学校の学び直しの効果を高めるポイント
小学校・中学校の学び直しと言っても、科目は最大で5科目あるため、どのように勉強すればいいかわからない人もいるでしょう。
本記事の最後に、各科目ごとの効果的な勉強方法について解説します。
国語
国語に関しては、最低限の文章の書き方や語彙力など、日常生活を送る上で求められるスキルを学び直したいと思っている人が多いようです。
他にも、漢字の学び直しもニーズが高い傾向にあります。
国語の学び直しに関しては、全体的に需要が高いため、多くの参考書が出版されています。
その中でも特に単語や語彙力の強化に重点を置くテキストを選ぶといいでしょう。
ただし、文章術に関しては、かなり難しい参考書も含まれています。
購入前に良く内容を確認してから決めるようにしてください。
算数・数学
算数と数学に関しては、苦手意識を持っている人も多いでしょう。
算数から学び直しをするのか、数学の学び直しをするかどうかは、中学校時代に数学に対して苦手意識があったかどうかで判断してください。
中学時代に数学に対して苦手意識がある場合、小学校の算数の時点でつまずいている可能性があります。
内容はそれほど難しいものではないため、学び直しと言ってもすぐに終わるでしょう。
高校に入ってから数学に対して苦手意識が芽生えた場合は、中学校の数学でつまずいているかもしれません。
中学校の復習となるとある程度時間がかかるため、参考書などを元に学び直しするようにしてください。
社会
社会科に関しては、一見暗記科目であるためそれほど重要度が高くなさそうに見えます。
しかし、地理・歴史・公民の3つは、学力というよりも一般教養として求められることが多いため、時間があれば学び直しすることをおすすめします。
特に歴史に関しては、500円台で購入できる参考書や、面白く解説したYouTube動画などが多くあるのが特徴です。
地理と公民も同じように参考書や動画教材は数多く存在しているため、学び直しをする科目の中では比較的手を出しやすい科目になるでしょう。
また、ガッツリ参考書や動画で学ばなくても、小説や漫画を通して歴史を学ぶこともできます。
いきなり科目として学び直しをすることに抵抗がある人は、小説や漫画から入ってみてもいいかもしれません。
理科
理科に関しては、学び直しの需要があまり高くないようですが、社会科と同じく一般教養としての学び直しをおすすめします。
他の科目に比べて実用性を求めると、それほど機会がないのが現実です。
一方で、理科の知識を持っていると、日頃のニュースなどを理解できるなどのメリットがあります。
理系の大学に進学したいなどの理由があれば別ですが、社会科と同じく一般教養として学び直すという考え方で学び直してみてもいいかもしれません。
英語
中学校に入ってから新たに追加された英語は、国語と同じく単語や文法の学び直しが求められる傾向にあるのです。
長文の読解も需要はありますが、それ以前の問題として基本となる単語・文法の学び直しをしたいという需要があります。
英語に関しては大人になっても苦手意識を抱えている人が多いせいか、学び直しに関する本が多く出ています。
参考書を購入する場合は、一度自分で手に取って中身を見てから、通信教材やYouTubeで学ぶ場合もお試しで視聴してみてから選択するようにしてください。
なお、単語に関しては、自分自身で小テストを実施するなどの対策も必要です。
親御さんに協力してもらいながら学び直しを進めましょう。
まとめ
高校生にまでなって、小学校や中学校の学び直しをするのは恥ずかしいと思う人もいるでしょう。
その気持ちは分からなくもありませんが、できないことに向き合おうとする姿勢は素晴らしいことです。
自分のレベルをよく理解した上で、学び直しに役立つ参考書や教材を使って学び直しを進めましょう。
ID学園高等学校では、授業の中で小学校中学校の学び直しができる機会を設けています。
希望制にはなりますが、中学校の数学や英語が苦手で高校の授業に不安がある人が参加しています。
またスタディサプリやAI学習(atama+(アタマプラス))も導入しているため、自分の好きな方法で小中学校の学び直しができるでしょう。
高校に入学はしたけれども、小学校・中学校の内容が不安で仕方がないという人は、ぜひID学園高等学校で学び直しをしながら高校生活を送ってみてはいかがでしょうか。