スクールカーストの1軍・2軍・3軍になる子どもの特徴と序列の決まり方

同じクラスメイトのはずなのに、上下関係や序列が生まれてしまう現象のことをスクールカーストと言います。

スクールカーストを題材にした漫画や映画も多く登場していますが、序列の中に含まれてしまっていると、厄介なことに巻き込まれてしまいがちです。

場合によってはいじめにつながることもあり、決していい意味で使われる言葉ではありません。

ではスクールカーストは、一体どのような理由で決まっているのでしょうか。

「気がついたらスクールカーストができていた」と思う人が少なくありません。

毎年クラス替えが行われることで新たなスクールカーストができることもありますが、何がスクールカーストの原因となっているのでしょうか。

この記事では、スクールカーストができる原因と階層構造、スクールカーストに対する考え方について解説します。

参考にしてください。

ここではスクールカーストという表現に対する一般的に多く捉えられる事象を言語化しました。
決してすべての学校に当てはまるわけではなくこのような風潮を良しとしない学校や組織も多いため、先生や親御さんの努力によりスクールカースト自体を無くそうという動きもあるということをご承知おきの上読んでいただけると幸いです。

スクールカーストとは

スクールカーストとは、主に中学校や高校で自然に発生するクラス内での序列のことです。

学校カーストと呼ばれるこの序列は、誰かが序列を決定するのではなく自然発生するものであり、気がついたらできていたというケースも少なくないでしょう。

いわゆる上位にあたる1軍も、意識的に階層構造を形成しているわけではなく、誰が作ったという明確な責任の所在がないのが特徴です。

カーストという言葉はインドの身分制度のことであり、インドの宗教であるヒンドゥー教に基づいて形成されているものです。

現在のカースト制度には差別的な意味はなく、むしろ憲法で差別が禁止されています。

一方で、文化としてのカースト制度は残っており、現在でもインド社会に残り続けています。

学校における序列を示すスクールカーストは、このインドの身分制度によく似ていることから名づけられているものです。

しかし、インドのカースト制度のように文化として根付いているものではなく、差別的な意味で使われているのが現状です。

スクールカーストができる原因

スクールカーストができる原因は、子どもの個性や人間関係に由来していると言われています。

先にも紹介した通り、スクールカーストは誰かが序列を決めるものではなく、自然発生的に決まるものです。

一口に子どもと言ってもその特徴はさまざまであり、一括りにできない側面があります。

やんちゃで活発な子がいれば、大人しく読書を楽しむ子がいる状況を想像してもらえばお分かりいただけるでしょう。

これらの個性がクラス内でのグループを作り出し、やがてそれが上下関係を形成するのがスクールカーストです。

同じ特徴や個性を持った子どもたちがグループを作るところまでは一昔前も同じでしたが、それに上下関係が生まれるという構図が発生したのはつい最近のことと言われています。

明確な原因はよくわかっていませんが、スクールカーストが発生する主な要因として、このような事情があることを覚えておきましょう。

スクールカーストは何で決まる？

スクールカーストができる原因について明確な研究結果があるわけではありません。

しかし、中にはアンケートでスクールカーストが何によって決まるのかを統計を取っているものもあります。

株式会社オウチーノが行った調査によると、すでに社会人となった男女860名の回答から、次の理由でスクールカーストが決まるとされています。

コミュニケーション能力
容姿
運動神経の良さ
学校の成績
所属する部活動

回答者の半分以上はスクールカーストがなかったと回答しているものの、残りの半数近くは小・中・高のいずれかでスクールカーストがあったと回答しています。

このうちの「あった」と回答した人たちが選んだスクールカーストが決定される要素について詳しく見ていきましょう。

コミュニケーション能力

主に男性が理由としてあげたスクールカーストができる原因の第1位が、コミュニケーション能力です。

男性は50.2%が、女性は43.9%がコミュニケーション能力が高い人ほどスクールカーストの上位にいたと回答しています。

（引用：PR TIMES）

根拠として、友好関係に影響がある、社交的な人はコミュニケーションを積極的に取ろうとしないスクールカーストの下位にはならないと回答しています。

先にも述べた通り、スクールカーストはクラス内の人間関係によって自然と序列が決まる場合が多いようです。

コミュニケーション能力が高い人は友好関係も広い傾向にあり、自然とスクールカーストの上位になるとされています。

逆に、コミュニケーションが苦手という人ほど、スクールカーストでは下層にされることが多いことがわかります。

容姿

続いて多かったのが容姿です。

男子であればかっこいい人が、女子であれば可愛い人がスクールカーストの上位にいたと回答する人が多くいました。

単純に目立つからという理由もあげられていましたが、見た目がいいという1点でスクールカーストの上位に位置していた人物もいるようです。

中学・高校生特有の考え方かもしれませんが、容姿が良いと求心力や影響力があると判断されることも珍しくありません。

また、容姿が良い人同士やモテる人同士がグループを形成することも多く、結果的にスクールカーストの上位に位置していたとされています。

逆に容姿が普通な子や良くないと判断された子は、下位に位置することも珍しくないようです。

容姿だけで全てが決まるわけではないものの、見た目だけで人を判断してスクールカーストが決定されてしまうことが多いのかもしれません。

運動神経の良さ

上位2つの理由と大きく離れているものの、運動神経の良さがスクールカーストに影響を与えていたと回答した人も全体の32.9%いました。

「目立つから」という理由が最も多いものの、他にも部活動や運動会などで成果を見せやすいというものもあります。

勉強ができることよりも運動神経が良い方が、スクールカーストでは上位に位置できるようです。

学校生活において、運動神経が良いと輝ける場所が多くあるのは事実です。

先述の運動会や部活動など、活躍できる場面が大きな行事や大会であることが大きな理由として考えられます。

容姿と同じように、中学・高校生にとってもわかりやすい判断材料であるため、スクールカーストを形成するひとつの要因として選ばれたようです。

学校の成績

運動神経に続く理由としてランクインしたのが、学校の成績です。

全体の27.2%が、学校の成績によってスクールカーストの序列が決まっていたと回答しており、運動と同じく目に見えるせいかであることから、序列を決定するのに分かりやすい判断材料とされたのかもしれません。

小学校までとは異なり、中学校になると定期テストの校内順位が発表される場合があります。

校内の掲示板に公表されるという学校はかなり少なくなったものの、友達同士で点数や順位を教え合ったりするという風景は今も残っています。

その結果、成績についての情報がいろんな人の耳に入り、スクールカーストを形成してしまう原因と考えられているのです。

所属する部活動

所属する部活動によって、スクールカーストの序列が決まっていたと回答した人もいます。

特に野球やサッカー、ダンスなどの部活動は上位層に位置する傾向が高く、文化部はスクールカーストの下位に位置されることが多いようです。

学校によって傾向は異なる可能性がありますが、概ね運動部がスクールカーストの上位になっている場合が多いと考えられます。

ちなみに、アメリカでも部活動を理由としたスクールカーストの形成が見られます。

アメリカの場合はアメリカンフットボールやバスケットボール、チアリーディングがスクールカーストの上位になる傾向が高いようです。

そもそも、いわゆる体育会系は就職活動などでも高く評価される傾向にあり、それがそのままスクールカーストの序列決定に関わっている可能性があります。

社会的な風潮がスクールカーストにも影響を及ぼしている事例と言えるでしょう。

1軍・2軍・3軍と呼ばれるスクールカーストの階層構造と特徴

スクールカーストには、大きく分けて3種類の序列ができることが多いようです。

クラスの規模などの問題もありますが、おおむね最上位層を1軍、中間層を2軍、最下層を3軍と呼ぶのが一般的です。

それぞれどのような傾向を持っているのか、詳しく見てみましょう。

1軍（上位）

スクールカーストの1軍と言われる存在は、クラスのリーダー的な存在や自己主張をはっきりするタイプ、やんちゃをすることが多い人たちで形成されています。

グループの中でも常に中心にいるタイプの人が、スクールカーストの上位になる場合が多いと考えられるでしょう。

良くも悪くも目立つ存在である1軍は、2軍や3軍に対してはっきり物を言い、取りまとめる存在です。

本当にリーダーシップがあるかは別問題ですが、30～40人程度の小規模集団の中で彼らが目立つのはある意味当然と言えるでしょう。

結果的に、自己主張ができる子やリーダー、悪目立ちするやんちゃなタイプの人がスクールカーストの1軍となるのです。

1軍を形成する人たちの性格が偏っていたりすると、クラス内で下位に位置づけられている子どものいじめなどが起きる場合もあります。

2軍（中位）

2軍と呼ばれる中位層は、1軍ほど目立ちはしないものの彼らの周囲にいる存在が多いという特徴があります。

いわゆる取り巻きであり、1軍の傾向によって良くも悪くもなる存在と言えるでしょう。

中位層はリーダーシップがあるわけではなく、自己主張も激しい人物ではない場合が多いようです。

あくまでも1軍に属する友人がいる存在であり、彼ら自身が何かアクションを起こそうとすることが少ないのが特徴です。

繰り返しになりますが、取り巻いている1軍の友人の影響で良くも悪くもなる存在が2軍です。

彼ら自身には2軍や取り巻きという意識はなく、同じグループの仲間という認識である点にも注意しなければなりません。

3軍（下位）

スクールカーストの中でも最下層に位置するのが、3軍と呼ばれる人たちです。

この層は2軍とは異なり1軍の人物の取り巻きではありません。

また、自己主張が苦手で自分の意見を言わず、すぐに従ってしまう特徴があります。

また、もともといじめられていた経験があったりと、人気者やリーダーシップがある人に苦手意識を持っている人も3軍に位置することが多いようです。

場合によっては、いじめのターゲットにされてしまう可能性もあるでしょう。

3軍が悪いわけではありませんが、1軍・2軍の良いように使われてしまうことが多いのは事実と言えるかもしれません。

スクールカースト上位を目指さなくて良い

ここまでスクールカーストの序列を解説してきましたが、スクールカーストの下位に位置する人は上位を目指す必要があるのでしょうか。

確かに上位になればいじめられる可能性は低くなりますし、周囲から一目置かれる存在にはなれるかもしれません。

しかし、よく考えてみてほしいのですが、1軍を目指す意味は本当にあるでしょうか。

答えは「目指さなくて良い」です。

大前提として、人にはそれぞれ個性や得手不得手がありますし、あって当然です。

リーダーシップがある人とない人がいるのはごく自然なことであり、無理やり身に着けて発揮しなければならないものではありません。

つまり、あなたはあなたの個性を大事にしていれば良いということなのです。

リーダー格の子が友達同士であるのと同じように、静かに過ごしたい人はおとなしい人同士、勉強に集中したい人は勉強が好きな人同士など、波長が合う仲間と楽しむことができれば学校生活は充実できます。

あなたの個性をつぶしてまでスクールカーストの上位になる必要はなく、個性を尊重して友人を作ればいいのです。

1番大事なことは、あなた自身が楽しく学校生活を送れる環境を整えることであることを忘れないようにしてください。

スクールカーストに属さない人たちの特徴

表面化している・していないの違いはありますが、スクールカーストに関しては少なからずクラスメイトの間で共通認識として持たれている場合が多いでしょう。

しかし、クラスメイトの中にはスクールカーストに当てはまらない（あてはめることができない）人物がいることも覚えておく必要があります。

いくつかの理由はありますが、スクールカーストに属さない人の特徴として次のようなものがあります。

ひとりが好き
人が嫌い
圧倒的な実績がある
周囲のクラスメイトより大人

このような特徴を持つ人は、クラスメイトの中でもスクールカーストに入らない存在として扱われることが多いようです。

それぞれの特徴について詳しく見てみましょう。

ひとりが好き

「ひとりが好き」という人は、いわゆる「ぼっち」ではなくグループに属さない人のことを指します。

彼らは、スクールカーストの上位にも下位にも平等に接するものの、誰かと特別仲がいいというわけでもありません。

言い方を変えれば、ひとりぼっちでも何ら問題はないという人が、スクールカーストには属さない人なのです。

スクールカーストが形成される原因の一つに、仲良しグループがあります。

本章で定義しているひとりが好きな人は、仲良しグループに属していないものの堂々としており、1軍から見下されることもありません。

逆に3軍に対しても平等に接する存在で、他人の評価や価値観を気にしない人です。

場合によっては1軍に混ざったり、2軍と行動を共にすることもありますが、基本的にはグループからは離れていて、ドライな性格と言われることも珍しくありません。

人が嫌い

人が嫌いという人も、スクールカーストには属しません。

「俺は人が嫌いだ」と公言している人は基本的に寂しがり屋なことが多いため、この条件には該当しないでしょう。

本当の意味で人が嫌いという人の特徴は、他人に対して興味を持たない人のことを指します。

彼らは人と群れることを嫌い、また他人に対して興味を持とうとしません。

集団行動をさせられる場合は誰かと組む場合もありますが、基本的には無口で活発に交流を図ってくる人でもないのが特徴です。

また、周囲から見ても誰かとつるんでいる様子がなく、本当に常にひとりという人が「人が嫌い」と表現した人物の特徴と言えます。

クラスメイトと喋っているところを見たことがない、基本的にいつもひとりぼっちだがいじめられているわけではないという人は、スクールカーストに属さない存在なのです。

圧倒的な実績がある

部活動の実績や学校の成績など、優秀な成果を納めている人はスクールカーストの1軍に属することが多いのは先に紹介した通りです。

しかし、それらをはるかに上回る実績を残している人は、そもそもスクールカーストに属さないことが多いようです。

具体的には全国でもトップレベルの成績を誇っていたり、オリンピック候補に選ばれるような人を指します。

根本的に忙しく、学校の友達と仲良くしている時間がないというのも理由として考えられるかもしれませんが、中学・高校生の立場から見れば異次元の存在であるため同じ物差しでは測れないというのが本音でしょう。

当事者もスクールカーストを気にしていないことが多く、周囲もスクールカーストの中に彼らを含めようと考えている人は少ないと考えられます。

メンタルも強く目標もしっかり持っている場合が多いため、一般的な中学・高校生とは違う存在であるためにスクールカーストの外にいる存在と言えるでしょう。

周囲のクラスメイトより大人

何らかの事情で精神的に大人になるのが早く、周囲のクラスメイトが子どもに見えてしまう人も、スクールカーストには含まれないことが多いようです。

特に思春期の子どもたちは大人になったつもりでいるものの、グループ行動や同調圧力など、まだまだ子どもっぽいところが多いのが現実です。

一方で精神的に早く大人になった人は、同じように見られたくないという理由でスクールカーストには属さない人が多い傾向にあります。

もちろん仲の良い人がいないわけではありませんが、冷めた目でグループ行動などを見ていることが多く、ひとりでも生きていけると思っている節があるでしょう。

そのような人はグループには属さないことが多いため、結果的にスクールカーストの外にいると判断される場合もあります。

特徴としては、年の離れた影響力のある兄弟がいたり、早い段階で片親になったりした人がこの傾向に当てはまりやすいようです。

ただし、この傾向が行き過ぎると、いわゆる「意識高い系」と判断されてしまうこともあります。

スクールカーストは気にしなくていい！その理由は？

スクールカーストが形成されていると、ついつい1軍や2軍の顔色を伺ってしまいがちです。

仮に1軍にいたとしても、些細なきっかけで2軍に落ちてしまうことはよくある話です。

しかし、スクールカーストはそこまで深く気にする必要はありません。その理由について次の3つがあげられます。

順位の根拠が漠然としている
退屈な学校生活になるだけ
社会では通用しない

スクールカーストはあくまでも学校だけの話ですし、集団生活を送るクラスだからこそ発生する集団心理と言えます。

これらを踏まえた上で、なぜスクールカーストを気にしなくていいのかの理由を解説します。

順位の根拠が漠然としている

最も大きな理由として挙げられるのが、順位の根拠が漠然としているためです。本記事でもスクールカーストができる原因について解説してきましたが、これらの原因はあくまでも一例であり、明確な基準があるわけではありません。自然発生的にできる序列がそのままスクールカーストになっているだけであり、その序列になった根拠を説明できる人は誰もいないでしょう。逆に言えば、クラスの序列が明確に説明できる方が問題です。

先に紹介したアンケートの結果からも分かりますが、スクールカーストができる原因は全て表面的な理由ばかりです。言い換えれば、その人の本質が見られて決定されているわけではないため、そこまで深く気にする必要はありません。そもそも誰かが何かの目的を持って序列を決めているわけではないため、そこまで深くスクールカーストを気にする必要はないでしょう。