高校生になって大学受験が控えているにもかかわらず勉強しない人がいます。親としては不安がよぎるでしょうが、なぜ勉強しないのか子どもに聞いたことはありますか?もしかすると、子どもが勉強しない理由は何か根深いものがあるのかもしれません。
親は子どもが勉強しないことに対して何とか解決しようと思うでしょう。しかし、実際には親がしてはいけない行動があることを忘れてはいけません。気をつけないと、ますます子どもが勉強しなくなってしまう可能性もあるのです。
今回は、高校生の子どもが勉強しない理由やその末路、保護者の対応について解説します。高校生で子どもが勉強せず、悩んでいる保護者の方々はぜひ参考にしてください。
目次
高校生の子どもが勉強しない理由
高校生になると授業の早さや内容の多さが中学までとは格段に異なり、日々少しずつでも勉強していなければあっという間についていけなくなってしまいます。そんな状況がわかっているにもかかわらず、高校生になっても勉強しない子どもは一定数います。
あるいは、高校生になってから突然勉強しなくなってしまう子どももいるようです。ではなぜ高校生の子どもが勉強しない、あるいは突然勉強しなくなるのでしょうか。代表的な5つの理由について解説します。
勉強が苦手・嫌い
そもそも勉強は苦手、もしくは嫌いという人は、高校生になっても勉強しないでしょう。高校受験の時に頑張って勉強している姿を見ていると、親は「苦手を克服した」「嫌いなのに偉い」と思うこともあります。
しかし、受験が終われば勉強する目的を失うので、受験後はたちまち勉強しなくなるケースも珍しくありません。高校入学後もその苦手意識や嫌いという感情から勉強しないという子も少なくないでしょう。
この状況を放置してしまった結果、周囲の友人より1年以上勉強が遅れてしまった子どももいます。あるいは成績が及第点に届かなかったため、留年してしまう可能性もあるのです。
勉強が理解できるようになったり、点数が取れるようになったりすると、少しずつ勉強するようになるでしょう。個人差はありますが、小さな成功体験を積み重ねていくことで勉強に対する苦手意識は克服できる可能性があります。
授業についていけない
勉強が苦手というのと共通していますが、純粋に授業についていけないという理由があります。高校生になると、中学よりも授業の進度は早く、間に合わせるだけでやっとという子供も少なくありません。
学校の授業についていけない子どもの大きな特徴として、学習習慣が身についていないというケースがあります。高校生になると復習だけではなく、予習を求められる科目も出てくるため、学習習慣が身についていないと学校の授業についていけなくなるでしょう。
あるいは基礎となる学力が出来上がっていないため、学校の授業に追いつけないというケースも考えられます。夏休みなどの長期休暇を利用して総復習をするなどの対策を打てば、2学期以降の授業についていけないという事態から脱却できるかもしれません。
強制されるのが嫌
「勉強しなさい」「テストで悪い点数を取ったらどうするの?」など、強制されるのが嫌で勉強しないという高校生もいます。親から見れば勉強に対してやる気がないという風に見えても、本人は勉強する時間やルールを設けているかもしれません。
子どもが自分のペースで勉強しようと考えているにも関わらず、親が勉強を強制してしまうと、そこには主体性がなくなってしまいます。場合によっては、反抗心から勉強に取り組む姿勢をなくしてしまうという事例もあるようです。
この構図は学校でも同じことが言えます。学校の先生が何かしらの理由で勉強を強制すると、子どもはやらされているという風に捉えてしまい、返って勉強しなくなってしまうのです。
子どものやる気がどのように引き出されるのかは難しいところですが、あまり口やかましく強制せず、本人の自主性に任せてみるというのも重要なポイントです。
勉強に集中できる環境がない
子ども自身に勉強する気があったとしても、周囲の環境が勉強に集中できる状況ではないと勉強しないケースも珍しくありません。
高校生は多感な時期でもあるため、ちょっとしたことで集中力が落ちてしまいがちです。悩みを抱えていたりイライラしたりしていると、勉強しようと思ってもなかなか手につかず、結果勉強しない場合もあります。
ほかにもテレビの音が聞こえる、誰かの話し声がする、習い事の時間が決まっているなどの場合も同様です。部活動や友達との連絡手段として欠かせないスマートフォンなどが手の届く範囲にある時も、同じく勉強に集中できない原因かもしれません。
常に何かを考えたり気にしたりしなければならない環境では、真剣に勉強に取り組めないのも無理はないでしょう。物理的に勉強できない理由はないかを探し、それを取り除いてあげることが重要です。
勉強する意味が分からない
高校生に限った話ではありませんが、勉強する意味が見いだせていないと勉強に消極的になり、勉強しないという選択をとるケースがあります。
保護者は過去の経験から勉強する意味が分かっていることも多いものの、子どもはそうではありません。しかし、それはあくまでも過去に思い当たることがあるからであり、高校生の子どもに同じように理解してもらおうと思っても相当難しい話です。
勉強する意味を子どもに感じてもらうには、具体的な事例をあげて、時間をかけて説明するほかありません。プログラミングであれば専門知識だけではなく数学の知識もいることを、国語であれば円滑なコミュニケーションを図るために必要であることを伝え続けましょう。
「こんなに重要だから勉強しなさい!」とするのではなく、何気ない会話の中で「こうしておけばよかった」などと切り出すのがベストです。「勉強しなさい」につなげてしまうと強制になってしまうので、間違っても強制するような方向には持っていかないように注意しましょう。
勉強しない高校生の末路
末路と言うとオーバーかもしれませんが、高校生で勉強しないままになると、次のような事態に陥ってしまう可能性があります。
- ますます授業についていけなくなる
- 学力とともに自信もなくなる
- 進級できなくなる可能性がある
- 志望校に合格できなくなる可能性がある
それぞれ詳しく見てみましょう。
ますます授業についていけなくなる
勉強していないのですから、当然学校の授業についていくのが難しくなります。1日1時間でも勉強習慣がついていればすぐに追いつけなくなることはないかもしれませんが、その時間も徐々に減っていき、最終的についていけなくなる可能性があるのです。
授業についていけなくなると、勉強が楽しくないと感じるようになってしまい、ますます勉強に興味がなくなってしまうでしょう。最悪の場合、授業を受けることすら嫌になり、学校に行かなくなってしまった事例もあります。
特に高校生になったばかりでは、その進度の早さについていくだけでも大変だと感じる子どもも少なくないでしょう。この時点で勉強しないという選択をしてしまうと、あとあとさらに大変なことになるケースも少なくありません。
学力とともに自信もなくなる
勉強しないままでいると、学力はもちろんのこと、勉強に対する自信もなくなってしまいます。学力が下がるとテストで良い結果を残せなくなることが増え、自己肯定感が低下。最終的に勉強以外でも自信を失ってしまいかねません。
また、学力低下によって先生からの注意や補習の呼び出しが増えると、自信がなくなってしまう生徒もいます。中には気にしない素振りを見せる子どももいますが、自己肯定感が下がってしまうことに変わりはありません。
高校生は内容の難しさも相まって、学力とともに自信を失うケースも珍しくないでしょう。自己肯定感は社会人として活躍するためにも重要なポイントなので、自信を失うと自主性がないまま社会に出てしまう可能性もあるのです。
進級できなくなる可能性がある
高校は小・中学校とは違い、進級に必要な単位を取得していなければ次の学年に進むことはできません。単位制かどうかで内容が変わりますが、一般的な学年生の場合、1年生で30単位必要であればすべて取得しなければ進級できなくなります。単位制の場合は年間で取得する単位数が異なります。
単位が足りなければ進級ができずに原級留置、いわゆる留年が確定し、もう一度同じ学年で過ごさなければなりません。必要な単位は高校によって異なるため一概には言えませんが、勉強しないままにしてテストの結果が芳しくない状況が続くと、進級できなくなる可能性があるのです。
人によっては留年したことで周囲の目が気になってしまい、自主退学を選んでしまうこともあります。また、高校によっては留年の回数に上限が設けられているため、一定数以上留年となると退学処分になる可能性もあります。
退学は本当に最悪のパターンですが、可能性としてゼロではありません。留年や退学にならないためにも、少しずつでもいいので勉強を続けることが重要です。
志望校に合格できなくなる可能性がある
高校生になって勉強しないままになっていると、いざ受験となったときに志望校に合格できなくなる可能性があります。受験勉強と言うと3年生からするイメージを持つ人もいますが、大学受験で出題される範囲は高1・2の範囲が8割を占めると言われています。さらに内容が中学校とは比べ物にならないくらい難しくなっているため、1年間で受験勉強を仕上げるのはほぼ不可能です。
高校生の間に地道に勉強を続け、受験に臨むのがベストと予備校や進学塾では言われています。しかし、勉強習慣が身についていないと、高3になってから総復習しなければならなくなるでしょう。
そうなれば大学受験で必要な対策をする時間が少なくなり、合格の可能性が低くなってしまいます。勉強しない状態が続くと、自分が希望する進路に進めない可能性が高くなることを覚えておいてください。
高校生が勉強しないときの親の姿勢
「高校生になっても勉強しない」と悩みを抱えている親は少なくありません。一方で、子どもが勉強しないことに対してどのような姿勢で関わればいいのかわからないという親もいます。
高校生の子どもが勉強しないときに、親が取るべき姿勢について見てみましょう。
勉強を強制しない
もっとも大事なことは勉強を強制しないことです。勉強を強制すると、子どもは勉強をやらされていると捉えてしまい、やる気を失ってしまいます。結果、さらに勉強しなくなり、逆効果になってしまうケースもあるのです。
子どもと言ってもひとりの人間ですので、誰かに行動を強制されることに良い印象を持つ人はそう多くないでしょう。「勉強しなさい」と言いたくなる気持ちはわかりますが、必要以上にモチベーションを下げないためにもあまり「勉強しなさい」と言いすぎないようにすべきです。
叱りすぎずに見守る
子どもに対して叱りすぎないことも重要です。親が感情的に叱ってしまうと子どもの自尊心が傷ついてしまい、勉強だけではなくほかのことに対しても挑戦する気持ちが薄れてしまうかもしれないからです。
長時間叱ったり、怒鳴ったりするのも子どもの自尊心や自信を損なう叱り方です。とはいえ、まったく叱らないのも難しいでしょう。どうしても叱らなければならない場合は、伝えたいポイントを押さえて、短時間で端的に、冷静に叱ることが重要です。
なぜ勉強しないのかの理由を聞く
子どもを叱る前に知っておきたいのが、なぜ勉強しないのかの理由です。親からするとただ怠けているだけ、甘えているだけに見えても、実際には勉強したくてもできない可能性があるからです。まずはここに耳を傾けて、勉強しない理由を知っておきましょう。
すぐに解決できることであれば、障害となっているものを取り除いてあげることが先決です。逆に一筋縄ではいかない、解決が難しい原因があるのであれば、解決するまで寄り添ってあげると良いかもしれません。
親が見ている姿と子どもの意思は異なる可能性があります。叱ったり過度に悩んだりする前に、なぜ勉強しないのかの理由を聞いてみるようにしましょう。
悩みや不安を解決する
高校生になると急に大人っぽくなり、少しのことでは動じないように見えるようになります。しかし、実際には多感な時期であるため小さなことで傷つきますし、不安を抱えることもあります。勉強に関しても同じなので、小さな不安や悩みでも寄り添って解決まで伴走する意識が重要です。
注意すべき点としては、大人から見ればちっぽけな不安や悩みであってもそれを否定するようなことを口にしてはなりません。強い口調で否定されるとなおさら勉強に向かわなくなるため、優しく見守る姿勢で悩みを聞いて解決まで寄り添ってあげましょう。
まずは会話する機会を作ることが第一優先です。短時間でもいいので子どもと会話する場を設けて、悩みや不安に耳を傾けるようにしてください。
勉強しない高校生の親がやってはいけない行動
勉強しない高校生の子どもに対して、親がやってはいけない行動があります。遠回しに子どもを傷つけてしまう場合があるからです。代表的なものは以下の3つです。
- ご褒美や罰を与えない
- ほかの子と比較しすぎない
- 悲観的になりすぎない
これらを勉強しない子どもに対する対処法として実践してしまうと、あとで親も子どもも困ってしまう可能性があります。なぜやってはいけないのか、その理由を解説します。
ご褒美や罰を与えない
「〇時まで勉強したらご褒美をあげる」という方法で勉強させるのは良くありません。一時的にモチベーションを上げられはするものの、それに慣れてしまうとご褒美なしでは勉強しなくなってしまうためです。
反対に、勉強しないことに対する罰を与えるのも厳禁です。こちらも短期的に効果が見込めるものの、長期的には効果が期待できません。ご褒美や罰を前提にした勉強のさせ方は、根本的な解決にはつながらないことを理解しておきましょう。
ほかの子と比較しない
同級生と比較しすぎないことも重要です。小・中学校と比べれば比較する機会は少なくなるかもしれませんが、子ども同士で成績を比較されると自己肯定感が下がってしまい、ますます勉強から遠ざかってしまう可能性もあります。
また、兄弟と比較するのもやってはいけません。他人でも兄弟でも比較されている事実には変わりはないため、モチベーション低下は避けられないでしょう。肉親も含めて、ほかの子どもと比較するのは厳禁です。
悲観的になりすぎない
「わが子は勉強ができない」と親が悲観的になりすぎると、その不安が子どもにも伝わってしまいます。心配してしまう気持ちはわかりますが、高校生は多感な時期であり、親が悲観的になっていると傷ついたり悩みだしてしまうことを忘れてはいけません。
親は子どもを温かく見守るというスタンスで構えるのが一番です。頼りがいがあると子どもが感じれば、悩みや不安を打ち明けてくれることでしょう。親はどっしりと構えて、子どもが安心して相談できるように待っていてあげるのが最良の行動なのです。
まとめ
「高校生にもなって勉強しない」と感じてしまうのはわかります。しかし、子どもが勉強しないのにはそれぞれ理由があることを忘れてはいけません。勉強しない理由は何なのか、その理由に対して親ができることは何かを考えて、子どもと寄り添ってあげましょう。
子どもは親に対して特別なアクションをしてくれるのを臨んでいるわけではありません。困ったときや悩んでいるときに安心して相談できる相手を求めている場合がほとんどです。親が焦りすぎたり悲観的になりすぎたりせず、子どもと向き合える姿勢を保つことが重要です。