「子どもが中学生になってから全然勉強しなくて……」「放っておいたら、そのうちやる気になるのかしら?」
「やる気を引き出すコツってありますか?」
中学生になった子どもが勉強していない姿を見ると、将来が心配になりますよね。
何度声をかけてもスマホばかり見ていたり、「うるさい」と言われてしまったり、どうしていいかお悩みの方も多いのではないでしょうか?
この記事では、中学生が勉強しない理由と、放っておくと何に困るのか、やる気を出させるコツについて解説します。
「勉強しない」理由と親でもできるサポート方法を知って、子どもの「勉強したい」気持ちを引き出すきっかけを掴みましょう。
中学生が勉強しない理由
中学生が勉強をしない理由は主に以下の5つです。
- 勉強についていけない
- 勉強する習慣がない、やり方が分からない
- 興味のあることが増えてくる
- 遊びの時間とメリハリがつけられない
- 反抗期で素直になれない
ひとつずつ詳しく見てみましょう。
勉強についていけない
中学校の勉強は、小学校のころと比べると内容が難しくなり、量も多く、授業のスピードも速くなります。
授業を聞いているだけでは理解が追いつかず、内容を覚えきれなくなってきます。
なるべく早くわかるところまで戻ってやり直すことが大切ですが、自分で気付いて対応できる子どもはほとんどいません。
復習や予習のやり方がわからないまま時間が過ぎ、その間に授業はどんどん先に進んでしまうため、勉強についていけなくなってしまうのです。
勉強習慣がない、やり方がわからない
中学校に入ると予習や復習が必要になり、テストに向けて計画を立てて勉強しなければいけなくなります。
しかし、小学校の間「学校以外の場所で勉強する」という習慣がなかった場合、家でいつどうやって勉強すればいいのか、何から手をつけていいのかが分からなくなってしまいます。
家で勉強する自分の姿を想像できないこと、具体的な勉強法についてなかなか情報を得られないことが、勉強をしない原因になるのです。
勉強以外に興味のあることが増えてくる
中学生にもなると、スマホを持ったりオンラインゲームに触れる機会が増えたりと、今まで以上に興味のあることがたくさん出てきます。
勉強より「面白い!やってみたい!」と思うことが増えると、どうしても興味があることを優先し、勉強が後回しになってしまいがちです。
特にスマホやゲームは手元にあってすぐに遊べるツールでもあるため、付き合い方を考えて使用しないと勉強に支障がでてしまいます。
スマホやゲームの時間とメリハリがつけられない
中学生はまだ「やるべきこと」と「やりたいこと」のメリハリをつけるのが難しい時期です。
ダラダラとゲームやスマホを見続けてしまうことも少なくありません。
「勉強する前に少しだけ」と思っても、夢中になってしまうと時間がどんどん過ぎてしまいます。時間に区切りをつけることができず、勉強を後回しにしてしまうことが増えていきます。
反抗期の影響で素直になれない
中学生は第二反抗期が訪れる、思春期とも呼ばれる時期です。
大人への成長のプロセスで不安やストレスが増える時期でもあります。
急な体の成長や心が変化することに不安を感じるとともに、ささいなことに反発を覚えてしまいます。
特に親の言うことは「素直に聞きたくない」と思ってしまいがちです。
そんな気持ちの中、「勉強しなさい」と何度も言われると、「やろうと思っていたのに言われたからやりたくなくなった」「勉強なんてしたくない」と感じてしまうのです。
中学生は学年ごとに状況が大きく変わる
中学生は学年ごとに状況が大きく変化します。1年ごとの変化を具体的に見てみましょう。
【1年生】環境変化に慣れるので精一杯
小学校と中学校では著しく環境が変化します。
- 多くの小学校から子どもが集まるためクラスに知らない子が多い
- 教科担当制となり関わる先生の人数が増える
- 部活動や委員会活動では先輩と接する機会が増える
このように、人間関係が複雑になるという特徴があります。
また、勉強する科目やテスト方法の変化も子どもに大きな影響を与えます。中学1年生の間は、変化した環境に慣れるので精一杯という子どもが多いでしょう。
【2年生】部活動がメインで忙しい
1年生は部活内容に慣れる学年、3年生は受験のために引退を考える学年でもあります。
そのため、最も部活動に集中できるのが2年生です。
しかし、試合や発表などに向けて部活動が忙しくなることで、勉強の時間を作るのが難しくなります。
部活動に集中したくて勉強が後回しになったり、部活動で疲れて家に帰っても勉強する気が起こらなかったりすることも多いでしょう。
【3年生】受験への不安とプレッシャーが増大
3年生になると、中学校生活で最も大きなイベントである高校受験があります。
ほとんどの子どもにとって、受験は人生で初めての経験です。そのため、想像以上に不安やプレッシャーを感じる子が多いと言われています。
プレッシャーが勉強をする原動力になる子どももいれば、不安になりすぎて勉強に手が付かなくなる子どもも少なくありません。
勉強しないまま放置すると何に困る?
では、勉強しないまま放っておくと、何か困ることがあるのでしょうか?
中学生のほとんどが、楽しいものには興味があり、楽しいと思えないものには興味を持てないものです。
放置しておくと、楽しいことばかりに夢中になってしまい、勉強を後回しにしている間に学校の授業はどんどん進んでしまいます。
授業についていけなくなると分からないことが増え、自分で勉強をしても理解できず、テストの点数が思うように取れなくなります。
その結果、自信がなくなり、勉強ができない自分にコンプレックスを感じるようになってしまうのです。
さらに、勉強をしないまま放置すると、志望校の選択肢が少なくなります。
日本の社会では、一般的に学歴が低いと就ける職業の数が少なくなると言われています。
今は夢やなりたい職業が決まっていなくても、勉強をしていないと実現が難しい夢もあります。
後になって「この仕事に就きたい!」と思ったときに、自分が望む仕事を選べないという状況になりかねません。
勉強は将来の夢を叶え、可能性を広げるための手段です。
そのため、勉強しない子どもを放っておくことはおすすめしません。
子どもがやる気を出し、自信を持って前に進むきっかけを作るための解決策を考えましょう。
やる気を出すための解決策
ここからは、勉強しない中学生がやる気を出すための解決策をお伝えします。
「勉強したい」と思えるためのコツをひとつずつ見てみましょう。
学習環境を整える
部屋や机の上が散らかっていると、勉強に集中するのは難しいものです。
定期的に親が片づけをしたり、子どもと一緒に片づける場所を決めたり、スッキリとした環境づくりを心がけましょう。
また、勉強より興味のあるものが目に入ると、気が散ってしまいます。
スマホやゲーム、漫画などのアイテムは、目に入らない離れた場所に置きましょう。
さらに、適度に換気をして、暑すぎず寒すぎない温度に室温を調節することもおすすめです。
子どもによって「音がない方が集中できる」「にぎやかな方が集中できる」など、勉強しやすい環境は違います。
静かな自室で集中できない場合は、図書館や自習室を活用してみましょう。
毎日少しずつでも勉強する習慣をつける
普段から勉強の習慣がない場合は、まずは毎日少しずつでも勉強に触れる時間を作ることが大切です。
学校や部活動で疲れてしまって、勉強する気力が起こらないこともあると思います。
そういった場合は、「学校から帰ってすぐ15分だけ」と時間を決めてみる、「朝30分早く起きて机に向かってみる」などの工夫をするといいでしょう。
毎日続けやすい時間を選んで、勉強と向き合う時間を作ることを意識しましょう。
目標を設定する
今後の進路や、なぜ勉強が必要なのかを子どもと話し合い、将来に向けて目標を設定しましょう。
「高校受験に合格」などの遠すぎる目標はすぐに達成できず、勉強に対するモチベーションが下がってしまうことがあります。
そのため、大きな目標へ近付くための小さな目標をいくつも立てるのがおすすめです。
「1日15分は机に向かう」「10問だけは問題を解く」など、まずは子どもが達成しやすい目標を一緒に考えましょう。
ひとつできるようになったら、少しずつハードルを上げた目標に設定し直すといいですね。
勉強の仕方を変える
参考書やテキストでの勉強が合わなければ、学習アプリやオンライン動画で解説を見るといった勉強法もあります。今は漫画形式になった参考書も多く販売されています。
どうしても自宅で勉強に集中できなければ、塾へ入って勉強に触れる時間を作るのもいいでしょう。
まずは、勉強を習慣にすること、楽しいと思える勉強の仕方を見つけることが大切です。
少しでも勉強に興味が持てるやり方を、子どもと一緒に考えてみましょう。
声かけは時間を決めて
勉強をしていない子どもを見ると、どうしても「勉強しなさい」と声をかけてしまいがちです。
「〇時から勉強しよう」と子ども自身が決めていても、その前に何度も声をかけられると、やる気がなくなってしまいます。
そこで、まずは「何時から勉強を始めるの?」と質問を投げかけ、子ども自身に勉強する時間を決めてもらいましょう。
時間になったら「〇時になったよ。」と声をかけるのがポイントです。
自分で決めた時間であれば、反抗期の子どもでも「勉強をしよう」と思いやすくなります。
また、目標達成時の声かけもおすすめです。
「目標の15分勉強できたの?頑張ったね!」など、目標に向かって進めているかを確認しながら、さりげなく褒めるというイメージで声をかけてみましょう。
個別指導塾や家庭教師で学習リズムをつかむ
家での勉強が難しい場合は、個別指導の塾や家庭教師を考えてみるのもいいでしょう。
塾に行っている、家庭教師が来ている間は、「必ず勉強をしなければいけない時間」になります。週に数時間だけでも勉強に触れる時間を作ることで、学習を継続するリズムをつかみやすくなります。
ただし、やる気が出ず、嫌々時間が過ぎるのを待っているだけでは、塾での指導も身に付きません。まずは子どもと勉強の目的についてしっかりと話をしておきましょう。
そして「勉強したい」と思える環境づくりや声かけを心がけたうえで、塾や家庭教師を検討することをおすすめします。
親も学ぶ姿勢を見せる
子どもが自分から勉強をしない場合は特に、子どもがやる気を出すための家族のサポートが必要です。子どもが勉強している時間は、親も本や新聞を読んだり、資格の勉強をしたりするなど、学ぶ姿勢を見せましょう。
ひとりだけ勉強をしているという孤独な気持ちを和らげることができ、親に応援されている気持ちにもなれます。
親が一生懸命に勉強する姿を見ていれば、「勉強は必要なことなんだ」「勉強って楽しそう」「分からないところを相談してみようかな」と思いやすくなります。
これは逆効果!NGな親の接し方
親がついやりがちな言動が、実は勉強しない子どもにとってはNGな接し方かもしれません。
ここからは、子どものやる気を削いでしまう接し方について解説します。
「勉強しなさい」という声かけ
子どもがテスト前に長い時間スマホばかり見ていたら。
勉強すると言って部屋へ向かったのに漫画を読んでいたら。
「勉強しなさい!」「勉強はどうなったの?」とつい言ってしまいますよね。
ですが、「勉強しなさい」と言われると、子どもはむしろ反発してやる気をなくしてしまうのです。この言葉ほど「勉強したくない」と思わせる言葉はない、とまで言われています。
子どものやる気を削がないために、「勉強しなさい」と言いたい気持ちはぐっとこらえましょう。
勉強に対して干渉しすぎる
「どこまでやったの?」「何時から何時まで勉強するの?」「こうした方がいいんじゃない?」など、勉強に対して干渉しすぎるのも、勉強しなくなる原因のひとつです。
干渉されるとかえって反発したくなってしまいます。
また、細かく言われすぎると「勉強していないと疑われている」という気持ちにもなります。
過度な干渉はせず、子どものことを信じて見守る姿勢を忘れないようにしましょう。
勉強してこなかったという親の体験談
親が「中学生のときはあまり勉強しなかった」と話すのは避けるべきです。
子どもが親を見て問題なく生活できていると思えば、「勉強しなくても何とかなりそう」「親がやっていないのに自分がやる必要はない」と勉強の必要性を感じなくなってしまいます。
もし親が勉強をしてこなかったとしても、子どもには「夢を叶えるため、将来の選択肢を増やすためにも勉強は必要」であることを伝えましょう。
子どもの勉強中にスマホをいじる
子どもの気が散る原因になることは避けましょう。
親がスマホをいじったり、笑いながらテレビを観たりしていると、勉強に集中できなくなります。
また、「自分は勉強をしているのになぜ?」と、自分だけが勉強しないといけない状況を不公平だと感じ、勉強をやめてしまう子どもも多いでしょう。
子どもの勉強中はスマホやテレビを見ることは避け、親も資格の勉強をしたり、読書をしたり、一緒に学ぶ時間にできるのが理想的です。
親にもできることはある!勉強しない中学生を前向きに変化させよう
勉強しない中学生を前向きに変化させるには、まず、勉強しないとどうなるのかを子どもとじっくり話すことが大切です。
そして、勉強しない原因を知ったうえで、子どものやる気が出やすい環境を整えることから始めてみましょう。
「勉強してみよう」という気持ちを持続させるためには、親が日頃の行動を振り返るなどの家庭でのサポートも大切です。
毎日楽しく勉強する習慣を身に付けることは、子どもの将来の夢や可能性を大きく広げることに繋がるでしょう。