小論文対策でもっとも重要なことは、小論文のルールや型を理解して、練習を繰り返すことです。
作文や感想文と違い、小論文には大学などによって定められた採点基準が存在します。
そのため、事前に学び、準備をすることで、誰でも点数を伸ばすことが可能です。
今回は小論文対策完全ガイドとして、小論文の効果的な書き方や高得点を獲得するためのテクニックをご紹介します。
いつから、どのように対策を始めたら良いのかという疑問にお答えしていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
小論文とは
小論文とは、出題者から提示されたテーマに対して自分の主張や意見を述べ、根拠や具体例を挙げながら執筆する論理的な文章のことです。
自分の主張や意見、問題提起についての理由や根拠を、読み手が納得できる伝え方で書かなければなりません。
小論文を書く上で必要な要素は次のとおりです。
- 論文のテーマに対する自分の主張
- 読み手を納得させるための根拠についての知識
- 根拠を筋道を立てて伝える構成
- 自分の主張を客観的に読みやすく伝える日本語
これらを踏まえて「序論・本論・結論」に当てはめた構成に沿って文章を書き進めていくことで、自分の主張を論理的に伝えることができます。
スキルや知識があいまいな状態で小論文を書いても、なかなか点数には結びつかないため、適切な書き方やテクニックを学び、繰り返し練習をするといった事前準備が必要です。
小論文の目的
学校推薦型選抜・総合型選抜だけでなく、一般入試にも小論文試験を導入する大学が増えています。
おもな目的は、学生の論理的思考と分析力、文章表現とコミュニケーションスキル、調査研究能力や、批判的思考と問題解決能力を評価することです。
学術的なスキルを見るだけでなく、学生の学習成果や学習過程の把握、小論文についての学びからの成長の促進なども目的であるとされています。
出題形式
小論文の出題形式には、大学や学部によっていくつかのパターンがあります。
出題形式 | 内容 |
テーマ型 | 与えられたテーマについて自分の意見を述べるもの。もっとも一般的な小論文の形式で、時事問題や大学・学部ごとのテーマが課題となる。 |
課題文読解型 | 日本語で書かれた文章の課題文に対して説明をしたり、意見を述べたり、要約したりするもの。 |
教科論述型 | それぞれの教科の専門知識をもって、日本語や英語で書かれた文章の課題文に対して自分の意見を述べるもの。 |
図表分析型 | グラフなどの図や表・写真について読み取り、問題提起をしたり、解決策について意見を述べたりするもの。 |
英文型 | 英語で書かれた文章の課題文に対して自分の意見を述べるもの。 |
出題内容も学科によってさまざまです。
例えば、医学部や看護学部では「死生観」「高齢者医療」について、教育学部では「教育の課題」「子どもと発達」について、法学部や経済学部では「民主主義」や「国際経済」についてなど、進む学部で学ぶであろう内容からの課題が多く見られます。
さらに、志望している学部や学科の志望理由を述べる形式も存在します。
自分が志望する学部学科でどんな出題傾向があるか、大学の教育方針や理念を理解するとともに、過去問題を確認して対策を練ることが大切です。
効果的な小論文の書き方
課題文を正しく理解し、指示されたテーマについて自分の主張を考え、それを論理的な文章で伝えることを求められるのが、小論文です。
小論文には、自分の主張や意見を読み手に明確に伝えるための書き方が存在します。
提示されたテーマから外れることなく、かつ書きやすく、読み手が興味を持って読み進めたくなる、効果的な書き方を習得しましょう。
テーマの選び方
初めて考えるであろうテーマでも、読み手が納得できる伝え方ができれば問題はありません。
しかし、書きやすいテーマ選びは、自分の主張を読み手に効果的に伝えることに繋がります。
- 自分が興味・感心がある
- 十分な情報源やデータがある
- 現代社会において注目されている
- 新鮮で独自性がある
自分が関心を持っているテーマは、考察をおこなう際により深く掘り下げることができ、主張を強く表現することができます。
また、十分な情報源やデータがあり、論文内で適切に使用できることも、説得力のある文章にするための重要なポイントです。
さらに、現代において注目されているトピック、社会的に重要なテーマを選ぶことで、読み手の関心を引く内容にすることができます。
新鮮で独自性のあるテーマであれば、差別化が図れるため、読み手の興味をより引き付けることもできるでしょう。
論点の絞り込み
論点とは、議論の中心となる問題点のことを指しています。
小論文は、課題文で問われたことに沿って自分の意見を述べるものです。
課題文に書かれていないことにまで話題を広げ、課題文で指示されたことを無視して論述してしまうと、減点の対象になります。
まずは課題文を熟読し、何について問われていて、どう回答すべきなのかを考え、提示されるテーマの範囲内で論点を定めることを意識しましょう。
さらに、テーマの中で自分が具体的に主張できる情報の切り口を探し、論点を絞り込む必要があります。
テーマ | 論点の絞り込み |
科学技術の社会への影響について | コミュニケーションと情報アクセスの向上・交通と移動・経済と産業の変化など |
環境問題への対策について | 再生可能エネルギーの促進・廃棄物管理とリサイクル・自然保護と生物多様性の保全など |
教育の重要性と課題について | 教育の質の向上・教育格差・教育と社会的価値観など |
このように、小論文に課されるテーマからは、多くの課題や取り組み、役割などが連想されます。
課題文の指示に合った適切なテーマであるとともに、独自の視点で深掘りできるものに論点を絞り込みましょう。
同時に、自分の持つ知識で十分な情報や分析をおこなえるものであることも大切です。
テーマを決め、論点を絞り込んだ後は、相手に伝わりやすい書き方で効果的に自分の主張を伝えましょう。
【序論】読み手の想像力を刺激する書き方
序論では、課題文で提示されたテーマに対する自分の主張や意見の提示、問題提起をおこないます。
まず、序論で自分が主張したい意見や事柄を明確に伝えましょう。
最初に主張や意見を提示されない場合、読み手は書き手が何を言いたいのか分からないまま文章を読み進めることになります。
先に自分の主張である結論を伝えることで、読み手は書き手の主張を念頭に置きながら、「なぜそう思ったのだろう」と想像しながら文章を読み進められるのです。
言いたいことをあいまいにせず、分かりやすく伝えておくことが、読み手の想像力を刺激する書き方になります。
さらに、序論で言いたいことを提示しておくことで、最後まで一貫性のある小論文を書く手助けにもなるでしょう。
【本論】主張の明確化と根拠の提示
自分の主張や意見を確かなものにするために、根拠を提示して内容を深く掘り下げていくのが本論です。
なぜ自分はそれを主張したいのか、何を考えているのかを伝え、その理由を示して読み手を納得させます。
自分の主観のみでは、読み手を納得させる材料が不十分です。
客観的なデータや第三者による調査結果など、信頼性のある情報を内容に組み込み、説得力を高めましょう。
自分の主張を支持する根拠を見つけて活用し、主張する事柄と根拠が密接に関わることを筋道を立てて伝えることができれば、読み手の理解を後押しすることができます。
根拠はできるだけひとつではなく2つ以上挙げると、より説得力が増すと言われています。
【結論】論理的な展開とまとめ方
自分の主張を再度明確に繰り返し、まとめて整理するのが結論です。
本論で持ち出した主張に対する根拠や、小論文全体の重要な点についてもう一度強調し、自分の意見を明確に伝えましょう。
ダラダラと長く書くのではなく、筋道を立てて簡潔に、内容をおさらいするのがポイントです。
主張を繰り返すだけでも、読み手にあなたの主張をアピールすることはできます。
しかし、他者と差別化するためにはオリジナリティがあるとなお良いでしょう。
余力があれば、解決策を提示したり、今後の展望や新たな可能性に触れたりなどの工夫を凝らしてみることをおすすめします。
高得点を獲得するためのテクニック
小論文には明確な採点の基準が存在します。
そのため、高得点を獲得するためのテクニックを知り、演習を繰り返すことで、点数のアップが期待できます。
適切な文体と語彙の使用
小論文は読み手に読んでもらう文章です。
そのため、適切な文体と語彙を使用して文章を整えることは、基本的なマナーと言えます。
- 「だ・である」調で書く
- 誤字・脱字がない
- 略語は使用せず正式名称を記載する
- 擬音語や擬態語・カタカナ語を使用しない
- 「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉に注意
- 話し言葉ではなく書き言葉を用いる
小論文に適切な文体は「だ・である」調とされています。
「です・ます」調よりも断定的で、説得力が増す「だ・である」調を用いましょう。
誤字・脱字がない正しい語彙を使用することは、テーマに関する知識が豊富で正確であることを読み手に伝えることに繋がります。
さらに、流行り言葉や若者言葉は避け、読み手がストレスなく読める文章であることも大切です。
適切な文体と語彙を使用しながら、最後まで文体を変えずに一貫して書ける日本語のテクニックを磨きましょう。
引用や参考文献の活用
引用や参考文献の活用は、自分の主張が信頼性のある情報源に基づいていると示すことができます。
他の研究者や専門家の意見を参照することで、自分の主張を裏付けが可能であるため、説得力を持たせることに大変有効です。
ただし、主張と引用のバランスには注意が必要です。
引用部分が多くなりすぎてしまうと、自分の主張が薄くなってしまいます。
小論文はあくまで自分の意見や主張を読み手に伝えるものです。
自分自身の考えや分析結果をしっかりと示したうえで、サポートの役割として引用や参考文献を活用しましょう。
引用した情報が自分の主張と高い関連性があるとしっかりと提示することも重要です。
引用文が文字数の嵩増しであると判断された場合は減点対象になるため、必要以上の引用は避けるなど、バランスを考えながら活用しましょう。
文法や表現のチェック
適切な文体や語彙に加えて、正確な文法や表現は、読み手が小論文の内容をスムーズに理解するために大変重要です。
文法の誤りや曖昧な表現があると、主張したい内容を読み手が誤解して受け取る原因になります。
自分が主張したい意見を正しく読み手に伝えるために、文法や表現のチェックを確実におこないましょう。
- 接続詞を適切に使用する
- 主語と述語が正しく対応している
正しい文法や表現の使用は、小論文を書くことに真摯に取り組んでいることをアピールできる要素にもなります。
採点者がストレスなく読めて、内容を正確に、さらにスムーズに理解できることは、高得点を獲得するテクニックの重要な要素になるでしょう。
その他に小論文を書く上で意識したい「原稿用紙の使い方、段落に必要な文や文字数、文体や語彙」について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
>>「小論文の書き方徹底解説!作文との違いは?ルールと構成のコツを知って高得点を目指そう」
ツールを使った小論文対策
小論文対策には、塾以外にも独学で学ぶツールが増えています。
書店でも手に入る書籍は、正しい情報を世に出すために出版までに多くの人の手が加わっているため、信頼性の高いものです。
塾へ通うよりもはるかに低コストで学べるというメリットがあります。
小論文の基礎を学ぶための学部別の参考書や、大学ごとの出題傾向がわかる参考書などが販売されています。
過去問で出題テーマを学んだうえで、テーマに沿ったさまざまな課題を演習できる問題集を選ぶのも良いでしょう。
また、最近は小論文を学べるアプリも増えてきています。
高校生にとって生活の一部になっているスマートフォンやタブレットで、いつでも好きな時間に手軽に学べるアプリの活用も、小論文対策に有効です。
アプリは隙間時間に効率的に学習でき、塾に行くよりもコストが抑えられます。
また、時事問題などの情報収集に活用できるのも、アプリの長所と言えるでしょう。
直接指導を受けたい場合は、オンラインの塾も存在します。
間違えたところや疑問に思ったところをすぐに質問できるといった点で、オンラインでの講師とのやり取りはおすすめです。
オンラインであれば自宅にいながら学べるため、移動時間を効率的に学習に充てられます。
小論文対策の実践方法
効果的な書き方やテクニックを学んだ後は、実際に小論文対策を実践しましょう。
自宅で学べるツールは増えていますが、効率的に小論文のスキルをアップさせるためには、実践とフィードバックが大変有効です。
過去問題の解析と模擬試験の受験
小論文のテーマは大学や学部によって大きく異なります。
まずは過去問題でどのようなテーマの問題が出題されているかを解析し、対策を考えましょう。
大学や学部によって文字数にも違いがあります。
志望校によって勉強の仕方が変わってきますので、必ずチェックしておきましょう。
つぎに、出題傾向に基づいた基礎知識を、文献や新聞・ニュースなどから学び、演習問題を解きながら、指定時間内に指定文字数を記述できるよう訓練します。
文章の内容を正しく読み取り、問題を理解すること、テーマの本質や問題点を探り出し、深堀して考える力を鍛えましょう。
基礎的な演習ができたら、模擬試験を受験しましょう。
学習塾や出版社が主催しているものがあり、インターネットで申し込めば個人で受けられるものもあります。
個別成績表や学習のアドバイスが記載された冊子をもらえる場合もあるため、小論文の実力をつけるのに有効な手段です。
フィードバックの活用
演習を繰り返すことはもちろん大切ですが、ひとりでの学習では、自分が書いた小論文の問題点や改善点に気付きにくいのが難点です。
そのため、模擬試験を受けるとともに、第三者に添削をしてもらう機会を持つと良いでしょう。
自分では気づけない誤字脱字などのミスや論点の違いなどを指摘してもらうことで、効率よく文章のブラッシュアップができます。
ID学園高等学校では大学入試対策の一環として、小論文対策にも力を入れています。
小論文対策は、テーマ型、課題文型、グラフ資料型などの小論文に慣れ、推薦や一般受験で力を発揮させるための講義です。
BasicとAdvanceという2つのレベルに分かれており、生徒の習熟度にあわせて受講することができます。
総合型選抜や学校推薦型選抜では、小論文やレポートを課されたり、長文の志望理由書や自己推薦書などの提出が必要です。
ID学園高等学校では、小論文に限らず、これらの書類の添削指導もおこなっています。
効率的に小論文のスキルを伸ばすために、添削サービスの利用や学習塾の小論文講座への参加、学校での小論文対策があれば受講するなど、フィードバックの機会を存分に活用しましょう。
改善点の洗い出しと継続的な練習
高得点が取れる小論文を書けるようになるためには、とにかく書く回数を重ねて考え方や書き方に慣れることが重要です。
さらに、書いた小論文を添削してもらい、先生からのアドバイスをよく読み込みましょう。
自分の文章の改善点を洗い出し、軌道修正をしながら、書く練習と添削を繰り返すことで、執筆スピードアップと共に質の高い小論文を書けるようになるでしょう。
小論文対策のカギは添削と演習!早めの準備で実力アップを
小論文について独学で学ぶツールは増えていますが、書き方やテクニックを学んでも、実践的な演習を繰り返さなければ実力アップに時間がかかってしまいます。
効率的にスキルアップするカギは、添削を受けて自分の弱みを知り、アドバイスを受けることです。
ミスや論点の違いに早めに気づき演習を繰り返せば、弱みをなくして本番に挑むことができるでしょう。