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高校生の不登校の原因と対策について

「子どもが急に学校へ行かなくなってしまった」

高校生の不登校についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。

登校できない日数が長くなると、出席日数不足や留年、退学といったリスクも無視できませんよね。

子どもの不登校は各家庭だけで解決できるものではありません。

親と学校、そしてサポート団体とが協力して対応していくことが大切です。

この記事では、高校生が不登校になってしまう原因とその対策について解説します。

目次

不登校の定義

「学校に週の半分しか行けない」「もう何ヶ月も学校に行っていない」「学校に行かずに遊び歩いている」「部屋から出てこない」など、満足に登校できずにいる例は多く挙げられます。

不登校とは厳密にはどのような状態を指すのでしょうか。

文部科学省の調査では、以下のように定義されています。

不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、心身的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。

引用:「不登校の現状に関する認識」.文部科学省.
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/002.pdf

「年間30日以上」という日数の定義があるため、何ヶ月も学校にいない状態だけでなく、仮に「病気以外で継続的に週に2回以上休む」という状態でも不登校だと認識されます。

また、定義には該当しなくても、教室に行かず保健室登校だったり、30日を超えなくともそれに近い日数を欠席していたり、遅刻や早退が多かったりする生徒は少なくありません。

今はなんとか登校を維持できていても、何かのきっかけで状況が悪化してしまうことが考えられるため、原因に合わせた対応を知っておく必要があります。

高校生の不登校の割合は?

次に、高校生の不登校の割合を見ていきましょう。

高校の在籍生徒数3,098,203人
不登校の人数43,051人
不登校生徒の割合1.7%
不登校生徒のうち、前年度から継続の人数11,855人
前年からの継続者が占める割合27.5%
参考:「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」.文部科学省初等中等教育局児童生徒課.2021-10-13
https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

文部科学省の調査によると、2020年度の高校生の不登校人数は43,051人。

全国の高校生の総数が3,098,203人であることから、不登校生徒の割合は1.7%で、約70人に1人が不登校だということになります。

年間30日に満たない欠席日数だったり、遅刻や早退が多かったりでカウントされていない生徒もいるため、実際はこの数字よりも多くの生徒が実質不登校状態にあると考えられます。

さらに、不登校の生徒のうち、前年度から状況が改善せず継続している生徒の割合は27.5%を占めており、約4人に1人が複数年にわたって不登校状態にあるとわかります。

このことからも、不登校を解決していくには長い時間がかかるのだと想定できるでしょう。

小中学校では不登校により学校を長期的に休んでも学校を辞めたり留年したりということはありませんが、高校は違います。

不登校生徒のうち中退した生徒の割合19.7%
参考:「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」.文部科学省初等中等教育局児童生徒課.2021-10-13
https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

不登校生徒のうち、高校を中退した生徒は19.7%という結果が出ていることから、欠席が多ければ出席日数が足りなくなって留年となり、その結果退学するという決断をとる生徒も少なくないと考えられます。

高校生の不登校の原因3分類

不登校の原因は、親の育て方が悪いから、子どもが弱いからと決めつけずに、客観的な見方をすることが大切です。

生徒一人ひとりが抱える問題はすべて異なり、いくつもが掛け合わさった複合的な要因である場合がありますが、原因の分類を把握しておくことで適切な対応ができるようになります。

文部科学省では、高校生の不登校の原因を「学校」「家庭」「本人」の3つの要素に分けて調査しています。

その数字を元に、2020年度の不登校生徒における各原因の割合をまとめました。

1.学校に係る状況

2020年度主な原因である割合主な原因ではないが
当てはまる割合
いじめ0.2%0.0%
いじめを除く友人関係をめぐる問題8.8%2.4%
教職員との関係をめぐる問題0.5%0.4%
学業の不振6.1%4.1%
進路に係る不安4.9%2.5%
クラブ活動・部活動への不適応0.9%0.5%
学校のきまり等をめぐる問題0.8%0.5%
入学・転編入学・進級時の不適応9.2%2.1%
(以下同じ分類表すべて)参考:「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」.文部科学省初等中等教育局児童生徒課.2021-10-13
https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

まずは、学校に係る状況です。

いじめや教師との不適合、先輩後輩との関係、部活動での問題など学校における人間関係が挙げられます。

高校生になって交友関係が広がり、これまで出会わなかったタイプの人とコミュニケーションをとらなくてはならないこともあるでしょう。

そんな中で、友達や先生との関係がうまくいかずに不登校へとつながってしまうケースが多いです。

また、授業に必死についていったものの、徐々に遅れを感じて思い悩み、学業に対する不安や挫折から不登校になる場合があります。

特に進学校の場合は、勉強ができる生徒が集まっているため、「中学校時代は成績上位だったのに……」と辛い思いをすることも。

さらに大学受験が控えているため、思うように成績が伸びないと将来への不安も大きくなり、それが不登校の一因となっています。

2.家庭に係る状況

2020年度主な原因である割合主な原因ではないが
当てはまる割合
家庭の生活環境の急激な変化1.9%0.8%
親子の関わり方3.5%3.3%
家庭内の不和1.7%1.4%

急な家庭環境の変化には大きな不安と緊張が付きまといます。

親の離婚や再婚、引っ越しや家庭内不和といった家庭の事情は子どもの心に大きな影響を与え、ささいなきっかけが不登校への引き金となり得ます。

大人にもさまざまな事情があるものの、本来心を落ち着かせる場所であるはずの家庭で安心が得られない場合、子どもの心身のバランスも崩れやすくなってしまうと認識しておきましょう。

3.本人に係る状況

2020年度主な原因である割合主な原因ではないが
当てはまる割合
生活リズムの乱れ・遊び・非行15.4%4.4%
無気力・不安37.7%6.7%

本人に係る状況というのは、遊びや非行によって不登校になったり、昼夜逆転により生活リズムが乱れてしまう状況を指します。

また、学校や日常生活に対して無気力となり、さまざまな不安に押しつぶされそうになっている場合もあります。

高校生の不登校の原因上位3位

高校生の不登校の原因上位3位

先にご紹介した調査で得られた、高校生の不登校の原因として多いのは次の3つです。

  1. 「無気力、不安」
  2. 「生活リズムの乱れ、遊び、非行」
  3. 「入学、転編入学、進級時の不適応」

それぞれ見ていきましょう。

1位 無気力,不安 

もっとも多い原因は、無気力あるいは不安です。

学校へ行く意味を見失い、日常生活においても無気力になっている状態に明確な理由があるわけではなく、本人にも理由がわからないが行きたくない、ということが高校生には多いようです。

周囲からは、ただ怠けているように見えてしまい、登校を強要されたり叱責されたりして、さらに学校から遠のいてしまうケースも少なくありません。

また、登校時間になると学校へ行く不安から一時的に体調を崩してしまうという症状が出ることもあります。

この場合は、「学校に行かなくてはならないと思っているのに行けない」という子どもの中での葛藤があり、精神的にも負担がかかっています。

無気力や不安などの抑うつ状態が不登校の最も一般的な原因であることは、学校や教育に対する社会的な価値観の変化を現しているともいえます。ただでさえ変化の多い現代社会で生徒たちは、プレッシャーや将来への不安で学校へ行くモチベーションを保ち続けるのが難しくなっています。

我々や保護者の皆様が思っている以上に、生徒達は自身の将来について深刻に向き合っています。特に進学や就職など、これまで正しいとされてきた価値観が揺らぎつつある世の中で、不確実性の高い将来の選択はこれまでよりもずっと難しくなってきています。

生徒にとっては日々の学校生活はそのような難しさに人間関係などが加わり、とても複雑な社会に感じられ、そのストレスが無気力や不安を引き起こす原因となります。

周囲の大人からは見えにくい悩みでもあり、不登校に限らず多くの生徒が日々少なからずストレスを抱えています。子どもの感情に共感し、彼らのストレスを理解しようとすることが非常に重要です。

2位 生活リズムの乱れ、遊び、非行

次に多い原因は遊びや非行で、中学生より行動範囲の広い高校生に多いというのは納得できます。

学校の必要性を感じていないため、あるいは学校や家庭に対する不満を発散するために、遊びや非行の道に進んでいる状態です。

深夜に出歩くことも少なくないため、夜型中心となり、生活リズムが乱れることで登校が難しくなるケースもあります。

ただし、遊びや非行にはしる子どもにも、次のような理由があると考えられます。

  • 交友関係の広がりによって悪影響を受けた
  • 本当は良くないとわかっている
  • 親や先生に反抗したいだけ
  • 友達の誘いを断るのが怖いから

生活リズムの乱れや遊び、非行にはしってしまうといった行動は、高校生にとって一種の逃避行動です。学校や家庭生活での不満から逃れるための手段として現れ、小さいもので言うと、テスト勉強の途中に部屋の片づけを始めてしまうなども逃避行動と言われています。

夜遊びや非行に走ることは、一時的には解放感や所属感を与えてくれ、生徒たちにとっては安心感を得られる行動です。しかし当然のことながら、そういった行動は長期的な解決策にはなりません。

むしろ問題を悪化させることがあります。対策としては、生徒が健全な方法でストレスを解消できるような環境を間接的に提供することが必要不可欠です。また、

遊び歩いていることを頭ごなしに叱りつけても状況は良くなりません。子どもの本心を見極めて、時間をかけて対処するのが理想的です。

3位 入学,転入編入学,進級時の不適応

新入学、転入・編入、進級に共通するのは「環境の変化」です。

  • 思っていた学校生活と違った
  • 友達ができない
  • 苦手な生徒あるいは先生がいる
  • 知り合いのいない地域であるため孤立している

人間に限らず、生き物であれば環境の変化には必ずストレスが生じます。大人であっても新しい職場や部署移動などはとても緊張する場面だと思います。

10代の時期に学校環境の変化、特に新入学・転入・編入・進級の場面は非常に大きなストレスを伴うことは予想に難くありません。自然と高校生の不登校の大きな原因にもなってしまいます。

大人でも難しい、新しい環境に適応することは、特に社会的関係の構築やアイデンティティの確立が難しい年頃の若者にとっては大きな挑戦です。

新しい友人を作ることの難しさや、新しい学校に適応することに伴うストレスは、学校が中心で唯一の社会である学生にとって、とてもセンシティブな問題です。

このような壁にぶつかった時、もし一度立ち止まってしまうと再び立ち向かうのは、大人でも容易ではありません。親が積極的に子どもとコミュニケーションを取り、彼らが抱える問題や感情を共有して支えてあげることも重要です。

不登校の高校生への親の対策方法

不登校の子ども本人は、自分の置かれている状況を悲観し、現在とこれからについて思い悩んでいます。

それと同時に親もまた、不登校について思い詰めてしまっているのではないでしょうか。

「うちの子に限って」「どうしてこんなことに」と受け入れたくない気持ちになるのは仕方ありませんが、不登校は子ども本人にもコントロールできないストレスが原因となっていることがあります。

まずは冷静になって、子どもと向き合っていきましょう。

ここでは、不登校の高校生に対する親の対応の仕方について6つのポイントをお伝えします。

不登校の問題を親と子どもだけで抱え込むことなく、外にも助けを求めてよいと知っておくことが大切です。

強く励ましたり、叱ったりしない

早く問題を解決したい一心で、無理に学校へ行かせたり叱りつけたりしてしまいがちです。
しかし、それでは子どもがより一層塞ぎ込んでしまい、本当の原因を聞き出しにくくなってしまいます。

世間体や他の子と比べそうになる気持ちもここはグッと堪えましょう。

不登校の子どもは、悩み考えた結果、自分自身でどうにもできない状況に陥っています。
まずは、できるだけ普段と変わらない接し方をしながら、「心身ともに休む」という時間を与えることが先決です。

また義務教育を終えてもう大人だからと放任主義になるわけでもなく、一人の人間として悩みを受け止めてあげたいです。

話をよく聞く

親が問いただすのではなく、子どもが自分から話をしてくれるのを待つ姿勢が重要です。

一緒にいる時間が長いからこそ親子関係は難しい一面もあり、互いの気持ちが伝わり合っているとは限りません。

せっかくのコミュニケーションの機会に、話を軽く受け止めたり聞き流したりしてしまっては、子どもは深く傷つきます。

「家族はあなたの味方だよ」というメッセージを発信し続け、家族にだったら頼ってもいい、話してもいいと子どもが思える環境を作ってあげましょう。

話を否定せずに認める

親が子どもの話す内容を否定せず、共感して認めることで、子どもの心も落ち着きます。

意を決して話をしたにもかかわらず、正論と否定で返されてしまっては、その先何も言いたくなくなってしまうかもしれません。

子どもが見つけた目標が、小さなものだったり消極的なものだったりしても、その価値観を認めてあげることで最初の一歩を踏み出せるはずです。

親の意見や一般論と異なっていても、まずは認めて尊重するところから始めていきましょう。

スクールカウンセラーに相談する

親になかなか気持ちを話してくれない場合は、学校の担任へ相談します。

学校での様子から、家庭では知り得ない一面や悩みが見えることもあります。

しかし、中には親にも先生にも心を開いてくれない生徒もいるでしょう。

その場合は、スクールカウンセラーとのカウンセリングを通して、悩みの元を解決できるよう取り組んでいくのがおすすめです。

無理強いはできませんが、子どもがカウンセリングを受けてくれるならば、回数を重ねるごとに心が軽くなっていける可能性があります。

学校に保健室登校(別室登校)を確認する

子どもによっては、みんながいる教室には登校できないけれど、保健室(別室)になら通えるという場合があります。

その状態は不登校からの前進であるため、続けることで登校への自信にもつながります。

保健室登校が可能かどうか、そこで授業を受ける・自習をする場合に単位はどうなるのかを学校に相談してみましょう。

通信制高校への転入を考える

人間関係のトラブルなど、現在通っている学校が不登校の原因ならば、転校することで解決できるかもしれません。

通信制高校であれば、多くの学校で年間を通して転入の受け入れをおこなっています。

スクーリングの頻度が少ない学校を選べば、集団生活が苦手という場合でも無理なく高校生活を送り、卒業を目指せるでしょう。

不登校の高校生に通信制高校という選択肢

先にご説明したように、不登校の高校生には、通信制高校へ転入・編入するという選択肢があります。

不登校だった生徒が多数受け入れられており、学校側にサポート体制が整っていたり、生徒間でも悩みを共有できたりという魅力もあるのです。

不登校だからといって高校卒業を諦める必要はありません。

通信制高校の4つのメリットをお伝えしますので、前向きな解決策としてぜひ参考にしてください。

単位を引き継げる

通信制高校を卒業するには次の3つの条件が必要です。

  • 74単位の修得
  • 3年以上の在籍(転入・編入の場合は前籍校の期間を含む)
  • 30単位時間以上の特別活動への参加

通信制高校に入学した時点で74単位を1から取り始めるのではなく、全日制からの転入・編入の場合は前籍校で修得していた単位を引き継ぐことができます。

そのため、残りの単位数を修得すれば卒業が可能です。

自宅から学習を続けられる

通信制高校ではオンラインで授業が受けられるため、自宅にいながら効率的に勉強を進められます。

学校によっては週5日の登校も可能ですが、年に数回のスクーリング時のみ登校すれば、あとは基本的に自宅学習でよい学校も多数あります。

これまで人間関係に悩まされていた場合は、その辛さから解放されるでしょう。

自分の体調やペースに合わせて登校日数や授業内容を決められるのも魅力のひとつです。

最初は少ない登校回数から始め、徐々に登校回数やコースを変更していける学校もあるので、少しずつ目標をクリアしながらペースを上げていくとモチベーションも上がります。

もちろん、高校なので卒業すれば全日制と同様に「高校卒業資格」が得られます。

大学受験のサポートが手厚い通信制高校で受験対策可能

「全日制高校じゃないと大学進学は無理?」と不安になるかもしれませんが、そんなことはありません。

全日制よりも時間を自由に使える通信制高校では、受験勉強により多くの時間を使えるという強みがあります。

私立の通信制高校では、大学受験に力を入れている学校があり、ハイレベルな授業を展開していることも。

進路相談やサポート体制が整っている学校を選べば、大学進学がより現実的なものとなります。

学習の遅れを取り戻すサポートもある

  • 授業についていけなくなった
  • 不登校の間に長期間勉強から離れてしまった
  • 高校を卒業したいが、もともと学力には自信がない

このように学習面での不安を持つ生徒に対して、中学校の内容を復習してくれるプログラムを用意している通信制高校もあります。

進学校なのか、学習サポートが整っているか、基礎学力の定着に力を入れているかといった部分を学校選びの時点から確認しておくと、入学後の満足度がより高まるでしょう。

高校卒業資格は、これからの自分の将来を切り開いてくれる大切なものです。

不登校だからといって卒業を諦めず、通信制高校という選択肢の検討をおすすめします。

自分に合った通信制高校が、卒業へ向けた新たな一歩をきっと後押ししてくれるはずです。

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