フリースクールという言葉は知っているけれど、どんなところかは詳しく知らないという方が多いのではないでしょうか。
この記事では、さまざまな角度からフリースクールについて掘り下げ、詳しく解説していきます。
気になる費用面にも触れていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
フリースクールとはどんなところ?
フリースクールとは、不登校で学校へ行けない子どもたちが、学校以外で勉強したり友達と遊んだりできる民間の施設のことをいいます。
教育相談もおこなわれており、家族以外とコミュニケーションを取りながら社会性を育めるというメリットがあります。
自分と同じように悩みを抱えた仲間、年齢の異なる仲間と過ごす時間は良い刺激となるはずです。
フリースクールを運営しているのは公的機関ではなく、NPO法人や民間企業が多く、個人運営という場合もあります。
入学には試験がなく、小中学校へ在籍しながら利用することになります。
文部科学省もフリースクールを重要視している
文部科学省が2021年に発表した調査結果では、小学校・中学校での不登校児童生徒数は196,127人で過去最多の人数となっています。
2020年度 | 不登校児童生徒数 |
小学校 | 63,350人 |
中学校 | 132,777人 |
計 | 196,127人 |
https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
不登校の児童生徒数は2012年度から8年連続で増加しており、今では軽視できない問題です。
2017年に施行された「教育機会確保法」により、不登校の子どもたちに多様で適切な教育機会を確保することが重要であると意識されるようになりました。
学校へのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの設置はもちろんのこと、学校の外での教育機会としてフリースクールの必要性が再認識され、学校との連携も強くなっています。
フリースクールの種類
同じフリースクールという呼び名でも、目的によって規模や活動内容が大きく変わってきます。
東京や大阪などの大都市にはフリースクールの数も多く多様化しており、より子どもの特性に合った場所を選べるといえるでしょう。
ここではフリースクールを6つのタイプに分けて、その特徴の違いを見ていきます。
支援内容や目的、子どもとの相性を考えながら選ぶのがおすすめです。
学校復帰を前提としないフリースクール
不登校は、子どもが心身ともに疲弊し、自信と学校生活へのやる気を失ってしまっている状態です。
学校へ復帰することを目的とするのではなく、スタッフや友達と過ごしながら子どもが自信とやる気を取り戻せるようにサポートしていきます。
学校復帰を前提としたフリースクール
学校復帰を子どもが希望している場合は、このタイプのフリースクールがよいでしょう。
一時的に学校を離れ、フリースクールで心の充電期間を過ごしながら学校復帰を目指していきます。
復帰時に授業についていけるよう、学校の授業進度に合わせて個別指導してくれるのが魅力的です。
発達障害などの専門家がサポートするフリースクール
不登校の原因のひとつとして、発達障害が挙げられます。
子ども本人が学校へ行きたくても、学習面あるいは対人面でうまく適応できずに悩みやストレスをため込んでしまうことがあるでしょう。
発達障害に特化したフリースクールでは、専門知識と経験が豊富なスタッフによるサポートが受けられ、子どもの「学びたい」を叶えてくれます。
医療機関が運営するフリースクール
フリースクールの中には医療機関が運営、あるいは提携しているところがあります。
心身に疾患を抱える子どもを対象に、適切な医療サポートを交えながら教育の場を提供しています。
通信型のフリースクール
通信制高校やサポート校が、小中学生に向けて開設しているのが通信型です。
高校の先生が対応してくれたり高校と同じ施設が使えたりと、将来の自分を前向きにイメージしながら過ごすことができます。
活動内容はスクールによって異なるため、自分の希望に合ったところを探しましょう。
入居型フリースクール
入居型は、自宅から離れた自然豊かな場所で仲間と共同生活を送るスタイルです。
自立心や自発性、意欲を育むことが目的であり、家庭では得られない刺激が心の成長にもつながります。
生活リズムを整えるためにスケジュールが決められているスクールや、子どもに合わせて自由に活動するスクールなど、内容は多岐にわたります。
サポート校との違い
通信制高校を調べているとよく目にする「サポート校」。フリースクールとどんな違いがあるのでしょうか。
サポート校とは、学校ではなく塾や予備校といった民間の教育機関が運営するスクールのことを指します。
通信制高校に在籍する生徒の学習サポートを主におこなっています。誰でも入学できるわけではなく、次のような縛りがあります。
- 通信制高校在籍者
- 中学校卒業者
- 中学校卒業見込者
注意点として、サポート校だけに毎日通っても学校の単位は得られず、高校卒業資格が得られるわけでもありません。塾のような立ち位置だと捉えましょう。
一方、フリースクールは主に小中学生が対象で、地域の学校と連携しているのが特徴です。
サポート校のような入学資格は必要ありません。学習サポートだけではなく、子どもの生活面や精神面の安定も目指しています。
学年別のフリースクールについて
どの年代の子どもにもフリースクールはおすすめですが、小学生・中学生・高校生で目的や求める内容は大きく変わってきます。
小学生対象
小学生は学習面でも生活面でも、中学・高校とこれから進んでいく基盤を作る時期です。
学校に通えなかったことが大きなデメリットとならないよう、フリースクールを通して他者との関わりや学習意欲を身につけていくことは有効だと考えられます。
ただし、中学受験を考えている場合、基礎を身につけるためのサポートだけでは十分とは言えません。
塾や家庭教師で学力アップを目指すことが必要ですが、それ以前に必要なのは心のケアだということを忘れないようにしましょう。
勉強と精神面のバランスが崩れないよう、フリースクールと家庭との連携も大切です。
中学生対象
中学生の場合、今後の進路について考える必要があります。
不登校だから高校へ進学できないということはなく、無理なく卒業を目指せる通信制高校を選択するケースが多いです。
「こんな高校へ行きたい」「将来はこうなりたい」という目標を持って進学を考えている場合は、学習サポートが充実したフリースクールを選ぶとよいでしょう。
高校生対象
高校生は不登校状態になると、欠席日数によっては留年の対象となり、そのまま中退を考えてしまうケースが多いです。そのため、不登校の高校生がフリースクールに通うことはあまりないのが実情です。
しかし、小中学生対象の施設で高校生の年齢を受け入れていることもあります。その際は、通信制高校への入学、あるいは高校卒業程度認定試験の修得を目指すなど、目標をもって通うとよいでしょう。
フリースクールのQ&A
フリースクールの種類や活動内容についてご紹介してきましたが、最後は実際に利用する際にどうしても気になる3つの疑問についてお答えします。
- フリースクールの学費はいくら?
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学費は施設によって金額に開きがあるものの、入学金と月々の授業料の2つが必要な場合が大半です。
文部科学省の調査によると、入学金で多いのは10,001~30,000円で平均は約53,000円。
授業料で多いのも10,001~30,000円で、平均は毎月約33,000円となっています。
出典:「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う 民間の団体・施設に関する調査」.文部科学省.2015-08-05
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tyousa/__icsFiles/afieldfile/2015/08/05/1360614_02.pdf入学金・授業料の他に、別途費用が必要となる場合もあります。後から追加費用を知って困惑しないよう、事前に確認しておきましょう。
- 学校に出席扱いになりますか?
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小中学校は義務教育であるため、全く学校へ通っていないとしても籍は残ることとなります。在籍している学校の校長が認めた場合に限り、フリースクールへの登校が学校の出席として認められるのがポイントです。
- 学校との違いは何ですか?
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フリースクールと学校の違いは、学年で分けずに異なる年齢の子どもが集まること、入学資格が定められていないことなどが挙げられます。学校のように年間の細かなカリキュラムがないのも特徴です。
まとめ
誰でもなり得る可能性がある不登校。学校以外で学習することができ、家族以外の仲間と時間をともにできるのがフリースクールです。不登校でも多様な教育機会を得られるよう小中学校とも連携しているため、学習面では授業の進度に沿って勉強が可能です。
フリースクールの特徴は、施設によって大きく異なります。通う目的と費用、活動内容、子どもとの相性などを総合的に見て判断しましょう。不登校からの学校復帰へ、あるいは社会へ出るための第一歩として、フリースクールの利用を検討してみてはどうでしょうか。
あなたにあった方法を一緒に考えましょう!