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高校を辞めたいけど、辞めたらどうなる?進路やデメリットとは

受験勉強を乗り越え、胸を躍らせながら迎えた高校生活。

そんな中、子どもが「高校辞めたい!」と言い出したら、親としてはとても心配になるのではないでしょうか。

学校を続けてほしい一心で、子どもの意見を否定したり登校を強要したりしても、残念ながら解決とはなりません。

では、高校を辞めたらどうなるのでしょうか。

今回は高校中退によるデメリットやその後の進路について解説していきます。

学校に対して抱える悩みや問題はさまざまですが、選択肢の幅を広げるための参考としてくださいね。

目次

高校を辞めたい理由とは

文部科学省の調査によると、2020年度の高校中退者数は34,965人。中途退学率は1.1%です。

年々減少傾向にあるものの、100人に1人は退学しているという数字を考えると、中退は少ないとはいえない状況であることがわかります。

中途退学事由

中退の理由としては、「進路変更」が最も多く43.1%。

次いで多いのは、「学校生活・学業不適応」が30.5%です。

中途退学事由人数割合
進路変更15,087人43.1%
学校生活・学業不適応10,662人30.5%
学業不振2,029人5.8%
病気・けが・死亡1,650人4.7%
家庭の事情1,402人4.0%
問題行動等991人2.8%
経済的理由509人1.5%
その他の理由2,635人7.5%
参考:「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」.文部科学省初等中等教育局児童生徒課.2021-10-13
https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
  • 今通っている学校が合わないと感じ、他の高校への入学を希望している
  • 勉強についていけない
  • 就職したい 
  • 友達との関係がうまくいかない

このような理由によって中退を決意した生徒が多いことを示しています。

具体的な退学理由

では、高校中退の理由として多いものを具体的にご紹介していきましょう。

人間関係に問題がある

なかなか新しい友達ができずに、高校生活が楽しくないという生徒も少なくありません。

全日制高校では毎日同級生と顔を合わせることが欠かせないため、友達とのトラブルなどがこじれると一気に学校へ行きたくなくなる可能性があります。

いじめに苦しんでいるケースも多く、無理に頑張り続けて体調を崩してしまう前に、逃げる勇気も必要です。

先生や部活の顧問と合わない

学校生活において、先生の影響力は大きいものです。

担任あるいは部活の顧問との相性が悪く、学校自体に行きたくなくなってしまうケースがあります。

ただし、クラス替えなどで新しい環境になると気分新たにまた通えるようになることがあるため、中退を決める前に、短期的な問題なのかを見極めることが大切です。

校則が嫌だ

全日制学校に通う以上、ほとんどの場合は校則が存在します。

厳しい校則に縛られたくないと、学校自体が嫌になってしまうこともあるでしょう。

校則が厳しくない学校は限られますが、通信制高校であれば校則に縛られることなく自分らしさと勉強とを両立できる環境が期待できます。

勉強についていけない

厳しい受験勉強はなんとか乗り越えたものの、入学してから授業についていけなくなることも。

進学校の場合は、優秀な生徒が集まっていることもあり、授業に遅れをとってしまうと精神的にも焦りを感じて学校に居づらくなってしまう場合があります。

やりたいことがある

「やりたいことがあるから高校へは行かなくても大丈夫」「高校の時間を使って他のことに打ち込みたい」そんな強い意志を抱いていることもあるでしょう。

明確な目標を早い時点から持っているのは素晴らしいことです。

高校を辞めても後悔がないかをよく考え、将来の計画を立てるのをおすすめします。

海外留学

「日本の学校が合わない」「将来は海外で働きたいので今から勉強したい」といった理由から海外留学を目指す生徒もいます。

規律を大切にする日本の学校のスタイルよりも、個性を活かせる海外の学校の方が自分らしくいられるかもしれません。

高校を辞めたらどうなるか?デメリットはある?の疑問に答えます

高校を辞めたいと少しでも考えている生徒にとって、不安なのは「辞めたらどうなってしまうのか」「デメリットはなんだろう?」ということでしょう。

高校に行かないからといって、いつまでも好きにしていてよいわけではありません。

今後に対しての漠然とした不安は必ず出てくるはずです。

具体的に次のような疑問が考えられます。

  • 就職できない?
    大学進学できない?
    高校を辞めるともったいない?
    将来どんなことで困る?
    もう一度高校に通える?
    他にやりたいことがある場合は辞めるべきか?

それぞれ詳しく説明していきます。

就職できない?

まず、「高校を中退すると就職できないのでは?」という疑問です。

日本では9割以上が高校を卒業している、というのがスタンダードになっています。

さらに、そのうちの約8割が大学や専門学校の道へ進んでいます。高校を中退すると最終学歴は中卒となります。

もちろん中卒でも就職は可能ですが、高卒以上という条件を掲げている企業が多く、中卒では業種の選択の幅も少ないというのが実情です。

高卒と大卒でも収入には格差が出ると言われているため、中卒だとさらに格差が出てしまう可能性があります。

大学進学できない?

大学進学を希望している場合、高校卒業資格を持っていないと受験することができません。

専門学校も同じ条件です。

将来就きたい仕事がある、目指す大学があるのであれば、高校卒業資格は得ておくべきでしょう。

高校を辞めるともったいない?

「せっかく高校に入学できたのにもったいない」という言い方をされることがあります。

「もったいない」というのは、これまでかかった入学金や授業料といったお金の面と、受験勉強から今まで費やしてきた時間を指すことが多いです。

だからといって我慢して無理に通い続けるのがよいとは思えません。

今高校を辞めてしまうことと、これからも通い続けること、どちらが自分の人生にとってプラスになるかを冷静に考える必要があります。

将来どんなことで困る?

高校中退が将来にどんな影響を与えるかというと、やはり「進学時」と「就職時」ではないでしょうか。

高校卒業が当たり前となっている現代では、就職時の求人票に「高卒以上」と記載されていることがほとんどです。

学歴が邪魔をして希望の仕事に応募すらできない、という事態を避けるためにも高校卒業資格は取っておいた方がよいでしょう。

もう一度高校に通える?

編入という制度が高校にはあるため、中退していても別の高校へ入ることができます。

前の学校で修得できていた単位はそのままある程度引き継いで、イチから始めるよりも卒業を目指しやすいのが特徴です。

全日制高校でうまくいかなかった場合、再び全日制に挑戦するより通信制や定時制に編入した方がスムーズに卒業を目指せる傾向があります。

他にやりたいことがある場合は辞めるべきか?

高校に行かずに他のことをやりたい場合もあるでしょう。

「高校に行っている場合じゃない!」

「今やらないと遅れをとってしまう」

高い目標を達成するための思い、あるいは焦りから高校中退を志望するケースです。

夢のために高校を辞めるのが悪いわけではありません。

ただし、一度冷静になって俯瞰で物事を考えてみましょう。

  • 高校とやりたいことの両立はマイナスになるのか
  • もし、自分の夢が変わっても中退に後悔しないか

この点をよく自問自答し、将来の自分にとって後悔のない選択をするべきです。

機会があれば、同じような進路を進んだ先輩の話を聞いてみると、自分では気付けなかった点にも気付けるでしょう。

高校を辞めたいと言われた時の親の対応

子どもに「高校を辞めたい」と言われたら、親はどんな対応をすべきなのでしょうか。

どうにかしたいと思う一方で、誰にも相談できずに抱え込んでしまうかもしれません。

しかし、親の対応によって子どもが心を閉ざしてしまったり、孤独を感じてしまったりする可能性があるため、注意が必要です。

親が意識したい3つのポイントをご紹介します。

まずは本人の話を聞きましょう

大切なのは、子ども本人の話を聞くこと。

「学校を辞めたい、行きたくない」という意思表示は、何らかのSOSである場合が多いです。

親として言いたいこと、諭したいことはひとまず飲み込み、まずは子どもの考えを聞きましょう。

できるだけ感情的にならずに聞き役に徹し、子どもの悩みや考えていることを受け止めます。

つらくて学校に行きたくないため一定期間休むなど、どうしたいのかまで聞けるとよいです。

学校に相談しましょう

子どもの高校中退を防ぐためには、学校への相談も有効です。

担任でなくとも、話しやすい先生がいるのであれば悩みを相談して、一緒に解決策を話し合っていくのが理想的です。

しかし、中には学校に相談すべきではない場合もあるため注意が必要です。

いじめや先生と相性が悪いなど、相談しても子どものためにならず状況が悪化してしまうケースがあります。

その場合は、スクールカウンセラーや外部の相談機関を利用するのがおすすめです。

将来についてじっくり話し合う

子どもの気持ちが多少落ち着いたら、親子での話し合いが必要です。

学校が変われば行けるのか、登校自体が無理なのか、他にやりたいことがあるのかなど、根本にどんな思いがあるかによって適切な選択肢も変わってきます。

親としても不安が募りますが、そこは子どもを不安にさせないようどっしりと構え、前を見据えます。

子ども本人の意思を尊重し、経済面や思い描く将来像とも照らし合わせながら時間をかけて話し合いましょう。

高校を辞めた後の選択肢とは

高校を中退すると決めた場合、その後について話し合っておくことが大切です。

  1. 通信制高校に転入・編入する
  2. 定時制高校を受験する
  3. 全日制高校を受験する
  4. 高等専門学校を受験する
  5. 高卒認定試験を受ける
  6. 働く

これら6つの選択肢から、自分の特性・将来への希望・経済状況などを加味して検討します。

気をつけるべきポイントも頭に入れておきましょう。

通信制高校に転入・編入する

まずは、通信制高校への転入・編入です。

通信制では、不登校や高校中退を経験した生徒を、分け隔てなく受け入れています。

入試に学力試験を設けていないことがほとんどで、作文と面接で入学できるのもポイント。

集団行動を苦手としていたり毎日の通学を苦痛に感じていたりするものの、高校卒業資格がほしいという場合は、通信制高校が向いています。

定時制高校を受験する

定時制高校は、平日に毎日学校へ通う必要がありますが、授業は基本的に朝ではなく午後や夕方からおこなわれます。

そのため、昼間に働いている社会人など幅広い年代の方が通っているのが特徴です。

通信制高校と同じく、入学試験は面接や作文のみのことが多く、入学が難しいわけではありません。

通学自体が苦痛ではないものの、朝から学校に行くのが嫌だという場合は定時制が向いているでしょう。

全日制高校を受験する

全日制から全日制への転校は、転居や病気などの事情がないと認められないことが多いです。

通信制高校や定時制高校を選ぶのが現実的といえるでしょう。

どうしても全日制高校でやり直したい場合、自由に高校を選び直して受験に合格すれば、再入学して1年生からやり直すことが可能です。

高等専門学校を受験する

高等専門学校は、言わば専門学校の入門編です。

工業・医療・ファッションといった分野の専門的な内容について、実習や実技を取り入れた授業が受けられます。

専門的な仕事のスキルを身につけたい、資格を取得したいという方におすすめの学校です。

高卒認定試験を受ける

高卒認定試験を受けて合格すると、高校を卒業していなくても大学や専門学校の受験資格を得られます。

試験は年に2回おこなわれ、不合格科目のみ次の機会に再度チャレンジ可能です。

無事大学に合格し、卒業すれば最終学歴は「大卒」に、途中で辞めてしまうと最終学歴は「中卒」となるため注意が必要です。

働く

社会で働くことを通して自立するのも一つの選択肢です。

高校中退時点では中卒であるため、選べる仕事の数が多いとは言えません。

業種・職種・収入面など、よりよい職場環境を目指すのであれば、働きながら通信制や定時制で学び、高校卒業を目指すのがよいでしょう。

通信制高校がおすすめな理由

全日制高校を辞めたい、自分には合わないと感じている場合は、通信制高校への転入・編入がおすすめです。

集団行動や複雑な人間関係が苦手でも、通信制であれば気にする必要はありません。

自分のやる気ひとつで、勉強ややりたいことに集中できる環境です。

では、通信制高校の代表的なメリットをいくつかご紹介します。

やりたいことを優先できる

朝から学校へ行く必要がない通信制では、自分の好きなように日中の時間を使えます。

スポーツでプロを目指す、芸能活動に力を入れる、資格取得の勉強をおこなうなど本来学校に通っている時間でやりたいことに打ち込めるのは魅力的です。

また、通信制高校には学校ごとにさまざまな特色があり、授業も通常の国語や数学といった教科ばかりではありません。

中には、スポーツ・音楽・美容・アニメ・芸能など専門的なコースを展開する学校もあり、仕事に直結した学びを受けることが可能です。

高校卒業資格も得られる

現在通っている学校から通信制高校へ転入すると、全日制で修得できていた単位数と在籍期間はそのまま引き継ぐことができます。

通信制で自分に必要な残りの単位数を得られれば、毎日学校へ通わずとも高校卒業資格が得られます。

通信制高校の卒業資格と全日制・定時制の卒業資格はまったく同じものです。

自分のペースで学べる

通信制はオンライン授業自学自習がベースとなり、毎日学校へ登校する必要がありません。

単位制は、卒業までに決められた単位数が修得できていればよく、仮に単位を落としても留年するようなことはありません。

単位修得のためにはスクーリングへの参加が必須であるため、まったく学校へ行かなくていいというわけにはいきませんが、年間に数日のみの通学でよい学校もあります。

自分で学習計画を立て、コツコツ勉強を進めれば、無理なく卒業を目指せるのが通信制の大きな魅力です。

学習の遅れもカバーできる通信制高校もある

全日制で授業についていけなかった場合、通信制高校での勉強にも不安を抱えるかもしれません。

しかし、通信制高校ではさまざまな事情を持つ生徒の学習事情に対応できるよう、習熟度別の授業や中学時代の振り返り授業をおこなっているところもあります。

少人数制やマンツーマン制を取り入れているので、わからないところがあってもすぐに聞ける環境です。

学校選びの際は、学習サポートに力を入れている学校を探すとよいでしょう。

高校をやり直せる

全日制でうまくいかなくても、もう一度高校生活をやり直せる!

その思いを叶えるのが通信制高校です。

編入時期は年に何回と決められていることがほとんどですが、転入だと随時受け入れてくれる学校も多く、今通っている高校から通信制高校へ移るのに空白の時期を作らずに済みます。

通信制で自分らしい高校生活を再スタートさせましょう。

指定校推薦もうけられる

通信制高校だからといって、大学進学が不利になることはありません。

指定校推薦の枠が与えられている通信制高校も多くあるため、推薦入試の利用も可能です。

ただし、自分が志望する大学の指定校枠があるとは限らないため、志望大学が定まっている場合はその指定校枠がある、あるいは合格実績の多い通信制高校を選ぶとよいでしょう。

まとめ

高校生活を送る中で、さまざまなきっかけによって登校自体がつらくなることがあります。

高校を辞めるかどうかは、子どもにとって大きな問題です。

悩みや苦痛を抱えているのであれば、高校を辞めるのも仕方ないでしょう。

しかし、就職などの面で不便を感じる可能性があると覚えておく必要があります。

仮に高校を中退したとしても、その後の人生の方がはるかに長く続きます。

だからこそ、子どもの意思を尊重しながら、一人ひとりに合った将来の選択肢を見極めていくことが大切です。

通信制高校では、中退を検討している段階では転入を、すでに中退している場合は編入を積極的に受け入れています。

子どもが抱えた心の傷を癒やしながら、自分らしく高校卒業を目指せるよう、通信制高校の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

目標と優先順位を決めて学校選びを進めれば、きっと自分に合った通信制高校と出会えるはずです。

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