「この高校に行きたい!」と、受験勉強を頑張ってきた高校に落ちてしまった時の悲しさは、計り知れないものだと思います。
思い描いていた高校生活ができなくなってしまうのではないか、自分の人生は終わってしまったのではないかと、落ち込んでしまう子どももいるのではないでしょうか。
この記事では、「受験落ちた」から次のステップへ進むための、気持ちの切り替え方を具体的にお伝えします。
受験に落ちたことが人生を変えてしまうほどの大きな失敗になることはありません。
受験は試験当日の出来が合格・不合格に直結してしまうため、体調や出題された問題の種類によって簡単に左右されてしまうものです。
そのため、第一志望の高校に合格できないことは珍しいことではないのです。
気持ちの整理に時間がかかるかもしれませんが、少しずつ「どこに進学するか」よりも「これから何をするか」に目を向けてみましょう。
今後の生活を楽しく充実したものにするための気持ちの切り替え方を、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
- 失敗を認めて受け入れる
- なぜ原因分析が必要なのか
- 受験に落ちた場合の進路選択
- 受験に落ちたショックからの回復法
- 受験に落ちた子どもに対しての親の対応
- 「どこに進学するか」より「何をするか」が大切
- 受験に落ちても人生はこれから!前を向いて歩きだそう
失敗を認めて受け入れる
受験に落ちた直後は、辛い現実を受け入れられないこともあるでしょう。
しかし、時間は止まってはくれません。
人生の貴重な時間を大切にして少しずつ前を向いて歩けるように、まずは失敗を認めて受け入れることが大切です。
現実から目を背けない
現実から目を背けることは、気持ちを落ち着けるための方法として必ずしも悪いことではありません。
しかし、事実を見ないようにして一時的にその場をしのいでも、結果が変わるわけではありません。
そして、いつかは必ず現実と向き合わなければいけない時が来ます。
「いつか」を先延ばしにすればするほど、何もしないまま時間だけがどんどん過ぎていき、ネガティブな気持ちから抜け出すことが難しくなります。
まずは、現実から目を背けないことが大切です。
結果を受け入れ自分と向き合うことが、元気を取り戻して一歩ずつ前進する勇気を後押ししてくれるでしょう。
受験に落ちた理由を知る
受験に落ちた現実を受け入れた後は、落ちた理由が何かを考えましょう。
結果には、必ずそこにたどり着くための理由が存在します。
- 偏差値がギリギリの高校だったのに勉強が足りなかった
- 受かるだろうと過信して勉強をおろそかにしてしまった
- 試験内容や出題傾向についての情報が不足していた
- 体調が悪くいつもの実力が出せなかった
- 運が悪かった
理由をできるだけ細かく具体的に挙げるのがポイントです。
自分の行動を見つめ直し、理由を明確にしていく過程をたどることで、結果を受け入れる気持ちの準備ができるでしょう。
なぜ原因分析が必要なのか
失敗を認めて受け入れるとともに、受験に落ちた原因を分析することは、次のステップに向けて歩き出すために大変重要です。
なぜなら、辛い気持ちを少しずつ受け入れながら、原因を追求することは、次の成功のチャンスを掴むことに繋がるからです。
同じ失敗を二度と繰り返さないため
失敗した原因を分析する必要がある理由は、同じことを二度と繰り返さないためです。
原因が分からないままでは、無意識に今までと同じ方法を続けてしまいます。
そうすると、遠くない未来にまた「受験に落ちる」と同じ結果を経験することになりかねません。
「失敗は成功のもと」という言葉の語源は、発明家のトーマス・エジソンの言葉だと言われています。
- 私は失敗したのではない
- ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけ
- 失敗は諦めた時に初めて失敗と言う
- 成功の反対は失敗ではなく挑戦しないことである
これらの言葉は、エジソンが何度も失敗し、それを活かして挑戦した末に多くの発明を生み出した結果を象徴しています。
失敗をしてもその原因を追い求め、改善していくことは、むしろ成功に近づくと言えるでしょう。
受験に落ちた原因を分析することは、同じ失敗を繰り返さない未来へ向かう第一歩に繋ります。
効率よく行動するため
「あの時こうしておけば」と後悔しても、時間は戻りません。
反省をする時間は大切ですが、後悔する時間は短い方が良いと言われています。
後悔:してしまったことを後から悔やむこと
反省:普段の行動やあり方を振り返ってそれでいいか考えること
くよくよと後悔をして前に進まない時間を過ごすことは、大切な時間を浪費していることになります。
効率の良い行動をするためには、受験に落ちた原因を分析すること、反省をして自分の行動を振り返り、これからやるべきことを見つけることが必要なのです。
過去を引きずって後悔しながら日々を過ごすよりも、反省を次に活かすべく、今自分にできることをひとつずつ始めてみましょう。
気持ちを切り替えて次に進むため
原因の分析は、気持ちを切り替えるために役立つ行動のひとつです。
後悔を抱えたまま落ち込んで過ごしていると、ネガティブなイメージばかりが頭に浮かんでしまいます。
原因から見出された適切な対策や改善点を想像することで、次に訪れるであろうポジティブな結果をイメージできるようになるでしょう。
ネガティブな気持ちを切り替えるきっかけになるとともに、次の挑戦へ向けてのモチベーションアップにも繋がります。
将来の成功への道を切り開くためには、しっかりと原因を分析し、気持ちを切り替えて前向きに進んでいく姿勢が大切です。
受験に落ちた場合の進路選択
第一志望の高校受験に落ちてしまった場合、未来が閉ざされたような気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、他にもさまざまな進路が存在し、より自分に合った道が見つかる可能性もあります。
進路ごとの特徴やデメリットを知ったうえで、自分がどの進路を選びたいかを考え、正直な気持ちを保護者へ伝えて話し合ってみましょう。
併願受験した私立高校
第一志望の公立高校に落ちた場合、併願受験した私立高校への進学を選ぶ子どもがほとんどです。
私立高校の多くは、公立高校にはない魅力や特徴を持っています。
- 教育や部活動のための充実した施設
- 試験後の補習や大学進学のための特別講習
- 特定の分野に特化したカリキュラムの柔軟性
- 国際的なプログラムや留学制度
また、教員の異動も少ないため、教員同士のコミュニティの強さや一体感から、人間関係が深まりやすいという傾向もあります。
子どもの性格によっては、公立高校よりも私立高校の方が合っていたということもありえるでしょう。
私立高校は公立高校に比べて金銭的な負担が大きいとされています。
しかし、高校無償化制度や自治体による支援制度などを活用できれば、負担を軽減しながら高校に通うことも可能です。
公立高校の二次募集
公立高校にどうしても通いたい場合は、「二次募集」を受験するという選択肢もあります。
一次募集の合格者数が定員よりも少なかった場合におこなうもの。募集の有無は一次募集の合格発表と同時期に提示される。
気を付けたいのが、どの高校も必ず二次募集をするわけではないということです。
受験したい高校の公式サイトを見たり、直接高校に問い合わせたり、二次募集があるかどうかを確認してみましょう。
一次募集と同じ高校を受験しなければならないという決まりはなく、希望する別の高校の二次募集を受験することもできます。
一次募集に落ちた原因が偏差値や成績である場合は、二次募集で受験する高校を自分の偏差値に合わせるなど、教師や保護者と相談してみましょう。
定時制高校
定時制高校も高校進学の進路選択のひとつです。
- 1日の授業時間が4時間ほど
- 卒業するには3年以上の在籍と74単位の修得が必要
- 夕方から始まる「夜間定時制」や、朝と昼の「昼間二部定時制」、朝・昼・夜の「三部制」がある
- 公立と私立の定時制高校がある
- 学力テストや自己PR、中学の調査書などで試験をおこなう
4年間在学するのが一般的ですが、現在は単位制の学校も増え、履修の工夫によっては3年で卒業できることもあるようです。
以前は定時制高校卒業後は就職する人が多いとされていましたが、現在は大学に進学する子どもも増えています。
ただし、定時制高校では、学習のペースやスケジュール管理を自らおこなわなければいけません。
決められた授業を受ければ良い一般的な高校生よりも、自己管理能力が必要だと言えるでしょう。
学習に向かう姿勢を保つことができれば、高校卒業資格が得られる方法として、定時制高校を選択することができます。
通信制高校
通信制高校は、通信教育で学習する高校を指します。
- おもに単位制
- 卒業するには3年以上の在籍と、74単位以上の修得が必要
- おもに自宅学習で、必要に応じて通学する
- 自宅学習でおこなうレポートの添削、学校で授業を受けるスクーリング、テストによって単位修得が決まる
- 公立と私立の通信制高校がある
- 学力テストや作文、書類審査と面接などで試験をおこなう
必要な単位を修得できれば卒業資格を得られるため、自分のペースで無理なく学業を進められます。
一般的に自宅学習が多くなるため、定時制高校と同様に、学習ペースやスケジュールの管理が必要です。
しかし、通信制高校は学生のニーズに合った学び方を選べる高校が増えています。
スクーリングの日数が年3~5回と少ない高校や、週に1~5回通う高校など、学校によって通学スタイルもさまざまです。
部活動や行事、特別授業が多い学校も存在します。
さらに、多くの通信制高校で、授業以外に受験に役立つ特別カリキュラムや、専門知識を身に付けられる講義などを提供しています。
通信制と言っても、全日制の高校と変わらない学生生活が送れる学校も多く、高校卒業資格は一般の高校と変わりません。
通信制高校への進路を選択することで、今まで想像していなかった新しい可能性を広げることもできるでしょう。
高卒認定試験
高卒認定試験とは「高校を卒業しなくても、高校卒業と同等以上の学力があることを認定するための試験」のことです。
試験に合格することで、大学や短大・専門学校への進学に必要な「高校卒業資格と同等の資格」を取得することができます。
自己学習で高校卒業レベルの学力を身に付けられれば、3年かからずに高卒認定試験に合格することも可能です。
高校に通うことなく、進学や就職に必要な資格と同様の認定が受けられるため、受験に落ちた際の選択肢のひとつになるでしょう。
しかし、一般の高校生活で体験できる行事や部活動、学校生活を通しての教師や友人とのコミュニケーションは難しくなることも事実です。
また、就職には最終学歴が「高卒」であることが有利になります。
「高卒」を目指すのであれば、高卒認定試験ではなく、定時制高校や通信制高校への進学を目指すことをおすすめします。
就職
高校進学をせずに、就職をするという方法ももちろんあります。
若いうちから社会経験を積むことで、仕事でしか学べない職場でのコミュニケーション能力や責任感を早期に身に付けることができるでしょう。
さらに、高校での学費がかからず収入を得られれば、経済的に自立することも可能です。
学歴よりもスキルを重視した業界では、地道な努力や経験が評価に繋がる可能性もあります。
しかし、高校卒業証書がない場合、一部の企業や職種で採用条件を満たせないことがあります。
そのため、自分が就きたい仕事に就けないということもありえるでしょう。
さらに、もし就職できても、「高卒」でないことが将来のキャリアアップや昇進の大きな壁になってしまうこともありえます。
就職を選ぶ場合は、こうした学歴の不足が仕事に及ぼすデメリットをよく理解したうえで、保護者と相談することが大切です。
受験に落ちたショックからの回復法
原因を分析し、新たな進路を選択し直してみても、なかなかショックから立ち直れないこともあるかもしれません。
受験に落ちたショックを感じるのは、ごく当たり前のことです。
辛い気持ちを閉じ込めてしまわずに、涙を流したり、気持ちを吐き出したりする時間も大切にしましょう。
そして、ショックから回復するために効果のある方法をひとつずつ試してみましょう。
新たな目標を設定する
受験に落ちたショックからなかなか立ち直れない時は、新しい目標や挑戦に向けて計画を立ててみましょう。
併願高校入学後にやりたいことや、大学受験、就職に向けての活動など、次に進む方向性が見えてくれば、前向きな気持ちを後押しできます。
アルバイトでお金を稼ぐことや、趣味で制作したものを出品するなど、視点を変えた目標設定でも構いません。
やりたいことがはっきりしてくると、高校で学びたいことが変わってくる可能性もあります。
全日制高校だけでなく、通信制高校など、進みたい進路の選択肢も広がるでしょう。
受験に落ちた経験は決して悪いものばかりではありません。
新しい目標に目を向けるきっかけや、成長の機会を得たことになります。
より楽しく、より良い将来を想像しながら、新しい目標を探してみましょう。
自分に合ったストレス発散法を見つける
気分転換をしたり、ストレスを発散したり、自分を労う時間を持つことはとても大切です。
気持ちを整理するために、散歩をしたり、趣味に没頭したり、仲の良い友人や家族と過ごすことは、心の回復を早める効果が期待できます。
ランニングやヨガなどの体を動かすことがストレス解消になる場合もあります。
他のことを忘れて夢中になれるゲームや料理などは、ネガティブな気持ちを前向きにさせることができるでしょう。
カラオケや旅行など、日常とは違う環境に身を置くことは、気持ちを落ち着けるのに効果的です。
自分に合ったストレス発散法や、気分が楽になる方法、気持ちが落ち着く方法を見つけてみてください。
好きなことや自分をいたわる時間を過ごすことで、元気を取り戻して次の一歩を踏み出すパワーを蓄えましょう。
何でも相談できる場所を作る
辛い気持ちをひとりで抱え込まずに、思っていることを吐き出せる場所を作ることも大切です。
身近な家族、友人、学校の先生に話を聞いてもらうのもいいでしょう。
同じ経験をした子どもを多く目にしてきている塾の先生であれば、気持ちに共感してくれるとともに、新しい視点でのアドバイスをくれるかもしれません。
何も知らない人に話を聞いてもらいたい時は、習い事やカウンセリングの先生に話をしてみるのもいいでしょう。
自分の感情を抑え込まずに、素直に思いを表現できることは、心の重荷を軽くすることに繋がります。
人に話すことで自分の気持ちを整理でき、次に進むべき道が見えてくることもあります。
また、自分だけでは考えつかなかったアイデアや、広い視野での人生の見方を知ることができるかもしれません。
あなたの辛い気持ちや悩みを何でも相談できる場所を見つけ、次のステップに進む力を育みましょう。
受験に落ちた子どもに対しての親の対応
受験に落ちた子どもと同様に、保護者である親も悲しさや不安を抱えていると思います。
子どもがショックで落ち込んでいる姿を見るのは心が痛く辛いものです。
しかし、親の対応は子どもが自分を責めずに安心して次のステップへ進もうと思えるかどうかに大きく関わってきます。
まずは子どもの気持ちを第一に考え、子どもに寄り添った対応を心がけましょう。
親がすべきこと
中学生のうちは、親に認めてもらいたい、親の期待に応えたいと思っている子どもがほとんどです。
受験に落ちたことで、申し訳なさやふがいなさを感じている子どもも多いでしょう。
子どもが一生懸命努力をしてきても、本番に力を発揮できない、本人にはどうにもできない理由があったかもしれません。
親がすべきことは、子どもを否定せず、温かく受け入れることです。
受験の結果ではなく、頑張ってきた過程に目を向けましょう。
そして、受験という大きな壁にぶつかっていった事実を褒めてあげましょう。
ほとんどの子どもが小・中学校では受験を経験しないため、高校受験が初めての受験になります。
大人でも初めて経験すること、しかも合否が伴うことは、緊張も不安も大きく感じるものです。
それを乗りきっただけでも、子どもにとってはとても貴重な経験だと言えます。
今まで子どもが頑張ってきた姿、今も頑張っている姿を認め、受け入れるとともに、辛い時にはいつでも話を聞くという言葉を伝えましょう。
そして、気持ちを打ち明けてくれた時は、ありのまま受け止めましょう。
あなたは今でも頑張っている、そのままでいいんだと伝えることは、子どもの自信に繋がり、ショックを乗り越えて次の目標に向かって歩き出す力になるでしょう。
親がやってはいけないこと
受験の結果を責めること、落ちた原因を子どもに突きつけるようなことは絶対に避けましょう。
「勉強が足りなかった」
「もっと志望校について調べればよかった」
「体調管理をすればよかった」
これらの原因は、本人が自分のこととして最も理解し反省していることです。
自分の力不足を実感してショックを受けているのに、それを再び突きつけられることは、落ち込んだ気持ちにさらに追い打ちをかけることに繋がってしまいます。
子どもが立ち直るどころか、次の目標へ向かって頑張る気力を奪ってしまうことになりかねません。
子どもの自己肯定感が下がり、親への不信感を募らせる原因にもなりえます。
また、親があからさまにがっかりしている姿を子どもに見せることも、できるだけ避けましょう。
子どもは親が思っている以上に、親の気持ちを敏感に感じ取り、罪悪感を募らせてしまいます。
一方、極端に明るい対応や、一方的なアドバイスをされると、逆に子どもの気持ちを追いつめてしまうこともありえます。
親はできる限りいつもと同じ態度で子どもに接し、子どもが話をしたい時はいつでも聞くという姿勢でいることが大切です。
「どこに進学するか」より「何をするか」が大切
高校受験は志望校を決めた時から「どこに進学するか」が目標になってしまいます。
しかし、より大切なのは、高校に進学してから「何をするか」です。
第一志望の高校ではない、私立高校や通信制高校を選んだことで、新しい環境や文化に触れる機会を得られるかもしれません。
自分が興味を持つ部活や研究分野を見つけるきっかけになる可能性もあります。
高校生活の充実感や成果は、進学した学校よりも、自分の人生に向かう姿勢や取り組み次第で決まるものです。
自分の目標や興味が持てるものを探し、それに向かって意欲的に行動することで、充実した高校生活を送ることができるでしょう。
自分がいる場所で「何ができるか」を考えながら、これからの生活で喜びを感じる時間を増やしていきましょう。
受験に落ちても人生はこれから!前を向いて歩きだそう
受験に落ちてショックで立ち直れないほど落ちこんでいるのであれば、それだけ努力をして、時間をかけて高校受験に臨んだ証拠です。
受験までの過程を乗り越え、受験という未経験の試練に立ち向かったあなたなら、これからの人生でもっと輝ける目標を見つけてステップを踏んでいけるはずです。
「受験落ちた」という経験が、失敗ではなく次の成功へのチャンスだと捉え、新しい目標に向かって前を向いて一歩ずつ歩きだしてみてくださいね。