不登校の児童生徒を持つ保護者の方は、お子様を塾に入れるべきかについて悩まれているかもしれません。事実として、不登校の生徒数は年々増加しており、多くの家庭が学校外の教育機関への対応を模索しています。
文部科学省のデータによると、小中学生の不登校生徒は約24万人にのぼり、塾やオンライン学習など、学校外の支援を利用することが増えています。この記事では、不登校のお子様を持つ保護者に向けて、塾を利用するメリット、心構え、そして具体的な支援体制を持つ塾の選び方に焦点を当ててご紹介します。
不登校生が学びの場として塾を選ぶ際のポイントや、塾が学力だけでなく心のケアにも寄与することができる理由も解説していきます。
不登校の児童生徒でも塾に通えるのか
基本的に、不登校のお子様でも塾への入塾は可能です。しかし、すべての塾が適しているわけではありません。不登校の生徒に理解がある塾を選ぶことが重要です。
では、不登校の生徒に理解のある塾とはどのような特徴を持っているのでしょうか?
不登校に理解がある塾とは、その教育方針や講師が、不登校の生徒が抱える状況や心情を尊重し、支援する体制が整っている塾です。講師が生徒に対して「怠けている」といった否定的な言葉を投げかけることなく、一人一人のペースに合わせて前向きにサポートできる環境が整っているかが重要です。
また、入塾テストが必要な進学塾では、不登校の生徒にとっては厳しい環境であることが多いです。特に、期待に応えようと無理をしてしまったり、得意不得意がはっきりしている子どもたちは、進学塾の厳しい学習環境に追いつけないことがあります。
進学塾が目指すのは成績の向上ですが、不登校のお子様には、成績向上だけを重視するのではなく、ストレスを感じさせずに無理なく学べる環境を提供する塾を選ぶことが大切です。講師や生徒が、お子様の心のケアを優先できるかどうかも選定のポイントになります。
塾に通うメリット
不登校の生徒には、「本当は勉強したい」という強い意欲を持ちながらも、「理解できない授業に出たくない」「不登校による遅れを取り戻すのが大変」という悩みを抱えている子どもが多いです。こうした状況の中で、塾は重要な役割を果たすことがあります。この記事では、4つの観点から塾に通うメリットを解説します。
集団授業でないため、心理的な負担が少ない
一般的な個別指導塾では、生徒一人ひとりに合わせたマンツーマンの指導が行われるため、集団授業のように多くの生徒と同時に授業を受けるストレスがありません。これにより、不登校の生徒や社交的な緊張を感じやすい生徒も、安心して学習に集中できる環境が提供されます。
学校で習う範囲を過不足なく学習できる環境がある
学校の授業ではしばしば、教師が一方的に説明を行う時間が長く、生徒が実際に問題を解いたり、その解説を聞く時間は限られていることが多いです。
一方で、学習塾では、生徒が練習問題を解くことや解説を聞くことが中心となって授業が進められます。これにより、学校の授業と塾の指導方法には違いがありますが、教える範囲は同じであるため、塾を利用することで学校のカリキュラムをしっかりカバーすることができます。
不登校のお子様が自宅で独学する場合、そのハードルは非常に高いものがあります。そのため、塾で学ぶことは、復学後の授業にスムーズについていくための大きな助けとなります。もし定期的に通学が可能な状態であれば、塾での学習が良い選択肢であるといえるでしょう。
受験・進学を選択肢にできる
不登校の状態でも、お子様が特定の高校や大学に進学することを望んでいる場合、学習塾の役割は非常に大きいです。塾は、受験対策や学力定着、成績アップの専門家であり、お子様が必要とする学力を身につける上で重要な支援を提供します。塾での学びが進むにつれて、お子様の自信がつくことで、学業外の活動にも前向きな影響をもたらす良いサイクルが生まれる可能性も高まります。
また、文部科学省の方針により、特定の条件下で塾での学習が学校の出席と同等に扱われることがあります。この制度を利用することで、学校に行けない期間があっても、教育の進行を妨げることなく、希望する学校への進学が可能です。具体的な条件などは学校によって異なるため、学校に相談してみてください。
参照:文部科学省「不登校への対応について」
コミュニケーションの機会を得られる
不登校のお子さんが学校を離れると、家族以外とのコミュニケーションの場を失ってしまうことが不安の一因になります。塾に通うことで、定期的に家族以外の第三者とのコミュニケーションの機会が得られるため、受験を控えている場合なども相談相手ができ、精神的に安定しやすくなることが多いです。
学校に復帰しやすくなる
不登校のお子さんが復学するきっかけにはさまざまなパターンがありますが、塾に通っていることが復学のきっかけになることもあります。特に、授業についていけない、成績が下がるなど、学力面で自信がなくなったことがきっかけで不登校に至ったお子さんは、塾でしっかり勉強し、学力があがったことが実感できれば、また学校に行きたいと思う可能性が高いです。
ここでは5つのメリットを紹介しましたが、他にも副次的に得られるメリットもあるでしょう。
塾は不登校のお子さんにとってただの学習場所以上の意味を持ちます。新たな社会的環境でのポジティブな経験が、学校への復帰を促し、学び直しの場としてだけでなく、コミュニケーションの場としてもその価値を発揮するのです。
塾のデメリット
授業料を負担する必要がある
塾に通う際には、入会金、授業料、教材費、設備費など、様々なコストが発生します。料金体系には塾によって幅があるため、各家庭の経済状況に適した塾を選ぶことが重要です。
学校の友達と遭遇することがある
地元の対面授業の塾であれば、学校の友達と遭遇してしまい、少し気まずい思いをするかもしれません。しかし、最初は気まずさを覚えるものの、何かしらの会話から、よく話す友達ができることで学校復帰のきっかけとなることもあります。
無理のない範囲で、継続して通うことで状況が良い方向に変わってくるかもしれません。
不登校の児童生徒におすすめの塾
ここでは、不登校の児童生徒におすすめできる塾の形態を説明します。
個別指導塾
個別指導塾は、各生徒の個性や学力に合わせてカスタマイズされた指導を提供する場所です。この塾形式は、特に学校の授業に追いつけない生徒に適しています。
【個別指導塾のメリット】
(1)生徒の学力に応じた指導が受けられる
個別指導塾では、生徒一人ひとりの学力レベルに合わせたカリキュラムを提供します。例えば、中学3年生の生徒が、苦手な科目を中学1年生のレベルから改めて学ぶことができます。
(2)他の生徒との比較の心配がない(1対1の場合)
集団指導塾の場合、すべての生徒が同じ授業を受けるため、他の生徒との比較や関わりによるストレスが生じることがあります。特に不登校の生徒にとっては、他の生徒と自分を比較することが精神的な負担になることもあります。
個別指導塾では、特に1対1の指導を受ける場合、他の生徒を気にする必要がなく、対人関係の不安が少ないため、不登校の生徒にとって適した学習環境と言えるでしょう。
不登校専門・積極受け入れ型の塾
近年では、不登校専門塾というのも存在します。不登校専門塾は、不登校のお子さん向けに以下のようなサポートを提供しています:
- 学校の勉強に遅れが出ないように学習を支援する
- 心のケアも行う
- 家庭での目標に合わせた支援を行う
これらの塾は、メンタルケアを行いつつ、お子さんが学校の授業についていけるように学習支援をしてくれます。
また、学校への復帰を目指している場合や、単純に学力向上を目指している場合など、各家庭の目標に合わせたサポートが特徴です。
これらの目標に応じてカリキュラムをカスタマイズし、指導を行っているのが不登校専門塾の大きな強みです。
オンライン塾
オンライン塾や映像指導塾は、録画授業を視聴するタイプと、リアルタイムのオンライン授業があります。これらの塾の利用が増えている理由として、以下の3つのメリットが挙げられます。
(1)場所や時間を選ばずに学べる柔軟性
オンライン塾や映像指導塾の大きな利点は、場所を選ばず、自分の好きな時間に勉強ができる点です。自宅はもちろん、カフェや図書館、自習室など、快適な場所で勉強を進めることができます。ただし、公共の場で視聴する場合は、イヤホンを使用して周囲に配慮しましょう。
(2)一般的に費用がリーズナブル
多くのオンライン塾や映像指導塾は、対面形式の塾に比べて低コストです。これは講師の人件費が削減されることが理由の一つです。さらに通学の必要がないため、交通費も節約できます。ただし、塾によっては通常の集団指導塾よりも高額な場合があるので、入塾前に総費用を確認することが大切です。
(3)多様なコースとレベルが選べる
オンライン塾や映像指導塾には、基礎から受験対策まで幅広い講義が用意されています。また、著名な講師による授業が録画されていることも多く、自分の現在の学力に合わせて最適なコースを選ぶことが可能です。
まとめ
不登校のお子様にとって、塾で学ぶことには様々なメリットがあることを説明してきました。お子様の現在の状況や必要としているサポートを理解し、目的に合った塾を選ぶことが大切です。体験授業や見学を通じて、お子さんが安心して学べる環境かどうかを確認し、入塾を検討してください。
不登校に理解のある塾を選べば、心身の回復をサポートしながら学業を進めることができます。また、もし何か問題が発生しても、理解ある講師が適切に対応してくれるため、お子さんも安心して通うことが可能です。
家での自習だけでは不十分な場合や、復学や受験が視野に入る場合には、塾での学習が特に効果的です。ただし、最も重要なのは、お子さんがその塾に馴染み、努力を続けることができるかどうかです。塾との相性を慎重に考え、最適な学習環境を選ぶようにしましょう。
不登校のお子様が再び学ぶ楽しさを見つける手助けとなることを願っています。
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