「中学校で不登校だったら高校には行けないの……?」と不安になっていませんか?
もちろん高校進学は可能ですし、不登校だったから高校に行けないということはないので安心してください。
高校といっても全日制・定時制・通信制とでは通い方も学び方も異なります。
不登校を経験している場合、自分のペースで学習を進められる通信制高校がおすすめですが、できれば全日制高校で高校生活のスタートを切りたいという子も少なくないでしょう。
そこで、今回は不登校からの全日制高校進学について解説します。
進路についての正しい情報を得て、前向きに自分の将来を考えてみてくださいね。
目次
全日制高校の特徴
不登校でも行ける全日制高校はあります。
まずは、全日制高校の特徴について見ていきましょう。
学年制は卒業までに3年かかる
全日制高校の多くは学年制をとっており、卒業までに3年かかります。
全教科で学年ごとに定められた単位数を修得できれば進級・卒業できる仕組みです。
義務教育の小中学校では欠席が多くても進級できますが、高校では出席日数と成績が基準に満たなければ留年となるため注意が必要です。
一方で単位制の高校もあります。
単位制でまず浮かぶのは通信制高校ですが、数は少ないものの全日制高校にも存在します。
単位制では、時間割を作成するのは自分です。
授業や試験を受けて単位を修得しますが、留年はしないため1教科落としてしまってもその教科のみ翌年度に取り直すことができます。
全員が決められた通りに進める学年制と違って自由度が高い反面、卒業単位数の把握や学習のモチベーション維持など自己責任を伴う部分も多くなります。
朝から夕方まで毎日学校がある
全日制の一番の特徴としては、平日は毎日朝から夕方まで6時間程度の授業があることが挙げられます。
「高校」と聞いて多くの人が想像するスタイルです。
毎日通えるか不安かもしれませんが、新しい環境は不登校にもプラスに働くことがあります。
不安が先行してあれもこれもできないと制限しすぎることなく、まずは自分のやりたいことを優先に考えてみましょう。
カリキュラムや校風は学校によって異なるため、自分に合った高校を選びます。
全日制高校には、受験に合格しなくては入学できません。
高校選びの際は学力と通いやすさについてもよく考慮することが大切です。
私立と公立がある
高校には私立と公立があります
私立高校 | 公立高校 | |
運営 | 学校法人 (学校ごとに独自の教育がおこなわれる | 地方自治体 (文部科学省によって教育方針が定められている) |
受験制限 | なし | その高校がある都道府県の在住者のみ |
学区制限 | なし | あり |
学費 | 負担は大きい | 負担は少ない |
入試科目 | 3教科(国語・数学・英語) | 5教科(国語・数学・英語・社会・理科) |
入試の内容 | 応用力が問われる | 教科書の内容が中心 |
合格条件 | 内申点と当日の試験結果、オープン入試なら当日の試験結果だけで合格できる場合も | 内申点と当日の試験結果 |
運営母体からかかる学費まで大きく異なり、高校選択の際はまず私立にするか公立にするかから考える必要があります。
どちらに行った方がよいということはありませんが、学力レベル・通いやすさ・受験科目・教育方針・サポート体制・費用面といった部分から優先順位をつけ、行きたい高校を導き出していくとよいでしょう。
全日制高校に行きたい理由
不登校にも多くのタイプがあるように、全日制高校に行きたい理由も人それぞれです。
志望動機に正解はありませんが、よく挙げられる2つの理由をご紹介します。
みんなと同じ環境にいたい
よく理由として挙げられるのが、「みんなと一緒がいいから」「普通の高校生活を送りたいから」というものです。
高校と聞いて多くの人が全日制を思い浮かべることからも、全日制高校への進学が一般的と捉えられていることがわかります。
全日制は、基本的に授業はクラス全員で受け、学校にいる時間が長くなります。
行事も多いため、集団ですごすことで仲間意識が高まります。
学校生活を満喫する、高校生らしく過ごすという面では全日制がおすすめです。
しかし、いくら全日制に行きたいと思っていても、集団行動が苦手であったり毎日の通学が苦痛になったりするようでは3年間通い続けるのは難しいでしょう。
不登校の要因と全日制の仕組みとを照らし合わせつつ、登校が可能かの判断が必要です。
不登校は決して悪いことでも、普通ではないと言われるようなことでもありません。
不登校からの全日制高校進学は勇気を伴いますが、「みんなと同じ環境にいられる」という安心感が得られるのは、高校生活を送るうえでの大きなパワーとなるでしょう。
不登校だった自分をリセットしたい
不登校であることをコンプレックスに感じている子どもは少なくありません。
悪いことではないとわかっていても、学校に行けない状態に罪悪感や劣等感を抱いてしまうものです。
全日制高校への進学は、これまで不登校だった自分をリセットし、新しい自分でやり直せるタイミングといえます。
不登校の原因が学校生活に関するものであれば、中学から高校への環境の変化が気持ちのうえでもよい転換期となるでしょう。
実際、環境が変わったことで毎日通学できるようになり、不登校を克服できる子もいます。
全日制高校へ進学するために意識したい5つのポイント
不登校から全日制高校を目指す場合、受験に向けて意識しておきたいことがいくつかあります。
- 全日制にこだわりすぎていないか考える
- 昼型の生活リズムに移行する
- 志望校の合格条件をチェック
- 学校説明会で疑問を解決
- 受験のために学力アップを
試験を受けるのは子ども自身しかできませんが、友達・先生・家族といった多くの人が進路に関して相談に乗ってくれるはずです。
不安や疑問は話しやすい人に打ち明け、1人で抱え込まないというのも大切なポイントです。
受験シーズンになってから慌てないためにも、先を見据えて早めに準備を進めておきましょう。
全日制にこだわりすぎていないか考える
全日制高校に通いたいという思いは、不登校を克服する意味でもとても前向きなものです。
ただし、「何が何でも全日制だけ」と決めつけてしまうのはおすすめしません。
楽しく自分らしく高校生活を送るためには、学校選びが最も重要です。
不登校の場合は、どうしても選択できる全日制高校の数は減ってしまいます。
「全日制ならどこでもいい」という選び方は危険で、「自分の学力・通える範囲で行きたい全日制高校がある」ことを前提としましょう。
昼型の生活リズムに移行する
全日制高校へ進学するということは、朝起きて登校し夕方に帰宅する生活サイクルが基本となります。
不登校が続いていると、生活リズムが乱れている場合が多いでしょう。
もしかすると昼夜逆転状態となっているかもしれません。
- 朝起きられるように夜は早めに就寝する
- 朝食をしっかり食べる
受験までに最低限この2つを意識して生活を昼型に戻していきましょう。
いきなりの転換は無理なため、まずは1日15分~30分でも寝る時間を早めるところから始めるのがおすすめです。
志望校の合格条件をチェック
全日制では基本的に、学力点とあわせて内申書の存在が合否の大きなウエイトを占めます。
内申書の点数(内申点)は出席日数と成績によって決められるため、出席日数が足りない不登校の子どもは全日制の受験が難しいのが現実です。
出席日数を増やすためには、学校への登校を増やすほかに、保健室やフリースクールへの登校も出席日数に入れてもらえる場合があります。
詳しくは中学校に確認し、受験できる幅を広げていきましょう。
内申点の状況や上げ方についても、学校に相談するのが一番の近道です。
不登校だと全日制に行けないというわけではなく、内申点を選考基準にしていない高校も存在します。
入試のタイプと合格条件から受験できる学校を探し、自分の興味や将来の目標と照らし合わせることが大切です。
すべての学校ではないものの、私立高校には「オープン入試」という枠が設けられています。
内申点に関係なく、入試当日の試験結果のみで合否が決まるというものです。
出席日数が足りずに内申点が受験のネックとなっている不登校の生徒にとって、オープン入試は全日制高校に入学するためのひとつの方法といえます。
ただし、オープン入試は不登校生徒のために作られたものではありません。
内申点は関係ないと謳っていても、学校によっては面接で不登校の理由や出席日数について質問される可能性があると覚えておきましょう。
学校説明会で疑問を解決
夏頃から、多くの高校では学校説明会が開催されます。資料やホームページだけでは学校のすべては把握できません。
少しでも気になる学校の説明会にはぜひ参加してみましょう。実際に足を運ぶことで、その高校の校風や在校生の雰囲気が感じ取れます。
また、中学校で不登校だった場合でも入学が可能か、サポート体制があるかなど、進学に関する疑問を学校関係者に直接質問できるのも説明会の魅力です。
個別相談ができたり入試の傾向を教えてもらえたりすることもあります。
実際に学校で過ごす生徒たちを目にすると、自分の入学後を前向きにイメージでき、受験へのモチベーションアップにもつながるでしょう。
受験のために学力アップを
不登校では、日々の授業を受けられないため、自主的に勉強を進めていなければ学力は低下していきます。
先に説明した、私立高校のオープン入試を利用する場合は特に学力アップが大切です。
内申書の事前情報がないオープン入試では合格基準点が高い場合があり、それなりの学力が求められることになります。
不登校でも学力の向上を目指すには次のような方法があります。
- 家庭教師とマンツーマンで勉強する
- 塾や予備校に通って刺激を受けながら勉強する
- オンラインの受験対策講座で学習する
高校進学というモチベーションがあれば、不登校でも勉強の遅れを取り戻すことは十分可能です。
学校に通うよりも、受験勉強の時間を多く取れるという考え方もできます。
ただし、急に長時間の勉強を詰め込むとすぐにパンクしてしまいます。
短期決戦でも間に合うテスト勉強と異なり、受験勉強は根気とスケジューリングが大切です。
自分に合いそうな勉強方法を見つけたら、まずは自分がどの程度の理解度があるのかを知り、受験までの学習スケジュールを立てていきましょう。
全日制高校以外の選択肢もある
高校は、学び方や通い方で全日制・定時制・通信制に分けられています。
より自分に合った学校を選ぶために、全日制高校以外の選択肢も知っておきましょう。
定時制高校
定時制高校には学年制・単位制どちらの学校もあります。
基本的に平日は毎日通学しますが、授業の時間帯は朝と昼、朝昼夜、夜だけなど学校ごとに異なります。
授業は毎日4時間程度おこなわれ、卒業までには4年かかるのが一般的です。
入試では、学力試験と面接が実施されます。
内申点は選考基準にならないため、通える範囲であれば、ほぼ全員が希望する定時制高校に入学可能です。
通信制高校
中学生時代に不登校の子どもにおすすめなのが通信制高校です。
通学日数をいきなり増やさなくても無理なく高校卒業を目指せる点、学校側としても不登校経験のある生徒を積極的に受け入れているという点が大きな理由といえます。
通信制では学年制ではなく単位制を採用しています。
授業はオンライン、自習とレポート作成が学習のベースで、必要な単位数を修得できれば卒業が可能です。
通信制の入試では、書類選考と面接が一般的です。
作文が必要な場合もありますが、内申点は選考基準に含まれません。
私立の通信制高校では、中学時代の勉強の学び直しや、進学・就職に関するサポート体制も整っていることが多いです。
学校によっては通学日数の少ないコースから始め、高校生活に慣れてきたら通学日数を増やす、さらには全日制へ転入するという選択ができることも。
高校選びに迷った際は、通信制高校も検討してみてはどうでしょうか。
不登校でも進学をあきらめないで!
中学校で不登校だったからといって、高校でも不登校になるとは限りません。
不登校のタイプはさまざまで、高校進学という環境の変化が不登校の克服につながることもあります。
今が人生のすべてと思ってしまいがちですが、まだまだ人生はこれからです。
高校に入学することをゴールとせず、通い続けられるか、卒業できそうかをよく考えて高校選びをおこないましょう。
全日制高校に行きたくても通学に不安がある場合は、通信制高校からのスタートもおすすめです。
自分のペースで学習を進め、高校生活に慣れてきたら、全日制への編入という道もあります。
高校に行けるか考えるだけで不安になっていても次のステップには進めません。
気になる学校のことはできるだけ調べ、実際に足を運んでみることで不安は一気に小さくなります。
親世代の高校受験とは時代が変わっているため、高校の現状を知るだけでも「こんなに目指せる高校はあるよ」「こういう選択肢もあるよ」と子どもの進路の幅を広げられるでしょう。
目標が定まったら、あとは受験に向けての継続的な学習のみです。
不登校でも大丈夫!
多くの生徒が不登校から高校進学を達成し、登校しています。
自分らしい高校ライフ、そして高校卒業を実現するために、今日から情報収集を始めましょう。