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不登校から学校復帰したい!登校のための4ステップと親の心構えを伝授

「不登校からの復帰には時間がかかる」とよく耳にします。

しかし、将来のことを考えると、「早く学校へ復帰しなくては」と親も子どもも焦ってしまうのが実情ではないでしょうか。

仮に、急いで学校復帰を果たしても、生活リズムの変化や勉強の遅れなどで再びストレスを溜めてしまうことも大いに考えられます。

そこで今回は、学校復帰を視野に入れた際に不登校について知っておくべきこと、そして実際に登校につなげるための具体的な4つのステップについて解説します。

この記事を通して、復帰を焦る気持ちを一旦静め、子どもにとっての最善策を導き出していきましょう。

不登校から学校復帰したい!登校のための4ステップと親の心構えを伝授

目次

不登校からの復帰は焦らずに

不登校の生徒は、実際にどの程度高校へ復帰しているのでしょうか。文部科学省が中学校で不登校を経験した子どもを対象に、5年後の実態を追跡した調査によると、次のような結果が得られました。

中学校卒業後の高校進学状況前回(2001年)調査時
高校進学率85.1%65.3%
高校中退率14.0%37.9%
参考:文部科学省 不登校生徒に関する追跡調査研究会.「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~.文部科学省.2014-07-19
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm

2001年の調査と比較しても、高校進学率は増加、高校中退率は減少といずれも大幅に回復しています。

この結果から、小中学校時代に不登校だったとしても高校で学び続けるのは十分可能であると見てとれます。
スクールカウンセラーの設置、不登校専門施設など、支援体制が徐々に整ってきていることもよい影響を与えているといえるでしょう。

さらには、全日制や定時制だけでなく通信制高校を選択する生徒数が増えて、これまでより多様な高校生活を送れるようになったと考えられます。

中学生時代に不登校でも、高校ライフを楽しめている生徒は多くいます。

「短期間で学校復帰しないと!」と焦らずに、原因と自分に合った対処法を見つけていくことが大切です。

不登校について知っておくべきこと

不登校は本来、どんな子にも起こり得ることであり、恥ずかしいことでも責められることでもありません。

しかし、頭では理解していても自分の周囲に目を向けたときに不登校の子がほとんどいないと、不安になってしまうものです。

迷いや不安が生じたとき、正しい情報は適切な選択肢を選ぶためのヒントになります。

まずは不登校について知っておきたいポイントをお話しします。

不登校は特別なことではない

2022年10月に文部科学省が発表した調査結果によると、小学校・中学校における不登校の人数は244,940人でした。

前年度の人数と比較しても増加しており、過去最多を更新しています。この数字を見て言えることは不登校は特別なことではないと言うことです。

2021年度 不登校児童生徒数前年度
小学校81,498人63,350人
中学校163,442人132,777人
244,940人196,127人
参考:「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」.文部科学省初等中等教育局児童生徒課.2022-10-27
https://www.mext.go.jp/content/20221021-mxt_jidou02-100002753_1.pdf

人数だけを見るとピンとこないかもしれませんが、この数字は「小学校では77人に1人、中学校では20人に1人が不登校である」ことを示しています。

クラスに1人以上不登校の子がいても不思議はないということです。

不登校についての悩みや不安を打ち明けられずに、家庭内だけで抱えているケースもあるでしょう。

しかし、不登校からの復帰を目指しているのは決して自分たちだけではありません。

サポートする家族の心構えとして、まだ先が見えなくても悲観的になりすぎず、前を向くことがなにより大切です。

「愛着障害」が原因の可能性も

不登校の原因は子どもの数だけ存在しますが、中には「愛着障害」が原因の場合があります。

  • 人との関わりが苦手
  • 近くにいてほしい気持ちとは反対に、攻撃的・無関心な態度を取ってしまう
  • 自分に自信がない
  • 生きづらい
  • 積極的になれない

このような特徴を持っており、「自分が愛されていないと思うことで、日々の何気ない行動にも影響を及ぼしてしまうこと」を指し、病気ではありません。

一般的には、親子の信頼関係がうまく築かれていないために愛着障害が起きると言われています。
幼少期に母親から「褒めてもらえた、愛されていた」と子どもが感じられたかどうかが重要なポイントです。

子どもの自己肯定感を高めて自信をつけるのが愛着障害を克服する近道です。

そして自己肯定感が高まると、周囲にも次第に自分の考えや悩みについても打ち明けてくれるようになります。

「親の私のせいだ」「あのときこうしていれば」といった過去に対する後悔の念は払拭し、前を向いて「これから何ができるか」を考えていきましょう。

復帰までの期間は3ヶ月~1年程度

不登校は、学校や子どもを取り巻く環境の中でのストレスにより、学校へ行けなくなってしまう状況を指します。

不登校になると、「いったいいつまでこの状況が続くの?」と先が読めずに思い悩んでしまうのではないでしょうか。

一般的に、不安を克服し学校へ通えるようになるには3ヶ月〜1年程度が目安の期間といわれています。

ただし、不登校は原因も特徴も個人差が大きいため、復帰までに1年以上かかることも少なくありません。

期間に捉われることなく、子どものペースに合わせることが大切です。

不登校になってしまった際に最初にすべきことは「エネルギー回復」です。

まずは原因究明や復帰の準備よりも、自宅での休息を通して心身ともに疲弊した状態から少しずつ力を充電していくのが最優先となります。

ゲームをしてばかりだったり、寝てばかりだったり、食事をあまり摂らなかったりと心配になる行動が多いかもしれませんが、今はそういう時期なのだと捉えて見守りましょう。

エネルギーが回復して心にも余裕が出てきたら、これからどうしたいのか家庭内で話し合いを少しずつ進めていけるようになります。

学校復帰までの4ステップ

学校への復帰を考える際、やるべきことは大きく4つのステップに分けられます。

【ステップ1】不安解消と気持ちの整理

【ステップ2】学校以外に逃げ場を作る

【ステップ3】生活リズムを整える

【ステップ4】1日単位で無理なく登校開始

ひとつずつ見ていきましょう。

不安解消と気持ちの整理【ステップ1】

不登校になるには何らかの原因があるため、まずは悩みと不安を取り除くことが目標となります。

それと同時に、「学校へ行かなきゃだめなのに行けない自分なんて……」という罪悪感や自責の念を払拭する必要もあります。

自信を取り戻して前向きな思考をするためにも、何も考えずにゆっくり休んだり、自分の好きなことに打ち込んだりして過ごすとよいでしょう。

学校以外に逃げ場を作る【ステップ2】

子どもの社会は家と学校の往復だけで、逃げ場がなくなり追い詰められることも少なくありません。

いざというときに心を休ませられるような、学校以外の居場所を作っておくとよいでしょう。

フリースクールや支援センターといった施設の他、習い事や親戚の家など、子ども自身が落ち着ける場所があると心にも余裕が生まれます。

生活リズムを整える【ステップ3】

学校復帰するためには、朝決まった時間に起きて朝食を食べ、学校へ向かうという毎日のサイクルをこなす必要があります。

不登校では昼夜逆転生活に陥りやすく、昼型の生活リズムに戻すのは簡単ではありませんが、毎日10分・15分ずつでも早く寝る、早く起きる目標を立ててみると、次第に意識が変わります。

ストレスになるほど細かく決める必要はありません。

最初は週に1回でも達成できたらOKと考え、成功体験を積み重ねながら時間をかけて昼型の生活へと移行していきましょう。

1日単位で無理なく登校開始【ステップ4】

さあ、いよいよ学校復帰できそう!というところまで近づいてきました。

人によって期間の長さは違うものの、不登校は長期化している場合が少なくありません。

学校に通うという環境変化に適応するには少々時間がかかって当たり前です。

復帰を喜ぶあまり、最初から「復帰後は毎日登校する」「休まないようにする」「遅刻早退はしない」といった目標を掲げるのは極力避けましょう。

  • 通学路を通って学校の前まで行ってみる
  • 保健室登校する
  • 1時間だけ授業を受ける
  • 週に1回登校してみる

上記のような行動も立派な学校復帰です。

行けない日ももちろんあるでしょう。

自分自身の心と体調と相談しながら復帰を進めていくことが大切です。

親が意識したいポイント

親が意識したいポイント

不登校からの学校復帰へ向けて子どもが前向きに取り組むためには、親のサポートが欠かせません。

不登校の子どものために親ができるサポート例を見ていきましょう。

生活リズムを整える

これまでは毎日学校があるから朝起きる必要があり、寝坊しないようにある程度の時間には就寝していたはずです。

不登校になると、学校という縛りがなくなるため、生活リズムが大きく崩れがちになります。

親からすると口うるさく注意したくなるものですが、大人でも仕事がない日はなかなか規則正しく過ごせないのではないでしょうか。

もし昼夜逆転してしまっても、子どもの不安をリセットするには必要な現象であると理解し、ある程度は見守ることが大切です。

落ち着いてきた頃を見計らって、「今日から15分ずつ早く寝てみたら?」「毎週水曜日は、9時に起きてカフェに行かない?」「一緒に○○体験に行ってみる?」など、生活リズムを整えるためのきっかけを提案してあげるとよいでしょう。

居心地の良い家庭を作る

子どもがどんなときも安らぎを求められる場所が家庭でありたいものです。

何らかの理由で学校に行けなくなってしまい精神的にも追い詰められている状態の子どもに、登校を強要したり原因を問い詰めたりしては、家族にまで心を閉ざしてしまうでしょう。

子どもが気分の気持ちを話してくれた際は、それを受け入れ、家族はいつでも味方だと伝えます。

家庭が居心地良い空間であれば自然と気持ちも前向きになり、学校復帰へとつながりやすくなります。

学校と連携する

不登校からの復帰には、学校との連携も欠かせません。

復帰といっても、いきなり教室でみんなと一緒に授業を受けるのは抵抗があるでしょう。

別室で個別対応が可能なのか、どのくらいの時間数から取り組んでいくかなど、学校と家庭とで連絡を取り対応を相談していきます。

家庭での子どもの様子を学校とも共有することで、復帰時の先生の対応もスムーズになると期待できます。

不登校の支援機関を利用する

不登校からの復帰に向けて子ども本人や家族が取り組んでも、なかなか効果を実感できない場合もあるでしょう。

その際は、不登校の相談窓口や支援機関を利用するのがおすすめです。

学校へ復帰した後、授業についていけずに再び学校へ行けなくなるという事態は避けたいものですよね。

不登校中に塾や教育支援センター(適応指導教室)に通うことで学習面のサポートが受けられ、これまでの遅れを取り戻しておけます。

学校復帰へのサポートで気をつけたいこと

復帰へのサポートをしていく中で気をつけたいのが、「家族の焦り」「復帰のタイミング」です。

子どもの心に多少の余裕ができ、学校へ行けそうになったとしても、すぐに毎日登校するよう勧めるのはやめましょう。

不登校状態からの環境変化は、思っている以上に本人のエネルギーを消費します。

そこに登校へのプレッシャーが上乗せされるのは避けるべきであり、せっかく学校復帰を果たしたにもかかわらず、ストレスにより再び不登校となってしまっては本末転倒です。

子どもがやる気満々だとしても、「行けなくても大丈夫だよ」と家族はできるだけゆったり構えて見せ、焦らず無理のないペースで復帰を進めていきましょう。

学校復帰のタイミングとしては、長期休み明けや新年度を考えがちです。

しかし、親や先生からの「きっと休み明けから登校するだろう」という期待が子どもにとっては見えない重荷となっている場合があります。

年度始めや新学期にこだわる必要はなく、復帰のタイミングはいつでもかまいません。

学年が変わるきっかけが行きやすいならそれをきっかけにしてよいですが、時期的なプレッシャーを感じさせずに、子どものエネルギーが溜まったタイミングを選ぶとよいでしょう。

通信制高校という選択肢もある

不登校期間で心の余裕と自信を取り戻し、学校へ復帰できればよいですが、いじめや学校の友達との人間関係などどうしても元の学校への登校が難しい場合もあります。

その際は、無理せずに他の選択肢を探しましょう。

おすすめは、不登校の子どもを多く受け入れている「通信制高校」です。

中学生であれば高校進学先として、高校生であれば転入先として通信制高校を選ぶことができます。

通信制高校は、その名の通りオンラインでの授業がベースであり、学校ごとに決められたスクーリング日数はあるものの毎日登校する必要がありません。

周囲とのコミュニケーションや集団での授業に苦手意識を持っていた子には、自宅で自分のペースで勉強できる通信制は、集中しやすい環境といえるでしょう。

また、学校に慣れてきたら通学したいという生徒には、通信制高校の中でも通学タイプのコースを選ぶこともできます。学校の中には登校日数を選べたり、在学中にコース変更できる学校もあるのでその時の自分にあった学習スタイルで進められることができます。

ID学園の通学型コースについて詳しくみる>>

受験においても学力試験を実施していない場合がほとんどで、書類と作文で合否を決めます。
一般的なふるい落とすための試験ではなく、幅広く受け入れるための試験という認識です。
通信制高校は学校によってさまざまな特色があり、スクーリング形態も行事も学べる分野も大きく異なります。
まずは気軽に資料を請求し、気になる学校のオープンキャンパスに参加してみるとよいでしょう。

不登校からの学校復帰を一歩ずつ目指そう

不登校を克服する=学校へ復帰するではありません。

学校に行けなくなっている不安の元を取り除き、自分に自信を取り戻すことが大切です。

そのうえで、本人が学校復帰を前向きに目指している場合、再び登校できるようになるのは理想的なゴールといえるでしょう。

しかし、いきなり一日中学校にいることを目指したり、毎日登校したりする必要はありません。

環境が変わって不登校になってしまうように、不登校から学校復帰の際にも精神的には大きな負担を伴います。

好きな授業だけ、週に1日だけといった登校から段階的に復帰していくのがおすすめです。

久しぶりの登校ではどうしても周囲の視線を感じることになりますが、数日もすれば自然と落ち着いていくため、それほど気にしなくても大丈夫です。

学校復帰への道筋は、例えるならば童話の「うさぎとかめ」のようなものです。

一気に走り抜いて長く立ち止まるより、エネルギーが切れてしまわないよう焦らずに一歩一歩進んでいく方が、結果としてゴールへ確実にたどり着けるでしょう。

そして、ゆっくりなペースだとしても日々の成果を認め、褒めてあげられるような家族のサポートが大きな力となってくれるはずです。

数ヶ月後、1年後の学校復帰を目指し、今できることから始めてみてはどうでしょうか。

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