「自分のことが好きですか?」と聞かれたとき、あなたはどう答えますか?
中には「自分が嫌いで仕方がない」という人もいるでしょう。
自分が嫌いという感情は決して悪いことではありませんが、それがエスカレートしていくとどんどん自己肯定感が下がっていき、生きること自体が楽しくなくなってしまいます。
「自分のことが嫌いすぎて苦しい」「何とかしたい」と思っていても、解決の糸口が見つからず、困ってしまう人も。
なぜ自分のことが嫌いになってしまうのでしょうか。
今回は、自分が嫌いだと感じてしまう原因とその根本的な理由、自分が嫌いな状況を克服するための対処法を紹介します。
原因と対処法を学んで、自分が嫌いという状況を克服し、苦しさや気持ち悪さから少しでも開放してもらえれば幸いです。
目次
自分が嫌いと苦しい思いをする必要はない
原因や対処法をお話しする前に、大前提として自分が嫌いと言う理由で苦しい思いをする必要はありません。
後でも詳しく触れますが、自分のことが嫌いになる人は、自分に対して厳しい人が多い傾向が見られます。
欠点や失敗を許せず、そのことを引きずってしまう方々は、自分のことが嫌いだと感じることが多いようです。
誰かに打ち明けようにも、なかなか勇気を出してそれを行えない人も少なくはないでしょう。
打ち明けた場合、周囲の人々から否定されるのではないかという不安から躊躇してしまうのかもしれません。
自分が嫌いだというのは、率直に言えば思い込みでしかありません。
あなた自身が自分に対して無理に何かの欠点を見つけ、それを理由に自分が嫌いだと信じ込んでいるだけです。
つまり、他にも素晴らしい側面があるはずなのに、それに目を向けていない可能性があります。
本文を進める前に覚えておいてほしいのは、自分のことが嫌いで苦しんでいる状況はあなただけではないことです。
そして、今まで以上に自分を嫌いになる必要はありません。
この記事をきっかけに、前向きになるヒントが見つかることを祈っています。
自分が嫌いだと感じてしまう原因
自分のことが嫌いだと感じてしまう原因は、主に自分の性格である場合がほとんどです。
自分の外見や成績、運動神経などの性格に関係ないものもあるでしょう。
とにかく自分が嫌いだと感じてしまう原因が何かわからなければ、どのように対処すれば良いのか分からないのではないでしょうか。
この章では、自分のことが嫌いだと感じてしまう原因を8つ紹介します。
自分がどのような理由で自分が嫌いだと思っているのかを見つけてください。
完璧主義で責任感が強い
何につけても妥協を許さない完璧主義な人は、些細な失敗で自分のことを嫌いになってしまいます。
完璧主義は決して悪いことではなく、うまくいった時には大きな成長をすることもできます。
しかし、計画通りに物事が進まないと自己嫌悪に陥ってしまうのです。
完璧主義な人は責任感が強い傾向もあり、些細な事でも失敗すると深く落ち込んでしまい「自分は何もできない」と苦しんでしまうことがあります。
どちらも努力家で周りから頼られることも多い人の特徴ですが、同時に失敗した時には深く落ち込んでしまう可能性が高い性格です。
真面目でひとりで努力する
任された仕事や役割を真面目にこなそうとする人も、何かしらの理由で自分が嫌いだと苦しんでしまう傾向が強い人です。
適度に真面目な分には全く問題はないものの、他の人が気にしないような小さなことまで深く考えすぎる性格をしているため、些細な失敗が深い自己嫌悪に陥る原因となる可能性があります。
また、真面目な人ほど任された役割をひとりでこなそうとする傾向にあるのも特徴です。
周りの友人を信用していないわけではありません。
しかし、責任感の強さからひとりで頑張ることを強く意識しすぎている人もいます。
このようなタイプの人も、ひとりで全て抱え込む大変さや孤独感から自分を嫌いになりがちです。
負けず嫌いだが自信がない
何事も勝負と考えて向上心を高く持っている負けず嫌いの人は、誰かの成功をきっかけに自己嫌悪に陥ってしまいます。
負けず嫌いな性格は決して悪くはありませんが、全ての事柄を勝負と捉えてしまうと、勝った負けたの基準でしか自分の価値が判断できなくなります。
その結果、他の人が成功を収めると、必然的に落ち込んでしまい自信をなくしてしまうのです。
最も大変なのが、負けず嫌いな性格だが自分に自信がないタイプの人です。
自分に自信がないのを克服しようと誰かと競うことを考えている人は、もし周囲の人が成功すると深く落ち込んでしまいます。
「自分なんか…」「努力してもムダ」という思考回路に陥ってしまうと、ますます自分のことが嫌いになってしまうのです。
誰かの目を気にしすぎる
他人からの評価を強く気にする人は、自己嫌悪に陥って自分のことが嫌いになります。
自分を客観視することができる人ではあるものの、エスカレートするとSNS上で他人が自分のことをどのように思っているのかが気になって仕方なくなります。
その結果、自分の価値が低いと感じてしまい、自分を嫌いになるのです。
こじらせると承認欲求の塊のようになってしまい、自分の話を過度に脚色したり、褒められたくて自慢話ばかりしてしまう人になってしまう可能性もあります。
もともとの性格という側面もありますが、特に周囲の人の目を気にしている人はこの傾向が強いと言われているため、自分の言動を振り返ってみる必要があるでしょう。
共感性が高い
小説や漫画を読んでいて、登場人物に感情移入してしまう経験はないでしょうか。
このような人たちは共感性が高く、実生活でも人の痛みや感情に共感しやすい心の優しい人たちです。
しかし、その想像力の豊かさからマイナスの方向にこの力が働いてしまうと、相手が抱えている感情を自分のせいだと勘違いするようになってしまいます。
いわゆるHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる人が、特にこの傾向を持っていると言われています。
共感性の高さも個性のひとつであるため悪いことではありません。
しかし、過度に感情移入してしまうようであれば、自分のせいで相手を不快にさせたと勘違いしてしまいます。
優柔不断な性格
誰かに対して自分の意見がはっきりと言えない、ここぞという時に決断ができないという優柔不断な性格の人も、自分のことが嫌いになりやすい人です。
すぐに決断を下さない慎重な人と言い換えることもできますが、ついつい周囲の意見に合わせてしまうこともあります。
誰かに意見を求められてもすぐに回答ができないことに対して、自己嫌悪に陥ってしまうケースも珍しくありません。
また、自分の本当の意見を押し殺して周囲の意見に同情するしかない自分に対して、嫌いだという感情を抱く場合もあります。
ネガティブ思考
周囲に対しては明るく振舞っていても、自分のことに対してはネガティブ思考という人はいませんか。
リスクヘッジができるという意味では悪い性格ではありません。
しかし、自分の言動や行動に対しても常にネガティブな発想が働いてしまうため、自己嫌悪に陥ってしまう場合もあります。
ネガティブ思考が深刻になると、メンタルの面で悪影響を及ぼします。
「自分は幸せではない」と感じやすいため、心身に不調をきたしてしまうのです。
ネガティブ思考以外の性格でも同じことが言えますが、特にネガティブ思考の持ち主は要注意です。
本性を隠して我慢し続ける
嫌われるのを避けるため、八方美人に振る舞ってしまう人も自分のことが嫌いだと感じやすい人です。
分け隔てなく誰とでも仲良くなれる性格の持ち主ではあるものの、自己主張が苦手で人の頼みを断りきれないという一面も持っています。
本当はやりたくないのに我慢して引き受けてしまうと、そのことに対して自己嫌悪に陥るのです。
また、我慢して引き受けたものがうまくいかずに責められた時も、ついつい自分の責任にしがちです。
そこまで深く考える必要がないにもかかわらず、周囲からどう見られているかが気になってしまい、深刻に思い悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
自己責任の考え方は悪いことではないものの、行き過ぎた自己責任思考は自分の心を消耗させてしまいます。
自分が嫌いになる根本的な理由
自分が嫌いになる原因は、主に性格に由来していることがわかりました。
では、その根本的な理由としてなぜそのような性格になってしまうのかを突き詰めてみましょう。
いくつかの理由が考えられますが、代表的なものは次の6つです。
- 過去の失敗経験
- 現場への満足感がない
- 親からの刷り込み
- 厳しい自分の存在
- 思春期特有の問題
- 病気の可能性
何かしらのマイナスな根本的な原因が隠れているはずです。
思い出すのが辛いという人もいるかもしれませんが、自分のことを嫌いになった根本的な原因を探るためにも、ぜひ振り返ってみてください。
過去の失敗経験
何かしらの過去の経験から、自分が嫌いになりやすい性格になった可能性があります。
受験や友人関係、その他のことで大きな失敗をしていると、自信を失ってしまい自分のことが嫌いになる人がいます。
また、個人差はありますが失敗したことが原因で新たなチャレンジができなくなってう人もいるでしょう。
その状態に対してもどかしさを感じている人は、挑戦できない自分のことを嫌う可能性が高いのです。
失敗の大きさは人それぞれであり、一概にどの程度の失敗が性格に影響を与えているか、正確には言えません。
自身の過去の経験を振り返ってみて「これかな?」と思うものがあれば、失敗が原因である可能性が高いでしょう。
現状への満足感がない
現在の状況が自分にとって満足できない場合、自分が嫌いになる性格になってしまう可能性があります。
「成績が悪い」「運動ができない」「不登校で学校に行けない」などの状況とは裏腹に理想の自分がいると自信がなくなってしまい、自分が嫌いという状況に陥ってしまいます。
どうしてもひとつの特徴と結びついてしまうため、その特徴が自分のすべてのように捉えてしまい、ネガティブ思考になるケースも珍しくありません。
実際にはそんなことはなく、良いところもたくさんあるはずです。
人生は良いことと悪いことの繰り返しである以上、現実と理想がかけ離れていても仕方がない側面があることを理解しましょう。
親からの刷り込み
幼少期に親から受けた言葉や仕打ちによって、自分のことが嫌いだと考えている人もいます。
明確な虐待やいじめの経験だけではなく、褒めてくれることが少なかったり、誰かと比較されたりした経験があると自分が嫌いという状況に陥ってしまうのです。
このような経験は、仮に記憶の中に残っていなくても心の傷として深く残り続けるという厄介な存在です。
この心の傷と責任感の強さが結びついた場合、任された仕事で失敗をしてしまうと「やっぱり自分はダメだ」という自己嫌悪に陥ってしまいます。
無意識に刷り込まれているため厄介ですが、親からのマイナスの刷り込みも自分が嫌いと感じてしまう原因なのです。
厳しい自分の存在
「自分に対して厳しい」という評価を受ける人がいますが、この傾向が強い人は自分のことを嫌う性格になりがちです。
特に完璧主義の人や責任感の強い人がこの条件に当てはまることが多く、自分に対して現実的ではないノルマやハードルを課してしまいます。
そのノルマやハードルをクリアできないことに対して「自分の能力が低い」と勘違いをしてしまい、自己嫌悪に陥るのです。
自分の中で目標を設定するのはいいことですが、あまりにも非現実的な目標を決めるのは決して良いこととは言えません。
思春期特有の問題
自分が嫌いになる原因のひとつとして、思春期特有の問題があります。
思春期は周りの人の目を気にして自分がどのような人間なのかを確立させる成長期の重要な時期です。
自分の得意不得意や容姿など、数え上げるとキリがありません。
この時期は、他の時期と比べて「自分が嫌い」と思いがちです。
人格形成において必要な悩みのひとつであり、人によってはいつの間にか「自分が嫌い」という感情がなくなっていく人もいます。
一方で、引きずる人は大人になってからも嫌いな自分にばかり目を向けてしまいます。
思春期はしっかりと自分という存在を確立するための大事な時期ではありますが、同時に深く考えすぎないことも大切かもしれません。
病気の可能性
最後の可能性として、病気というものが挙げられます。
10代半ばから後半にかけて多く診断されることが多いため、思春期妄想症とも呼ばれています。
主な病名としては次のようなものが有名です。
醜形恐怖症 | 自分の容姿が醜い、汚いと感じてしまう |
自己視線恐怖症 | 自分の視線が相手を不快にさせていると思い込む |
自己臭症 | 自分のにおいが相手を不快にさせていると思い込む |
思春期が落ち着くにつれてこれらの症状は緩和される場合がほとんどですが、あまりにもひどく気になる場合は医療機関の受診をおすすめします。
ただ、病気とはしているものの、一部では病気ではないとする説もあります。
基本的には時間の経過と共に気にならなくなる場合がほとんどです。
身体の成長に伴って出てくる症状ですが、過剰に気になる場合は病院で相談してください。
自分が嫌いという状況を克服する対処法
自分が嫌いになる根本的な原因や性格の問題について解説してきましたが、自分が嫌いな状況を克服する対処法がいくつか存在しています。
性格に関わる部分はすぐに変えるのが難しいかもしれませんが、紹介する方法が少しでもあなたの心を落ち着かせる対処法になれば幸いです。
自分の良いところを受け入れる
自分が持っている特徴の中で、良いところにも注目して褒めてあげることが重要です。
普段から目についている自分の悪い面は、裏返すと良いことにもなります。
例えば、完璧主義の人は努力できる人と言い換えることができますし、優柔不断な人は慎重な性格の持ち主です。
良いことと悪いことは表裏一体であるため、悪い側面にばかり目を向けず、自分の良いところとして言い換えることも重要です。
「言霊」という言葉がある通り、少し言い回しを変えるだけで自分の気持ちが変わる場合もあります。
多角的な視点を持って、自分の悪いところを言い換えてみたり、良いところを探してみたりして褒めてあげましょう。
完璧を求めすぎない
「人は完璧ではない、失敗する生き物である」と考えていると、少し気持ちが楽になります。
思春期の人だけではなく大人も全て含めて、本当に完璧な人というのはそうそういるものではありません。
必ずどこかで矛盾した考えを持っていたり、言ってることとやっていることが違ったりする人がいて当然です。
完璧を求めすぎて息苦しくなっているのであれば、これらの考えを持つと同時に、必要に応じた改善や反省を行いましょう。
時には開き直ることも重要です。
完璧になりすぎず、思い詰めすぎず、前向きな気持ちでいられることが自分に嫌悪感を抱かない方法のひとつです。
誰かと比較するのをやめる
自分と他人の比較をするのをやめると、嫌悪感が少し和らぐ場合があります。
誰かと比較する際はどうしても相手の長所にばかり目がいってしまい、自分の短所に目が行きがちです。
見習うべき点として見ている分には問題ありませんが、比較して「自分はできない」と思う必要はありません。
競争することは決して悪いことではないものの、相手から見えるのは良い面でしかないのです。
どこかにマイナスの点があることも覚えておきましょう。
また、SNSで知らされている情報も、事実かどうか分からない側面があります。
間違った情報も含まれていることも多く、場合によっては話が盛られている可能性もあります。
誰かと比較する習慣そのものをやめたほうが良いでしょう。
きっぱりと断るクセをつける
自分の思いに反してやりたくないことを頼まれたら、堂々と断ることが重要です。
周りの人が優先の心優しい人が陥りがちな自分が嫌いになる原因のひとつですが、自分の中にしっかりとした意見があるのであればはっきりNOと言えるようになりましょう。
相手が友達や両親であっても、はっきりとNOと言えることが重要です。
勇気のいることかもしれませんが、自分の意見を主張せずに誰かに従った結果、遠回しに誰かを傷つけてしまう可能性もあります。
そのような事態にならないためにも、きっぱりと断る力が必要です。
自分の外側に意識を向ける
「自分が嫌いだ」という人は、自分に対して意識が向きすぎている可能性があります。
自分の内面に目を向けすぎて煮詰まっており、解決の糸口が見つからず自分のことが嫌いになってしまうことは珍しくありません。
そんな時は、自分のことではなく他に熱中できることや興味のあることに目を向けるといいでしょう。
映画やドラマを楽しんだり、スポーツを観戦したりするのが代表的な方法です。
意識を自分以外の方向に向けるのです。
他にも友達と他愛のない話をしたり、ボランティアをして誰かを助けた経験をしたりするのも良いでしょう。
低くなっていた自己肯定感が高くなるきっかけにもなります。
新しいことに挑戦する
難しいことかもしれませんが、何かひとつでも自分が嫌いだと思っている要素を改善しようと挑戦することも重要です。
大きなことに挑む必要はなく、新たな習い事や外見を少し変えてみるなどの些細なことでも構いません。
小さな変化も積み重なっていくと、徐々に自信につながります。
いつの間にか「自分が嫌い」という感情を忘れることができる可能性もあります。
新たな特技を発見できる可能性もあるため、ぜひ何かにチャレンジしてみましょう。
話を聞いてくれる人がいる環境に身を置く
自分のことが嫌いと思っている人は、誰かにその状況を話したがらない傾向が強いようです。
心情を考えれば、その気持ちはわかります。
ひとりで悩んでも解決策が見つからないのであれば、誰かに相談してみることで突破口が開ける可能性があります。
相談する相手は友人でも親でも構いません。
「相談する」というよりは「人と本音で話す」というスタンスで話を聞いてもらいましょう。
誰かと話していると、自分の好きな側面に出会える可能性もあります。
身近な人への相談が難しい場合は、スクールカウンセラーや匿名の電話相談窓口を利用してもいいでしょう。
ただし、ネットの匿名掲示板やSNSは危険です。
こちらは真剣に相談しているにもかかわらず、適当に返事をされて余計傷ついてしまう可能性があるためです。
話を聞いてくれる人がいる環境に身を置いて、自分の本心を隠さずに語ってみるのが解決の糸口になるかもしれません。
まとめ
「自分のことが好きで好きで仕方がない」という人になる必要はありません。
しかし、過度に自分のことを嫌う必要もないでしょう。
自分を嫌ってしまう原因はさまざまですが、自分のことを嫌っている人は、自分しか視線が向いていない可能性もあります。
見る対象や視点を変える、周囲の評価を目にしないようにするだけでも解決します。
ぜひ本記事で紹介した方法を実践して、少しでも自分が嫌いという感情が薄れれば幸いです。