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起立性調節障害でも遊びに行けるのはどうして?ズル休みや甘え・仮病ではない理由

「朝になかなか起きられない」「立ち上がるとフラフラする」などの症状を訴える起立性調節障害という病気をご存知でしょうか。これが原因で不登校になってしまっている人もいますが、なぜか遊びには行けるので周りから「ズル休み」「甘えている」と言われないか不安を感じている人もいます。

起立性調節障害でも遊びに行けるのは、ごく自然なことです。ではなぜ学校にはいけないのに遊びに行けるのでしょうか。

今回は起立性調節障害の症状と同時に、なぜ遊びには行けるのかについて詳しく解説します。直し方や症状緩和の方法も紹介しているので、起立性調節障害で辛い思いをしている人は是非参考にしてください。

起立性調節障害でも遊びに行けるのはどうして?ズル休みや甘え・仮病ではない理由

目次

起立性調節障害について

一般社団法人 日本小児心身医学会によると、起立性調節障害の有病率は中学生で約10%と言われています。軽症から重症まで段階はあるものの、それほど珍しい病気というわけではありません。

起立性調節障害は、初期症状ではなかなか病気だと気がつくことができない病気です。まずは起立性調節障害の症状や診断方法について見ていきましょう。

症状とタイプ

起立性調節障害の主な症状は、日本小児心身学会によると次のとおりとされています。

  • 朝起きるのが困難
  • 立ちくらみ
  • 気分が良くない
  • 失神・頭痛など

これらの症状が午前中に強く出る傾向にあり、午後には軽減されることがほとんどです。起立性調節障害は直接命に関わることのない病気ではありますが、よく似た症状を持つもやもや病やQT延長症候群と判断がつきにくいため、これらの症状が続くようであれば一度病院を受診してみましょう。

起立性調節障害には次の4つのタイプ分けがされており、それぞれ原因が異なります。

  • 起立直後性低血圧:立ち上がった際の血圧低下から回復するまでに時間がかかるタイプ
  • 体位性頻脈症候群:血圧をすぐに回復するものの、起き上がってからの心拍の回復が遅いタイプ
  • 神経調節性失神:起き上がる際中に急激な血圧低下を起こして突然失神するタイプ
  • 遷延性起立性低血圧:立ち上がり続けると血圧が低下して失神するタイプ

特に多いのは最初の2つですが、途中でタイプが変わる場合もあります。患者に共通して見られる症状というものがないぶん、個人で起立性調節障害と判断するのが難しい病気なのです。

診断方法

起立性調節障害そのものは、病気を発症していない思春期の子どもであればその症状を感じることもあります。しかし日常生活にまで支障をきたすようであれば、一度病院を受診してみるのがおすすめです。
社会福祉法人 恩賜財団済生会のホームページによると、次のチェック項目の3つ以上に該当した場合で他の病気ではないと思われる人は起立性調節障害の可能性があるとしています。

引用:社会福祉法人 恩賜財団済生会

ちなみに、起立性調節障害を発症した中学生のうち約2/3は不登校だと言われています。また一見するとメンタルの病気に見えますが、血圧や心拍数の問題であるため、れっきとした体の病気であることを押さえておきましょう。

起立性調節障害でも遊びに行けるのは甘えではない

結論から言えば、起立性調節障害でも遊びに行けるのは、決して甘えでもズル休みでも何でもありません。それほど珍しい病気ではなくなっているものの、起立性調節障害について知っていなければ、周囲からは甘えていると見られてもおかしくないでしょう。

しかしメカニズムや特徴を知っていれば、学校に行けないのに遊びには行けることに対して、過度に罪悪感を覚える必要がなくなるかもしれません。

起立性調節障害のメカニズム

起立性調節障害は、朝起きた時の体調不良や血圧・心拍数の低さから発症する病気です。発症する原因はさまざまですが、ストレスや環境の変化で起立性調節障害を発症し、日常の活動に支障をきたすという流れです。

重度になれば終日倦怠感が強く起き上がれないこともありますが、発症している中学生のほとんどは軽度もしくは中度とされています。この程度であれば午後~夜になると元気になるという特徴があり、友達が遊びに行く時間に一緒に遊びに行くというケースも珍しくありません。

つまり調子が悪いのは、ほとんどが朝方だけであり、時間が経過して徐々に体の機能が整っていくというのが起立性調節障害のメカニズムです。なので、起立性調節障害を理由に学校に行けなくても遊びには行けるというのは決して仮病を使っていると言うわけではありません。

特別な日は起きられることも

個人差はありますが、遊びに行く予定であったり、学校行事でも楽しみにしているイベントがある日には起きられることもあるようです。原因として考えられるのは、前日に早い時間に就寝したことで起きられるようになった点です。

しかし基本的には何かイベントがあるからと言って、朝早く起きられるようになるとは限りません。起立性調節障害は血圧や心拍数に関連する病気であるため、気分ひとつで起きられたり起きられなかったりするようなものではないからです。

実際、起立性調節障害と戦っている人の中には、調子が悪いことを自覚しつつも「相手に悪い」と考えて無理やり体を起こしている人もいるようです。

そもそもサボりたいと思っているわけではない

大前提として、起立性調節障害で朝起きられずに学校に行けない人は、サボりたいと思って起きないわけではありません。繰り返しになりますが、起立性調節障害は自律神経の不調をきっかけとする身体の病気です。「本人は起きたくても起きられないというのが現実」ということを忘れてはいけません。

家族や周りの友人にしてみれば、遊びには行けるのだから学校をサボっているだけではないかと思っても無理はないでしょう。しかし、それは午後で調子が整っているからこそ遊びに行けるのであり、学校を休みたいという漠然とした甘えやサボりから休んでいるわけではないのです。

起立性調節障害を持っている人は、そのことを周囲に打ち明けましょう。もし周囲の友人に起立性調節障害で苦しんでいる友達がいれば、決して甘えて学校を休んでいるわけではないということを理解することが大切です。

起立性調節障害の治し方

起立性調節障害は、小児科や耳鼻科などで受診が可能であり、治療法も確立されています。気合いや根性だけでどうにかなる病気ではなく、きちんとした医師の治療法にしたがって治していく必要があるでしょう。

診断を受けてから治療を受け、完治するまでの大まかな流れを紹介します。あくまでも個人差があることを念頭において、どんな治療が行われるかを知ってください。

診断を受ける

起立性調節障害の特徴として、他の病気に症状が似通っているというものがあります。小児科や耳鼻科で血液検査や画像検査を受け、診断を受けるところから治療が始まります。もしこの時点で他の病気の可能性があるようであれば、その病気の治療を行いましょう。

他の病気の可能性がないと判断された場合は「新起立試験」と呼ばれる試験を行います。簡単に説明すると、横になった状態から起き上がってからの血圧回復にかかる時間や脈拍などを測定する試験です。この試験で異常が認められれば、起立性調節障害と診断されます。

軽度の場合は非薬物療法で

起立性調節障害の基本的な治療方法は、生活習慣の改善です。軽度の場合は病気であることすら気がつかないケースも珍しくなく、放置しておくと学校に行くことが難しくなってしまいます。

軽度の場合は特に薬物治療は必要ありません。昼頃でもいいので、自分が無理なく起きられる時間を設定しその時間に起きるようにします。それと同時に適度な運動や食事に注意することで、起立性調節障害は改善するとされています。

中~重度の場合は薬物療法の可能性も

学校に行けなくなってしまっていたり、朝だけではなく終日不調が続くような状態の場合は、生活習慣の改善とともに薬の服用が勧められる場合があります。

生活習慣の改善だけでは症状の緩和が見込めない場合に投薬治療が推奨されることもありますが、程度によっては効果が薄い場合もあります。また、重度になると起立性調節障害以外の病気を併発しているケースも珍しくありません。

この状態になると、子どもや保護者だけの努力ではどうにもならないでしょう。専門家に相談した上で、その指示に従うようにしてください。

完治までには最大2~3年かかる場合がある

起立性調節障害は、軽症の場合は2~3ヵ月程度で改善するとされています。日常生活に支障がない場合の目安ですが、その人の病気との向き合い方や取り組みによって変わります。きちんと医師の指示に従っていれば、重症化することも長期化することもないと考えていいでしょう。

一方で学校を長期で欠席してしまうような重症の場合は、仮に医師の指示に従ったとしても2~3年程度の時間がかかる場合もあります。こちらも個人差はありますが、違う病気を併発している場合はさらに長くなる可能性も考えられます。重度の起立性調節障害であると診断された場合は、気長に病気と付き合いながら治療に専念してください。

親ができることは寄り添うこと

起立性調節障害の治療を進める上で、保護者ができることを探す人もいます。結論から言えば保護者は、子どもに寄り添うことが重要です。

突然学校に行きたくないと言われたにもかかわらず、遊びには行ける状態に苛立ちを覚える保護者もいるでしょう。ただ単に子どもが甘えているだけだと考えてしまう親も少なくありません。

しかし起立性調節障害は、医療の世界でも病気と認められているものです。休みたいと言われて頭ごなしに叱るのではなく「なぜ休みたいと思ったのか」を訊くなどして、適切な行動を取る必要があります。

自分で起立性調節障害の症状を緩和する方法

生活習慣を整えたり、薬を服用したりする以外にも、自分で起立性調節障害の症状を緩和する方法があります。具体的には次の4つです。

  • 水分と塩分を意識的に摂取する
  • ゆっくり立ち上がるようにする
  • 日中に横にならない
  • ストレスコントロールを心がける

それぞれ詳しく見ていきましょう。

水分と塩分を意識的に摂取する

起立性調節障害を発症する子どもの特徴として、他の同年代の子と比較しすると血液量が少ないという点があります。この血液量を増やすためには、適切な水分と塩分が必要です。

目安としては、水分が食事以外で2L、塩分が食事を含めて10gと言われています。朝起きられずに朝食を抜いてしまう場合は、そのぶん塩分摂取量が少なくなります。意識的な塩分補給が必要です。

ゆっくり立ち上がるようにする

急に立ち上がるようなことはせず、ややうつむきがちで立ち上がり、最後に頭をあげるようにしましょう。起立性調節障害を発症している子どもは、姿勢が変わったときの調節が苦手です。特に長時間同じ姿勢で座り続けていると、下半身に血液が溜まって頭の血液が不足しがちになります。

どうしても立ち続けなければならない場合は、こまめに足を動かしたりクロスさせたりすると、足の筋肉によって血液が循環するようになるためいくらか改善されます。

日中に横にならない

起床後に横になると自律神経が横になっている時の体の状態に調整してしまいます。自律神経は、人が活動しやすいように体の機能を調整する役割があります。起立性調節障害を発症しているとこの調節が苦手で、姿勢に合わせて体の状態を整えるのに時間がかかるのです。

日中も横になってしまうと、午後になっても体を起き上がらせることが難しくなってしまいます。どうしても横にならなければならないときは、頭を心臓よりも高い位置にするようにしてください。

ストレスコントロールを心がける

周囲の協力を得ながら、ストレスコントロールを心がけるのも起立性調節障害の症状を緩和するために必要なことです。ストレスは症状悪化の原因のひとつとされており、自分だけではどうにもならないことに対して両親や学校の先生から理解を得てストレスの原因になるものを取り除く必要があるでしょう。

「午後からなら登校できる」「部活や遊びには行ける」などは、起立性調節障害を抱える子どもによく見られる傾向です。ストレスコントロールをするためにも、周囲の協力を得ながら充実した生活が送れるように環境を整えましょう。

起立性調節障害でどうしても学校に行けないときは?

起立性調節障害の影響でどうしても学校に行けないときは、行ける時だけ学校に行くようにするのがベストです。行けそうな日があるのであれば朝から、午後からなら行ける日があるなら午後から学校に行くようにしましょう。

当然、事前に両親や先生に起立性調節障害について理解してもらう必要があります。中には「甘えているだけ」と判断する人もいますが、病院を受診して診断書をもらえばそのように言われることはなくなるかもしれません。

自分の都合で学校に行く時間を変えるには、周囲にいる大人の協力が必要です。決して甘えではない、サボっているわけではないということを証明するためにも、少しでも症状が現れていたら病院を受診することをおすすめします。

まとめ

起立性調節障害は、周囲からなかなか理解してもらいにくい病気です。午後になると調子が整ってきて遊びには行けるようになるのはごく自然なことです。自分にとってストレスの少ない環境で、起立性調節障害の治療を行いましょう。

起立性調節障害の影響で高校に通うことが難しいのであれば、通信制高校に進学することをおすすめします。ID学園高等学校では、月に一回通学の方法を変更できるので、その時の調子によって柔軟に学校生活を過ごすことができます。

学校には行きたいけど朝起きられないなどで困っている高校生や、これから高校進学を控えている中学生の皆さんは、ぜひ通信制高校という選択肢も考えてみてください。

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