最近は幼児教育や、早期の教育に力を入れている家庭が増えたことで、子どもの才能が開花しないと不安になってしまう親御さんも少なくないようです。
何か一つでも才能を開花させることに主眼が置かれていますが、一方で習い事や教育の成果ができていないと、親だけでなく子どもも不安を覚えてしまいます。
また、特に中学生になると、周りの子どもができているのにうちの子ができていないというポイントに目が行ってしまうことも。
その状況に耐えられなくてついつい口を出してしまいたくなる気持ちは分かりますが、運動も勉強もできないと悩んでいる中学生の子どもに対しては、温かく見守ることが一番重要なことです。
今回は、運動も勉強もできないと悩んでいる中学生を抱えている保護者の方に向けて、なぜできないのかの原因と将来について解説します。
子どもの可能性を広げる方法についても解説しています。
ぜひ参考にしてください。
目次
- 運動も勉強もできない中学生が生まれてしまう原因
- 運動と勉強の2つだけで判断しないことが大事
- 大器晩成型の人は少なくない
- 運動も勉強もできない子の将来
- 運動も勉強もできない子の可能性を広げるために
- まとめ
運動も勉強もできない中学生が生まれてしまう原因
「習い事をさせているのに、なかなか成績が上がらない」
「運動が苦手で、体育の成績が悪い」
このような悩みを抱えている保護者は少なくないでしょう。
小さい頃から塾や運動教室に通わせている場合はなおさらです。
子どもに対して不安を感じてしまうのは仕方のないことですが、ではなぜ運動も勉強もできないという風になってしまうのでしょうか。
いくつかの原因がありますが、主に次の4つが原因とされることが多いようです。
- 保護者の心配性
- 葛藤した経験が少ない
- 得意なことが見つかっていない
- 発達障害の可能性がある
それぞれの詳細を見ていきましょう。
保護者の心配性
近年増えているのが、保護者の心配性が原因で勉強も運動も実力を発揮できないケースです。
特に心配性な母親が原因となって、子どもが実力を発揮できないというのも珍しくないようです。
また、運動も勉強も男子のほうが「できない」と感じてしまいやすいと言われています。
男子は女子と比較するとやんちゃをしたり言葉遣いが悪くなったりしやすく、それに対して母親がいい子になるように強要するため、自信をなくしやすいと言われているのです。
反抗期の特徴的な行動ですが、保護者が子どもの自尊心を傷つけてしまい、結果的に何に対しても自信が持てない子どもになってしまうとされています。
葛藤した経験が少ない
勉強もしくは運動ができて、自立した大人になるためには以下の力が必要と言われています。
- 自分の言葉で伝える・相手の話を聞く力
- 自分の頭で考える力
- 物事を俯瞰的に見る力
- 何ごとにもチャレンジしてみる力
- 始めたことをやり抜く力
これらの経験は小学校4年生までに備えさせるのが理想的と言われていますが、これらに関連した葛藤する経験を与えることが重要です。
「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがあるとおり、何かしらの困難な課題を与えることで、できなくてもやり抜く力が身につくとされています。
運動も勉強もできないと思い込んでいる子どもは、チャレンジ精神ややり抜く力が身についていないため、何に対してもネガティブ思考になりがちです。
本当はできるのに思い込んでしまっているために運動も勉強も後ろ向きになってしまい、結果が残せないパターンです。
得意なことが見つかっていない
得意なことや好きなことが見つかっていない子どもは、自分のことを運動も勉強もできないと思い込んでいます。
実際には得意なことや好きなことがあったとしても、それに本人が気がついていなかったり、周囲の大人や友人が気がついていないパターンも同様です。
このような特性を持っている子どもは、本人も保護者も意図しないところで才能が開花する場合があります。
また、得意なことや好きなことがわからないという子どもの多くは、大小を問わず成功体験を積み重ねていない傾向にあります。
外部の影響を期待するのも一つの方法ですが、子どもが何かしらの得意を発見して自信をつけるためには、家族の支えや褒めが必要です。
「私はこれが得意だ」と、子どもが考えられるようになるためにも、保護者の支えは必須と言えるでしょう。
発達障害の可能性がある
発達障害とは、脳の機能の発達が何らかの影響で遅れていたり、阻害されたりするものです。
「障害」とついていますが病気ではなく、あくまでも個人の特性です。
一般的に発達障害の人は、誰かとコミュニケーションを取ったり、対人関係を作るのが苦手とされています。
また発達障害の中には学習障害(LD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)も含まれており、これらが原因で運動も勉強もできないと錯覚してしまう人もいるようです。
発達障害に関しては、運動や勉強以外の部分で驚異的な才能を発揮する場合もあります。
それが何なのかは人によるため一概には言えませんが、何か一つできることを見つけたら褒めてあげるなど、少しでも自信を持てるような接し方をしてあげることが重要です。
発達障害に関しては、それらを改善するための療育方法が確立されていたり、自治体で発達障害の情報や支援を行っている施設も存在しています。
周りから認めてもらえずに不登校や引きこもりになってしまわないためにも、これらの療育方法や期間をフル活用しましょう。
運動と勉強の2つだけで判断しないことが大事
ここまで運動も勉強もできない子どもができてしまう原因について解説してきました。
確かに中学生になると、勉強や運動で誰かと比較されてしまうこともありますし、家庭での保護者の対応もこの2つが基準になってしまっているかもしれません。
しかし、運動と勉強ができないからと言って、自分には何もできないと考えてしまうのは時期尚早です。
普段の学校生活ではこの2つが重要かもしれませんが、それ以外にも子どもの持っている才能や得意分野があるかもしれません。
例えば運動は苦手でも、ひたすら星座の本を読んでいて星に詳しかったり、勉強はできないけれど足は速かったりすることもあるでしょう。
どちらも同じレベルでできるという子どもはそうそうおらず、何か得意なことや好きなことがあるケースも少なくありません。
学校では主にこの2つが成績などに反映されるため、他のことに目が行っていないという場合も考えられます。
保護者は子どもに対して「運動も勉強もどちらもできるようになりなさい」というのではなく、他のポイントで子どもが得意にしていることや好きなことに注目すべきです。
大器晩成型の人は少なくない
もう一つ押さえておきたいのが、大器晩成型と呼ばれる人は決して少なくないという点です。
幼い頃から教育を施していても、その才能が開花するまで時間がかかるケースは珍しくありません。
運動も同じで、習い事や学校の授業でやったからと言って、すぐに得意になるという子どもは多くはないでしょう。
勉強してきたことの積み重ねの成果や運動の練習の成果が開花するまでにかかる時間は人それぞれです。
本人を含め、保護者は特にそのことを意識し、すぐに成果が出なくてもゆくゆく芽を出すかもしれないと考えることが重要です。
したがって、小さいころから塾や運動教室に通わせているからすぐに成果につながるはず、という思い込みは捨てたほうがいいでしょう。
この思い込みをしたまま子どもに接してしまうと、子どもも保護者も不幸なことになりかねません。
運動も勉強もできない子の将来
「運動も得意じゃないし、勉強もそれほどできない」と思っている子どもは、将来どのような大人になるでしょうか。
ついつい悲観的な将来を想像してしまいがちですが、必ずしも暗い未来が待ち受けているわけではありません。
先の章でも解説しましたが、今学んでいることや練習しているスポーツが、将来何かの拍子に開花する可能性があります。
好きな科目を見つけたり、得意な運動を見つけたりすると、急に才能が開花して思ってもみなかったような成果を残す場合もあるでしょう。
今置かれている状況だけで「運動も勉強もできない」と思い込むのではなく、今できることを地道に続けることも重要なのかもしれません。
運動音痴の上に勉強もそれほど好きではないという子どもも、これ以外のことに目を向けると、将来自分がやりたいことや自信が持てることが見つかる可能性があります。
例えば、絵を描くのが得意という子は、美術系の高校・大学に進んで漫画家やイラストレーターを目指すのもありでしょう。
音楽が得意というのであれば、将来プロの音楽家になれる可能性もあります。
このように「運動も勉強もできない」からといって、将来までお先真っ暗というわけではありません。
いろいろな経験をすることで、自分の才能や好きが伸ばせる領域が見つかる可能性はいくらでもあります。
悲観的になりすぎず、ゆっくり時間を賭けるのもひとつの方法なので、焦らないことも重要です。
運動も勉強もできない子の可能性を広げるために
「自分は運動も勉強もできない」と思い込んでいる子どもに対して、保護者はどのように接すればいいのでしょうか。
運動も勉強もできないと思い込んでいる子どもは、なにかにつけて自信が持てないケースがほとんどです。
つまり、その逆である自信をつけるための声掛けやアクションをすることが重要になります。
いくつかの方法が考えられますが、代表的なものは次の5つです。
- 誰かと比較しない
- 強制せずに見守る
- できることに注目する
- 子どもが好きなことを探す
- いろいろなことに挑戦させる
全て実行する必要はありませんが、少しでも子どもに自信をつけてもらうため、運動と勉強だけが全てではないことを知ってもらうためには非常に重要です。それぞれの詳細を見ていきましょう。
誰かと比較しない
特に中学生以降は、学校のテストや部活動など、何かと誰かと比較されることが多くなります。
その比較に疲れてしまい、自分は勉強ができない、運動ができないと思い込んでしまう子も少なくありません。
もし家で保護者が「○○君は勉強できるのになんであなたはできないの?」などと頻繁に口にしているようであれば、これらの言葉を口に出さないようにしましょう。
パッと見では落ち込んでいないように見えても、内心では深く傷ついており、勉強ができないと思い込んでしまう可能性があるためです。
運動に関しても同じです。
特に部活動や習い事でスポーツをしている場合は、勉強と同じように誰かと比較することで子どもが自信を失ってしまう可能性があります。
自信を失わないためにも、できなかったことができるようになったなどの小さな褒めるポイントを見逃さずに褒めるようにしてあげてください。
強制せずに見守る
運動も勉強も、どちらも練習をすることで上達していきます。
しかしそれを保護者が強要してしまうと、子どもはやる気を失ってどちらもしなくなってしまいます。
強制したい気持ちは分かりますが、子どもの自主性に任せて運動や勉強に向かわせることも必要です。
例えば、普段から「もっと勉強しなさい」などと子どもに言い続けていると、その反発心から徐々に勉強から気持ちが遠ざかってしまいます。
運動も同じで、自分の意志で上手になりたいという場合は飛躍的に伸びる可能性もありますが、誰かが無理やり練習させようとするとその効果は薄くなってしまうでしょう。
あくまでも、子どもの自主性に任せることが重要です。
無理強いをしても子どもにとっては苦痛なだけなので、運動も勉強も強制させず、自分からするように仕向ける必要があります。
できることに注目する
できないことばかりに目が行きがちですが、少しでもできているポイントや、前回はできなかったことができるようになったりしていることがある場合はそこを褒めてあげるようにしましょう。
難しいことかもしれませんが、小さな変化に気づいてあげるだけで子どもは喜んで運動や勉強に励むようになるかもしれません。
また小さな変化を褒めてくれるということは、それだけ自分を見てくれているという自信にもつながるため、徐々に成果を出すきっかけになる可能性もあります。
ついついできないことを見つけて叱ってしまうこともあるかもしれませんが、ひとつでもできるようになったことを見つけてあげて褒めてあげることが大切です。
子どもが好きなことを探す
運動や勉強は、中学生や高校生の間では分かりやすい一つの指標ではあります。
しかし、大人になるにあたってこの2つだけが全てというわけではありません。
子どもが没頭できることや好きなことを一緒に見つけてあげて、それを伸ばしてあげるだけでも子どもの自信につながっていくでしょう。
例えば植物の知識がある子どもであれば、それを尊重し褒めてあげることで、子どもの立派な才能の一つになります。
また、物作りが好きなのであれば、その独創性や集中力を褒めてあげることもできます。
運動と勉強だけに固執せず、子どもが好きなことを探して褒めてあげることも重要です。
いろいろなことに挑戦させる
子どもが好きなことを発見するためには、色々なことに挑戦させる必要があります。
習い事も一つの方法ではありますが、他にもキャンプやセミナーなど、あらゆることに参加・挑戦させることで、今まで見つけられなかった子どもの好きなことや没頭できることが発見できるかもしれません。
中でもおすすめなのは、夏休みなどに開催される野外体験スクールです。
親の元を離れて数日間全く知らない子どもと寝食を共にする中で、不自由さを経験するとともに思わぬ才能を周りから発見してもらえる可能性があるためです。
学校を卒業しても、社会人で働く場合は集団行動になることが多いため、機会があればぜひ一度参加してみるのも良いでしょう。
まとめ
「運動も勉強もできないから自分はダメだ」と思い込んでしまっている子どもは決して少なくありません。
そしてその原因は、もしかすると保護者を含む周囲の大人にもある可能性があります。
もちろん全員が悪いというわけではありませんが、子どもには運動と勉強以外にも様々な可能性があることを伝えてあげる必要があるでしょう。
好きなことややりたいことが見つかると、子どもは急激に自信を取り戻して成長し始めます。
是非この機会に、運動や勉強だけにとどまらない子どもの才能を見出してあげてください。