「作文なんて、好きなように書けばいいんじゃないの?」と思っていませんか?
これまで作文に苦手意識を持っていた方は、どう書けばいいのか困惑してしまうかもしれません。
実は作文には、基本的なルールと書き方のコツがあります。
細かな決まりごとや文章の型は一見難しそうですが、覚えてしまえば確実な加点ポイントとなります。
今回は、高校生が入試や就職試験で成功できるように、作文の書き方を「ルール」と「内容」に分けてご紹介します。
すぐに実践できるものばかりなので、書くトレーニングを繰り返しながら身につけていきましょう。
目次
作文は書けた方がいい!試験で見られるポイントとは?
作文は得意・不得意が分かれやすいものです。
学校では読書感想文や体験談の作成など、書く機会はそれほど多くないかもしれません。
苦手なまま、書き方がわからないままでも問題ないという考え方もあるでしょう。
しかし、大学受験や就職試験において作文が必要なケースが多いです。
作文試験が設けられていたり、志望動機などを知るために自己PR文の提出が必要という場合もあります。
履歴書に書く文章も、簡潔に正しく内容を伝えるという意味で作文と同様です。
自分の希望する将来を実現するためには、作文は書けるようになっておいて損はありません。
では、作文や小論文の試験ではどんな部分をチェックされているのでしょうか。
原稿用紙の使い方や日本語の文法は、できて当然という部分です。
作文や小論文では、学力試験では見えない個性や考え方が見られています。
テーマに対してどのように論理立てをしたのか、読み手に伝えるための表現力はあるかといった面が重視されていると覚えておきましょう。
また、就職試験の場合は、手書きの文字の丁寧さや言葉の使い方を通して自社と合うかどうかも見られています。
内容ももちろん大切ですが、できるだけ丁寧な字で書くよう意識しましょう。
500字や800字程度の文章でも、書き慣れていないとなかなか短時間では書けないものです。
いざ試験が始まっても何をすべきなのかわからないと、時間だけが過ぎていってしまいます。
大切なのは、自分の考えを頭の中で言語化し、簡潔でわかりやすい文章にまとめる力です。
試験の場合は、事前ではなく試験当日に作文のテーマが発表されるため、どんな事態にも対応できるよう基礎力を高めておく必要があります。
作文と小論文の違い
作文と小論文は何が違うのでしょうか。
一番の違いは「自由に書けるかどうか」という部分です。
それぞれテーマは与えられますが、自分の感じたことや考えを自由に表現してよいのが作文です。
感想文や体験文に代表されるように、自分の気持ちを読み手に対してわかりやすく伝える文章を指します。
オリジナリティ溢れる内容の文章も喜ばれるのが作文の特徴です。
一方の小論文では、自分の考えに対して、その理由や根拠を論理的に述べる必要があります。
意見自体が正しいかということよりも、根拠が十分に述べられていれば評価が得られるでしょう。
小論文は難しいイメージですが、論理的な文章を書くための型というものが存在します。
そのため、小論文の決まりごとと型をマスターした上で書く練習を続けていけば、小論文の方が対策は簡単と言えるかもしれません。
作文の書き方【ルール編】
作文の書き方には基本的なルールがあります。
大学生や社会人ではパソコンで文書を作成する機会が多くなりますが、まずは原稿用紙に手書きで縦に書いていくのが作文のベースです。
- 原稿用紙は正しく使う
- 言葉の使い方に注意
- 制限文字数を守る
以上の3つが最低限覚えておきたい作文のルールです。
ひとつずつ詳しく解説していきます。
原稿用紙の正しい使い方
原稿用紙の使い方にはいくつかのルールがあります。
1)作文のタイトル | 最初の行に書く上の2~3マスを空けてから書く |
2)自分の名前 | 題名の次の行に書く下詰めで、名字と名前の間・一番下のマスの2箇所を空ける |
3)本文 | 最初の書き出しは1マス空ける段落を変える際は改行し、1マス空けて書く |
4)感嘆詞 | 【!】【?】を使った後は1マス空ける |
5)小書き文字 | 【ゃゅょ】【っ】【ぁぃぅぇぉ】それぞれ1つのマスに書く |
6)句読点 | 【。、】はそれぞれ1つのマスに書く行の頭に句読点がくる場合は、前の行の最後のマスに書く |
7)かぎ括弧 | 【「」】はそれぞれ1つのマスに書く会話文の場合は改行し、かぎ括弧【「】で始める閉じ括弧【」】と句点【。】は同じマスに入れる |
8)三点リーダ | 【…】は1マスに書き、2つ重ねて使う(【……】) |
9)ダッシュ | 【―】は1マスに書き、2つ重ねて使う(【――】) |
10)数字 | 原稿用紙は縦書きであるため、漢数字【一、二、三】を使用する |
11)カタカナ | 外来語のみに使用 |
12)略語 | 省略表現や略語は使用しない |
以上が原稿用紙の基本ルールです。
覚えることが多いと思うかもしれませんが、一度マスターしてしまえば誰でもすぐに使いこなせる基本事項ばかりです。
言葉の使い方に注意する
原稿用紙の使い方と同じくらい大切なのが、言葉の使い方です。
どんなに興味深い内容の作文でも、文体や言葉遣いがおかしいとスムーズに読み進められません。
文体の統一
文章を書くときには、2つの文体が存在します。
常体 | ~だ、~である |
敬体 | ~ます、~です |
どちらも普段何気なく使っている文体ですが、作文の中では2つを混ぜないようにします。
「~です」と作文を書き始めたら、最後までその文体を続けましょう。
一般的に、作文では敬体を使用し、小論文では常体が使われます。
一文を簡潔に
限られた文字数の中にさまざまな情報を詰め込もうとすると、つい一文が長くなってしまいがちです。
私は中学生の頃からテニス部で、素晴らしい先輩のプレーをいつも見ながら毎日練習し、高校最後の県大会ではキャプテンとして部員の士気を高めるよう意識して声かけし、準決勝で負けてしまいましたが、仲間と一緒に目標に向かって練習する大切さを学びました。
このような長い文章を目にしたことはありませんか?
自身の経験が組み込まれたせっかくの内容も、一文に入れてしまっては何を言いたいのかうまく伝わりません。
先ほどの長い一文は、次のような3つの文に分けられます。
私は中学生の頃からテニス部で、素晴らしい先輩のプレーをいつも見ながら毎日練習してきました。
高校最後の県大会ではキャプテンを務め、意識したのは部員の士気を高めるような声かけです。
惜しくも準決勝で負けてしまいましたが、仲間と一緒に目標に向かって練習する大切さを学びました。
それぞれの文の内容が、読み手に伝わりやすくなっているはずです。
「この文では何を伝えるのか」を明確にし、一文が長くなりすぎないようにしましょう。
制限文字数はどこまで守る?
作文では、テーマとともに文字数が定められていることがほとんどです。
「○○文字以内」「○○文字程度」など指定の仕方によって捉え方が異なるため注意が必要です。
「○○文字以内」の場合
「800字以内」などと上限が指定されている場合、上限を1文字でも超えてしまうと減点対象となります。
とはいえ、500字や600字で終わってしまうのはおすすめしません。
文章量が少なすぎると、なんとか埋めただけ、意欲的ではないと解釈されてしまう可能性があるのです。
上限文字数の8割以上、できれば9割は超えるべきと意識しておきましょう。
800字以内なら「640字以上、720字~800字以内」が目指す範囲といえます。
「○○文字程度」の場合
「○○文字程度」と指定されている場合は、文字数のマイナス1割もしくはプラス1割を意識します。
1,000字程度なら「900字以上、1,100字以内」が目安です。
作文の書き方【内容編】
基本的なルールを覚えられたら、次は内容について考えていきましょう。
- 自分らしさを出す
- 嘘は書かない
- 見直しをする
与えられたテーマに沿うのはもちろんですが、作文にはオリジナリティや自己PRも含めていくことができます。
自分らしさを出す
100人に同じ作文のテーマが出されたとしたら、100通りの作文ができます。
受験生の個性を作文から読み取りたいという意図もあるため、具体例や自分の体験談を盛り込んで作文にオリジナリティを出していきましょう。
ただし、自分らしさを出したいからといって、テーマと無関係なエピソードを入れるのは逆効果です。
嘘は書かないこと
「注目される作文を書きたい」「自分をよく見せたい」といった思いがあっても、作文に嘘を書くのはやめましょう。
入試や就職の試験で書いた作文の内容について、面接で触れられることもあります。
つじつまの合わない答えをしないためにも、作文には事実だけを書くようにします。
最後の見直し時間を忘れずに
構成を考えて作文を最後まで書き上げたら、最初から通して読んで見直しをしてみましょう。
- 「〜です」と「〜だ」が混同するなど、文体が乱れていないか?
- テーマに沿った内容か?
- 誤字脱字はないか?
- 読点【、】の位置は適切か?
- 具体例や体験談など、自分らしさが入っているか?
- 文字数は適切か?
客観的な視点で読んでみると、思わぬミスや意味の通じない部分を見つけられることがあります。
試験時間の配分には、最後に見直しの時間を必ず取っておいてください。
印象的な作文は構成がカギ!
作文は、原稿用紙に向かっていきなり頭から書いていこうと思ってもなかなか進みません。
書いていくうちに、テーマからそれてしまったり序盤に文字数を使いすぎてしまったりして書き直す羽目になるケースもあるでしょう。
テーマに沿った印象的な作文を書く秘訣は「構成」です。
書き始める前に全体の骨格を作ることで、どのような流れでどこに何を書くのかを先に把握することが可能です。
まずは、書きたい内容を箇条書きにし、スムーズな流れになるよう並べ替えていきます。
内容ごとに目安となる文字数を決めておくと、バランスが崩れることなく書き進められるでしょう。
PREP法を使う
冒頭では、与えられたテーマに対しての結論(自分の意見)を最初に述べるのが一般的です。
作文の書き方に迷ったら、PREP法を参考に構成を練ってみましょう。
PREP法とは、わかりやすく論理的に文章を伝える型の1つです。
P:結論(Point)
R:理由(Reason)
E:具体例(Example)
P:結論(Point)
最初に結論を述べ、次にその理由、具体例を提示して最後に再び結論という順で文章を書いていきます。
結論に至った理由と、具体例を書くことで説得力ある文章になります。
理由や具体例の部分で自分の経験や体験を入れ込んでいくと、オリジナリティのある文章に仕上がります。
最後にもう一度結論を主張し、作文全体をまとめていくとよいでしょう。
書き出しでインパクトを与える
作文で読み手を惹きつけるには、書き出しが重要なポイントです。
小説の最初の1行で「もっと読みたい」「続きはどうなっているの?」とのめり込んだ経験がある方も少なくないでしょう。
インパクトのある書き出しの一例として、次のようなものが挙げられます。
- 会話文から始める (例)「君に任せるよ」と担任の先生が言った。
- 音から始める (例)ドン!という大きな音が教室に響いた。
- 疑問から始める (例)私たちはなぜ○○が正しいと思ってしまうのでしょうか。
- 告白することから始める (例)17年間生きてきて初めて言いますが、私は○○が苦手です。
- 物語風に始める (例)事件が起きたのは、ある晴れた夏の日のこと。
作文全体の内容を意識しながら、インパクトのある書き出しを考えてみましょう。
作文の基本をマスターして自分の強みにしよう!
作文には細かなルールがありますが、決して難しいものではありません。
ぶっつけ本番となってしまわないよう、継続して書くトレーニングを積んでいきましょう。
繰り返し書くことで、文章構成のやり方や文章の型が自然と自分のものとなってきます。
徐々に書けるようになってきたら、制限時間を意識しながら書いてみるのがおすすめです。
可能であれば、学校の先生に作文の添削をお願いするのもよいでしょう。
自分自身では気付けなかったポイントを指摘してもらえるため、更なるスキルアップが狙えます。
いきなり作文を書き始めようとするのではなく、「テーマ」「構成」「文字数」といった事前準備から取りかかります。
準備が面倒と感じるかもしれませんが、骨格がしっかりしていれば書き直すような事態にはならないため、結果としてスムーズに進められるのです。
自分の考えを文字で伝えられる作文。
書き方のコツをぜひ自分のものにして、入試や就職試験の際に活かしていきましょう。