作文や小論文を書く際に大切なのが原稿用紙の正しい使い方です。
せっかく良い内容の文章を作っても、ルールを無視した書き方では評価が下がってしまうかもしれません。
「原稿用紙の使い方なんて今さら聞けない……」
そんな危機感を感じている方も安心してください!
この記事では題名や名前はもちろん、各種記号や会話文などの原稿用紙への書き方を、例を挙げながらわかりやすくまとめています。
原稿用紙の使い方をマスターし、ルールと内容ともに優れた作文を目指しましょう。
目次
- 題名・名前の書き方
- 段落の始め方
- 句読点の書き方
- 小さな文字の使い方
- かぎかっこの使い方
- 記号の使い方
- 数字・アルファベットの書き方
- 気を付けたいポイント
- 原稿用紙の書き方をマスターして作文をレベルアップ!
題名・名前の書き方
では、具体的な項目に分けて原稿用紙の書き方を順番に説明します。
まずは、作文の題名と名前の書き方から見ていきましょう。
作文の題名には最初の行を使い、上の2~3マスを空けてから書き始めます。
名前を書くときは、題名の次の行に下揃えで書きますが、一番下のマスが1~2マス空くようにするのが一般的です。
その際、姓と名の間はつなげずに1マス空けて表記します。
学校名や学年・クラスの表記が必要な場合は、姓の上に1マス空けて書くようにします。
作文の試験などでは、「題名・名前は書かずに本文から書き始めなさい」という指示があることも考えられます。
その場合は指示に従って進めましょう。
段落の始め方
ここまでできたら、本文に入っていきます。
本文の一番最初の書き出しと、段落が変わるタイミングでは上部を1マスあけて書きます。
名前と本文との間を空けずに3行目からすぐ書き始めるか、名前のあとに1行空白行を作って4行目から書き始めるかは、指導の仕方によって意見が分かれることがあります。
特に指示がなければ、3行目から書き始めた方が「余白で全体の分量を稼いでいる」と思われずにすむかもしれません。
句読点の書き方
普段何気なく使っている句読点にも、書き方の決まりがあります。
句点(。)や読点(、)はそれぞれ1文字と数え、1マスを使用します。
マスの真ん中ではなく、右上に書くようにしましょう。
句読点、とじかっこ(」)が行の始めに来てしまう場合には、前の行の最後のマスに文字とあわせて入れるようにします。
あるいは、枠外となりますが最後のマスの下に書いてもかまいません。
小さな文字の使い方
「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」といった小さな文字はそれぞれ1文字としてカウントし、1マスを使って書きます。
句読点と同様、マスの真ん中ではなく、右上に書くとバランス良く見えます。
これらの文字は、文の流れの中で行の最初に来ても問題ありません。
かぎかっこの使い方
かぎかっこ(「」)はそれぞれ1文字ずつとして扱います。
作文の中ではおもに、次のような場面で使われると考えられます。
かぎかっこを使うタイミング | 例 |
---|---|
会話文のとき | 「今日は楽しかったよ。また明日ね!」 |
自分が思ったことを書くとき | 「行けてよかったな」と思いました。 |
引用するとき | 先生の本には「観測には22時頃が適している」と書いてありました。 |
強調したいとき | 私のうちの犬の名前は「ソルト」だ。 |
会話文のときのみ、行を変えて独立させましょう。
会話文
会話文を書くときには、改行して一番上のマスにかぎかっこ(「)が来るようにします。
新しい段落が会話文から始まる場合は、1マス空けてからかぎかっこを置きましょう。
会話文の終わりの句点(。)と、とじかっこ(」)は、常に同じマスにおさめます。
一言で終わるような会話だけでなく、少し長い文章だと、会話文が2行以上になることもあり得るでしょう。
2行以上にまたがる場合、次のような書き方があります。
- 2行目以降は一番上を1マス空けて書き、会話文だということを視覚的にも目立たせる。
- マスを空けずに、一番上からそのまま書いていく。
どちらの方法も間違いではありませんが、特に指定がなければ、2行目以降は1マス空けずに続けて書いていきます。
また、会話文が終わったあとの文は改行してから書き始めますが、新しい段落にするのでなければ一番上のマスを空ける必要はありません。
二重かぎ
かぎかっこの一種である二重かぎ(『』)も目にしたことがあると思います。
どんなときに使うのでしょうか。
これは、かぎかっこの中でさらにかぎかっこを使った表現をしたいとき、書籍名などを表記するときなどに使用します。
- 「お母さんが『今日は早く帰ってきて』と朝言っていたよ」
- その考え方は、図書館で借りた『宇宙の不思議図鑑』に書いてありました。
記号の使い方
「?」「!」などの記号は、文に感情を吹き込んでくれる役割があります。
多用はおすすめしませんが、叫んでいる、怒っている、寂しそう、不安そうといった様子を読み手にうまく伝える手段のひとつです。
これらの記号も1文字として扱い、マスの真ん中に書きます。
次に書く文字がとじかっこ(」)で行の最後にあたる場合は、句点と同様に1つのマスに一緒に入れます。
三点リーダ(…)は1マスにすべて書き、2つ重ねて使用します。
- 私もやりたかったのに……
数字・アルファベットの書き方
縦書きの原稿用紙では、数字を使用する際には漢数字(一、二、三)で書かなくてはいけません。
漢数字では、「十」「百」「千」「万」「億」といった位を表す文字も使用可能なため、組み合わせて書くことになります。
年号や桁数が大きい数字が登場する場合に限り、算用数字(1、2、3)を縦ではなく寝かせて書いて対応することもあります。
算用数字を使う際には、1マスに2つの数字を入れるのが一般的であり、縦に1つずつ並べないよう注意が必要です。
テーマによっては、作文の中に外来語を登場させたいこともあるでしょう。
カタカナに置き換えられるものは、アルファベットではなくすべてカタカナで表記します。
アルファベットを使う場合は、イニシャルやクラス名・グループ名などが挙げられますが、その場合はそのまま縦書きで1マスに1文字を書きます。
- T・Yさん
- B組
- CグループとDグループ
もし、英単語や英文を載せなければ意味が通じないという場合は、算用数字と同様に寝かせて書くようにします。
その際には、アルファベットの大文字は1マスに1文字、小文字なら1マスに2文字を入れ、単語と単語の間は1マス分を空けて表記するのが原則です。
気を付けたいポイント
ここまで、原稿用紙の基本的な使い方をお伝えしてきましたが、作文で減点されないために知っておきたいポイントもあわせてご紹介します。
- 文体を揃える
- 一文の長さに注意
知っているか知らないかで、見栄えも読みやすさも大きく変わってきますので、ぜひ意識してみてください。
文体を揃える
文章には2つの文体があります。
「~です」「~ます」という丁寧な言い方をする「敬体」と、「~だ」「~である」という言い方をする「常体」です。
作文ではどちらを使用してもよいですが、必ずどちらかに統一させてください。
「~です」と「~だ」が混ざると非常に読みにくく、読み手にストレスを与えてしまうため、注意が必要です。
表現の統一が苦手だという方は、見直しの時間を多めにとり、文体チェックだけに集中して一度最初から最後まで読み直してみてください。
徐々に自分でも気付けるようになるはずです。
一文の長さに注意
文章を書いていると、自分が思っていることをできるだけ多く詰め込もうとしがちです。
しかし、一文が長いと読み手は何のことを言っているのか途中でわからなくなってしまいます。
そのため、できるだけ一文は簡潔にすることが大切です。
一文の中に2つも3つも要件を入れず、ひとつに絞った方がよく伝わります。
文字数の目安としては、60字程度までがよいでしょう。
原稿用紙でいうと3行までです。
それ以上の長さになりそうなときは、2つの文に分けて言い換えることができないか考えてみてください。
原稿用紙の書き方をマスターして作文をレベルアップ!
原稿用紙の正しい書き方を覚えるということは、受験のためだけでなく社会人として仕事をしていく上でも必要な場合があります。
基本的なルールをマスターすれば読み手に好印象を与えられるでしょう。
作文は「書いて慣れる」のがレベルアップする一番の近道です。
いきなりすべてのルールを覚えようとすると大変かもしれませんが、何度も書いてみることで原稿用紙の使い方も自然と覚えていけます。
また、ルールと同じくらい大切な「1文字ずつ丁寧に書くこと」「見直すこと」も忘れてはいけません。
急いで書いた文字と丁寧に書いた文字とでは、読み手に与える印象が大きく変わってきます。
見直しの時間で、書いているときには気づかなかったミスを直せることもあります。
試験や提出する作文の場合は特に、時間に余裕をもって書き進めるようにしましょう。