思春期の多感な時期は、さまざまな点で不安や恐怖を感じる時期でもあります。中学生や高校生がこのタイミングにあたりますが、中には学校に行くことに対して怖いと感じてしまう人もいるでしょう。学校に行くのが怖い原因は何かを知ると、おのずと対策や解決策が見えてきます。
学校に行くのが怖いと感じるのは決して悪いことではありませんが、なぜそう感じてしまうのでしょうか。今回は、学校に行くのが怖いと感じる原因と行かなくなると起こることを解説します。
目次
- 学校に行くのが怖い・学校生活が怖いのは自然なこと
- 学校に行くのが怖いのか不安なのかをはっきりさせる
- 学校に行くのが怖いと感じる原因
- 学校に行きたくないときの対処法
- ID学園高等学校で自分に合った学校生活を
学校に行くのが怖い・学校生活が怖いのは自然なこと
学校に行くのが怖いと感じるのは自然なことです。悪いことでもなければ、自分に劣等感を抱えるようなことでもありません。インターネット上には同じ悩みを抱えている人が大勢いますし、SNSで毎日悩みを投稿している人も見受けられます。
大前提として覚えておいてほしいのは、学校に行くのは怖いと思ってしまった自分を過剰に責めないでほしいということです。会社員になっても会社に行きたくない、会社が怖いと感じる人は大勢います。
特に多感な時期である中学生や高校生が、学校に行くのは怖いと感じても何らおかしいことではありません。自分に対して嫌悪感を抱いてしまうかもしれませんが、なぜ学校に行くのが怖いと思ってしまったのか、原因を究明すると解決の糸口が見つかる可能性もありますよ。
学校に行くのが怖いのか不安なのかをはっきりさせる
自分で自分を責めてしまう前に、学校に行くのは怖いのか、それとも不安なのかを知りましょう。一緒ではないのかと聞かれそうですが、怖いことと不安なことは別物です。ドイツの臨床心理士が使用している、簡単な診断法をもとに怖いと不安の違いを見ていきましょう。
学校にある場合は学校不安
学校に行くのが怖いと感じてしまう原因が学校にある場合を「学校不安」と呼びます。学校に行くことで何かしらの不利益や罰を被ると思い、学校に行くのが怖いと思っている状態です。
学校の先生との相性や苦手科目の存在、対人関係やいじめがこれに該当します。学校不安が原因で学校に行くのが怖いと感じてしまっている人は少なくありません。
ただし学校不安の場合は、直接学校に行けない原因となっている要素が何らかの形でクリアできれば、再び学校に行けるようになる可能性が高いと言われています。
なおこの記事では、学校不安と後述する学校恐怖は同じものとして扱います。日本では学校不安も学校恐怖も同じものと捉えられていることが多いためです。「学校不安だからなんとかできるでしょ?」と軽んじることはないので、ぜひこれ以降の内容も参考にしてください。
学校にない場合は学校恐怖
一方、学校に行くのが怖いと思う原因が学校には直接存在しない場合は「学校恐怖」もしくは「学校恐怖症」と呼ばれます。分離不安・分離困難の一種で、家族と引き離されたくない、人の集団や交通機関が怖いなどが主な原因です。
学校恐怖症は病名まで付けられているれっきとした病気とされ、国際的にも認められています。学校不安と違って根本的な原因を取り除くのが難しく、個人や周囲の努力だけではどうにもならない場合がほとんどです。
事実、学校不安の子どもと学校恐怖の子どもの欠席日数を比較すると、学校恐怖の子どもの方が平均欠席日数が長いことが分かっています。
その結果、ますます学校に行くのが怖くなって不登校となってしまい、高校生であれば留年になってしまう可能性もあります。学校に怖いと感じる対象がない場合は、思い切って環境を変えるなどの対処が必要です。
学校に行くのが怖いと感じる原因
学校に行くのが怖いと感じる具体的な原因として次の6つが挙げられます。
- いじめ
- 友達関係
- クラス、教室の雰囲気
- 担任や関係する先生
- 分離不安や過干渉
- 発達障害などの可能性
この記事を読んでくださっている人の中には、なぜ自分が学校に行くのが怖いと感じているのかよく分かっていないという人もいるでしょう。6つの内容を詳しく解説するので、自分がどれに該当するのか考えながら読み進めてみてくださいね。原因がわかると、おのずと対処法が見えてくるかもしれません。
いじめ
学校に行くのが怖くなる原因の中で、まず考えるのがいじめです。あからさまにいじめられていれば即座に気が付きますが、間接的にいじめられている場合はなかなかいじめが原因であると考えられない人もいます。
代表的なもので言えば陰口や独りぼっちになってしまうなどです。悪気のない友達から「○○さんが……」などと聞いていれば、当然ストレスは溜まってしまいます。
また、一度解決しても再びいじめられることはないか、実はまだ続いているのではないかなどの不安がいつ爆発するか分かりません。これらの感情や不安が積み重なって、学校に行くのが怖いと感じてしまうのです。
友達関係
友達関係も、学校に行くことを怖がらせる原因のひとつです。友達も人間ですから、ケンカをしたり意見が食い違ったりしたりすることはあります。あるいは卒業や入学、進学・転校などで今まで仲良くしていた友達と離れ離れになることも。これらが原因で登校ができなくなり、徐々に学校が怖く感じることもあるのです。
また、普段は仲良くしている友達でも、日頃関わっている中で違和感を覚えてしまうこともあるでしょう。違和感が徐々に積み重なると相手に対して不信感を持ってしまい、相手にどう思われているかを気にしすぎて学校に行くのが怖くなることもあります。
友達関係は、些細なことで関係に亀裂が入る難しいものです。それを気にしすぎて学校に行くのが怖くなってしまうあなたは、おそらく他人を気遣える優しい人なのでしょう。相手を傷つけない配慮ができるのは素晴らしいことですが、自分を責めすぎないようにすることも大切です。
クラス・教室の雰囲気
仲がいいかどうかは別問題として、学校ではクラス単位で動く場合がほとんどです。同じクラスには気の合う人もいればそうでない人もいるでしょう。「苦手だなぁ」と感じるクラスメイトがいても、最低1年間は同じクラスであるため、徐々に学校に行くのが辛くなってくるかもしれません。
また、授業によっては小クラスを採用している場合もあり、その雰囲気が合わない場合もあります。部活動や委員会活動も同様です。クラスや教室に溶け込めるようなイベント・出来事があれば解消できるかもしれませんが、チャンスがなく解決しない場合は雰囲気に馴染めないままとなる可能性もあります。
担任や関係する先生
学校での人間関係は、友達はクラスメイトだけではありません。クラスの担任や教科担当、部活の顧問で先生も関わってきます。これらの先生との関係がうまくいかなかったりすると、学校に行くのが怖くなってしまう場合もあります。
先生の中には生徒に対して理不尽であったり、あからさまに態度を変えたりする人も。また、友達関係と同じく周囲から見るといい先生でも自分には合わないというパターンも珍しくありません。
部活動で相性が合わないのであれば退部を検討すれば解決しますが、担任や教科担当はそうではありません。次の学年で担任が変わったら学校に行くのが怖くなくなる可能性があります。
分離不安や過干渉
学校ではなく親が原因となっている場合があります。家や親から離れたくないと嫌がることを分離不安と言い、自立できていない子どもに見られます。1人では不安という気持ちと、自分がいないと親が悲しむという真理が働いた結果、学校に行くのが怖くなるのです。
親が過干渉な場合も学校に行くのが怖くなる原因とされています。分離不安とは逆で、いうなれば親が子離れできないため過剰に子どもに関わってくることです。学校に行けないことに対して親が不安を感じると、その不安が子どもに伝わってしまう悪循環が発生します。
どちらも時間をかけて子ども・親双方が変わらないと解決は難しいのが現状です。
発達障害などの可能性
発達障害やHSPなど、病気ではないものの個人の特性が関係して学校に行くのが怖いと思ってしまう場合があります。これらの特性を持つ人は他人の顔色や環境の変化に対して敏感に反応してしまうため、人付き合いを苦手だと感じることも珍しくありません。
発達障害もHSPも病気ではないため病院に行っても解決しませんが、相談できる専門のカウンセラーや窓口はあります。これらからアドバイスをもらうことで、学校に対する恐怖心がなくなり、学校に行けるようになるかもしれません。
学校に行きたくないときの対処法
学校に行くのが怖い、行きたくないけど、卒業や進級が不安と思ったときには次のアクションを起こしてみましょう。
- 教室外登校をさせてもらう
- 月に1回は休むようにする
- 現在の環境を変えてしまう
学校や親との相談が必要ですが、学校に行くのが怖いときちんと伝えてください。恥ずかしいと感じたり、甘えていると思われたりする不安や心配はあるでしょう。
しかし、自身が学校に行けないのであれば、これらの方法が自分の身を守るために必要だと伝えなければ何も始まりません。隠すことなくきちんと今の気持ちを伝えることが大切です。
教室外登校をする
主にいじめや友達関係に問題がある場合は、教室外登校を相談してみるといいでしょう。教室以外の場所、つまり保健室や図書室などに登校して勉強をする登校スタイルです。ほかのクラスメイトに会う機会はあまりないため、人付き合いが怖くて学校に行けない場合は検討してみるといいでしょう。
ただしこの手段は「学校には行きたい」という意思があるかどうかがカギを握っています。心に深い傷を追うようないじめや友達関係のもつれがあると、そもそも学校自体に行くのが怖いと考えてしまう場合も。
保健室など教室とは違う空間なら登校できる心の余裕はあるかを、自分自身に問いかけて判断してみてください。
月に1回は休むようにする
月に1回など、学校の休みとは別に学校を休む日を決めてもいいかもしれません。何も考えずにしっかりと休息をとる日を決めることです。
発達障害やHSPの人は一般的な人よりも繊細で、いろいろなエネルギーを受け取ってしまいがちです。ほかの人よりも感覚が研ぎ澄まされているために起こることですが、この感覚が敏感すぎて周囲の人が気になりすぎてしまい、疲れてしまう場合もあります。
1日休むことで使っていた神経が休憩でき、結果的に疲れも学校に対する恐怖心も少し和らぐかもしれません。効果は人によってまちまちですが、発達障害やHSPの特性があるのであれば実行してみてもいいでしょう。
休んでいる時は、学校に通っている友達に対して罪悪感を抱くかもしれませんが、気にする必要はありません。なるべく学校のことを考えないでいいような、熱中できる趣味などに没頭するのがおすすめです。
現在の環境を変えてしまう
どうしても自分や親の力では問題の根本を解決できない場合は、フリースクールや通信制高校に入学・編入するなど環境を変えてしまうのもひとつの方法です。具体的には次のような種類があります。
種類 | 特徴 |
通信制高校 | 完全オンラインや週に数回通学するなど学び方に種類がある。卒業後は高校卒業資格がもらえる。 |
フリースクール | 不登校のために解放されている施設で、同じ悩みを持つ仲間と出会える。学習サポート中心だが卒業資格は得られない。 |
適応指導教室 | 学校への復帰を目標にた学習面のサポートを実施。出席が在籍する学校への出席カウント扱いになる。 |
家庭教師・学習塾 | 学習面のサポートをしてくれる存在。高校生の場合、卒業資格などは得られないが、学習面の課題は解決できる。 |
高卒認定試験 | 学力試験に合格することで、高校卒業と同等の能力があるとみなされる試験。年に2回開催される。 |
高校生は卒業資格が気になる人もいるでしょう。上記の選択肢の中では高校卒業資格を取得するには通信制高校に通う必要があります。また、元の学校に戻りたい場合は適応指導教室を活用するといいでしょう。
ID学園高等学校で自分に合った学校生活を
学校に行くのが怖い、でも高校卒業資格は取得したいという人はID学園高等学校を検討してみてください。ID学園高等学校では、自分に合ったスタイルで学校生活を送ることができます。オンラインで日々の学習をすすめる通信型や週1・週3・週5のいずれかで通う通学型スタイル、進学や起業・ビジネスに特化したコースまでさまざまです。
コースは毎月見直しができるため、自身に合った通い方を探しながら勉強できる、毎日通わなくても良い普通科の通信制高校です。学年という枠組みもなく、自分が必要としている授業を受けられます。条件を満たせば全日制の郁文館高校への転籍も可能。体調が悪くなったりしたものの、回復したら全日制で学びたいという人にもおすすめです。
まずは学校に行くのが怖い原因を探る必要があるでしょう。原因を特定すれば、解決策もおのずと出てくるかもしれません。どうしても今の環境では学校に行く恐怖心がぬぐえないのであれば、通信制高校をはじめとする環境に身を移すのも方法のひとつと覚えてくといいでしょう。