不登校の児童生徒数は年々増加傾向にあります。
2020年以降は新型コロナの影響を受け、子どもの学習環境や各家庭の環境も大きく変化したのではないでしょうか。
今回は、不登校支援に焦点を当て、具体的にどのようなものなのかをご紹介します。
不登校はどんな子どもにも起きうる問題です。
現在当事者ではないとしても、すべての大人が不登校についての知識と理解を深めておくことをおすすめします。
目次
不登校支援について
不登校の支援は、正しい知識と情報を得た上で、できるだけ早く子どもの状況に合った対応をすることが求められます。学校の外の不登校支援については、各市町村でさまざまな取り組みをおこなっています。
全国に拠点がある支援施設の一例としては以下の通りです。
不登校支援施設 | 運営 |
児童相談所 | 厚生労働省 |
不登校支援センター | 一般社団法人 |
ひきこもり地域支援センター | 厚生労働省 |
発達障害者支援センター | 国立障害者リハビリテーションセンター |
ひきこもりや発達障害に特化した相談窓口は、専門的なアドバイスやさまざまな事例をきくことができ、大変心強い存在です。
このほかにも民間の支援施設は数多く存在するため、お住まいの地域で検索してみるとよいでしょう。
不登校についての理解
不登校という言葉は知っていても、自分がその問題に直面していなければ真剣に考える機会はなかなかないかもしれません。
しかし、適切な対応をとるには学校関係者だけでなく親も不登校についての理解を深める必要があります。
学校に行きたくないと子どもが言ったとき、休みがちなときに、「怠けているのではないか」「ずる休みではないか」「親の育て方が……」などと考えてはいないでしょうか。
不登校はいつ誰に起きても不思議ではないものです。
大人一人ひとりの偏りない正しい認識が、今後の不登校対策の充実にもつながっていくと考えられます。
不登校対策の基本的な考え
不登校対策の基本は「子どもに寄り添うこと」。
学校における対応としては、次の3つのステップが重要です。
- 不登校の未然防止
- 初期対応
- 自立支援
1つずつ詳しく見ていきましょう。
不登校の未然防止
不登校は今や珍しい問題ではありません。
少しでも不登校を減らしていこうと考えるのであれば、起きてから対応していたのでは遅いでしょう。
「不登校を生み出さない」ための取り組みが、不登校対策の第一歩といえます。
よりわかりやすいように授業を工夫する、互いに思い合える教室内の雰囲気を目指すなど、魅力的な学校づくりのための日々の努力は欠かせません。
また、子ども同士のつながりだけでなく、子どもと先生とのつながり、先生と家庭とのつながりを深めていくことで情報共有をしやすくしておくことも大切です。
初期の対応
不登校には早期の対応が大切です。
子どもに不登校傾向が見られたらすぐに対応できるよう、情報収集はもちろんのこと、教育者側としては学校・学級として子どもにどのような対応が可能かを検討する必要があります。
子どもに負荷をかけず、意思を尊重することを前提とし、教育相談の機会を設けたり、家庭訪問したりといった対応をおこないます。
家庭としては子どもが学校に行きたくないという様子に早い段階で気づき学校側に相談するなど1人で原因の確認などできることをするように心がけることも大切です。
自立支援
不登校状態がある程度長引いてしまうと、子どもの進級や進路にも影響を及ぼしてしまいます。
家庭と学校の連携は続けながら、どんな環境なら学校へ少しずつ通えるか、学校以外の機関をうまく使えているか、不登校の子どもが無理なく進学できる選択肢などについて考えていくことが大切です。
不登校でも子どもが社会と切り離されてしまうことのないよう、大人のサポートが求められます。
行政が設置する適応指導教室とは?
不登校の子どもの学校への復帰を目指し、文部科学省が全国に設置しているのが適応指導室です。
教育支援センターとも呼ばれており、学校とも連携しています。
- 生活リズムの改善
- 情緒の安定
- 集団生活への対応
- 基礎学力の向上
以上のような目的を持ち、不登校児童が社会的に自立できるよう支援をおこなっています。
教育相談メインではなく、活動参加を通して復学への準備を進めるのが適応指導教室の特徴です。
今後は適応指導教室が不登校の子ども支援の中核となり、より多くの親子が利用できるよう、未設置地域の整備などが計画されています。
活動内容や学校復帰率
適応指導教室では主に、次のような活動がおこなわれています。
- 教育相談:カウンセリング、グループ面談など
- 体験活動:自然体験、ボランティア体験など
- グループ活動:ゲーム、調理実習など
- 学習支援:教科書を使った指導など
学習支援の大半は個別指導で、中には学校の授業のようなスタイルの学習指導をおこなっている場合もあります。
文部科学省の調査によると、適応指導教室の在籍者数は学年が上がるにつれて増加傾向があり、適応指導教室の在籍者の男女比は、男子:約46%、女子:約54%で女子の方が多い結果となっています。
学校復帰率は、小学校:約42%、中学校:約35%、高校:約43%。
中学生では特に、学年が上がるごとに学校復帰率も上がっていることがわかります。
学校への復帰を目的として掲げると同時に、社会的な自立や居場所の提供としても大切な役割を果たしています。
家庭への訪問指導も
現在の適応指導教室は主に通所希望者(通ってくる方)を対象としていますが、不登校の子どもは施設や教室に行くことができる子ばかりではありません。
家庭の事情に合わせて訪問指導もおこなっている施設が多いです。
不登校に悩む子どもと親に一層寄り添うためにも、今後は訪問型支援を充実させていくことが望まれています。
各家庭への訪問に関してはプライバシーへの配慮が欠かせないものの、訪問型支援を通して家庭が抱えている困難を解決していくことが理想的です。
通信制高校での不登校ケア
通信制高校ではなんらかの理由で不登校を経験した生徒を温かく迎えるケア体制が整っている学校が多く、ID学園高等学校もそのひとつです。
ID学園高等学校では
- スクールカウンセラーによる心のケア
- 養護教諭による心身のサポート
- 「心理教育」授業による心理的サポート
これらのサポート体制を整えております。
まとめ
国や自治体は不登校の子どもに対して支援施設を設け、相談できる体制を整えています。不登校は長期化する可能性がある問題であり、家庭だけで解決できるとも限りません。
家族が、そして何より子ども自身が心身ともに疲弊してしまう前に、サポートを受けてみるのも解決方法のひとつです。不登校に関する知識と豊富な経験があるスタッフのアドバイスが、きっと心を軽くしてくれるでしょう。
いざ支援が必要な立場となったとき、頼れる場所を「知っている」と「知らない」では気持ちの上でも大きな差を生みます。
子どもに関わるすべての大人が不登校支援について正しく理解しておくことが、今後の不登校対策につながっていくのではないでしょうか。