中学生のお子様が朝起きるのが辛そうにしていたり、立ち上がるときにめまいや立ちくらみを感じていることはありませんか?
それは「起立性調節障害」の可能性があります。自律神経のバランスが崩れ、体の姿勢を変える際に血圧が正常に調節されないために起こるものとされています。
本記事では、中学生に多く見られる起立性調節障害について、その症状や原因、診断テストの方法、治療法、そして学校生活や家庭でのサポートについて解説しています。
起立性調節障害とは?中学生に見られる症状と原因を解説
起立性調節障害は、立ち上がった際に血圧の調節がうまくいかず、さまざまな不快な症状を引き起こす疾患と言われます。
この障害は特に中学生の年齢層にも多く見られ、思春期の急速な体の成長や生活環境の変化がその発症に影響を与えるとされています。特に、朝起きるのが苦手であったり、急に立ち上がるときにめまいを感じる場合、起立性調節障害を疑われることがあります。
起立性調節障害の主な症状
起立性調節障害の主な症状には、次のようなものがあります。
※症状が気になる方、詳しく知りたい方は自己判断せず病院での受診をお願いします。
立ちくらみやめまい
急に立ち上がった際に血圧が低下し、脳に十分な血液が行き渡らなくなるため、立ちくらみやめまいを感じることがあります。この症状は特に朝に顕著で、布団から起き上がるのが困難になることがあります。
動悸や息切れ
心拍数の急激な上昇により、動悸や息切れが起こることがあります。軽い運動や階段の上り下りでも心拍数が上がり、疲労感を感じやすくなることがあります。
朝の倦怠感
起立性調節障害のある中学生は、朝の倦怠感を強く感じることが多く、学校に遅刻しがちになることがあります。これにより、学校生活や学業成績に悪影響を及ぼすことがあります。
頭痛や集中力の低下
血圧の不安定さからくる頭痛や、集中力の低下も見られることがあります。これにより、授業中の学習効果が下がることがあります。
起立性調節障害の主な原因
起立性調節障害の原因としては、主に自律神経の機能不全が挙げられます。自律神経は、心臓や血管の働きを調整する役割を持っていますが、これが正常に機能しないと、立ち上がったときに血圧が適切に維持されなくなります。その結果、脳に十分な血液が供給されず、さまざまな症状が引き起こされるとされています。
また、思春期における急激な身体的変化も、起立性調節障害の発症に関与していると考えられています。この時期には、ホルモンバランスの変動や成長による体の負担が増大し、それが自律神経の不安定さを引き起こすことがあります。さらに、ストレスや睡眠不足、不規則な生活習慣も、症状を悪化させる要因となり得ます。
これらの症状や原因を理解することで、起立性調節障害の早期発見や適切な対処が可能になります。
起立性調節障害の診断テスト
起立性調節障害は、特に中学生に多く見られる自律神経の機能障害です。この疾患を正確に診断するためには、適切な診断テストが必要です。中学生に適した診断テストには、家庭で簡単に行える方法から、医療機関での専門的な検査まで様々なものがあります。ここでは、代表的なチェック方法を紹介します。
自宅でできる初期診断テスト
自宅で行える診断テストとして、「立ち上がりテスト」があります。このテストは、起床直後に体を起こした際の血圧と心拍数から、起立性調節障害の兆候をチェックするものです。
起床後の血圧測定
朝、ベッドに横になった状態で血圧を測定します。これが基準値となります。
立ち上がり後の血圧測定
その後、ゆっくりと立ち上がり、1〜3分後に再度血圧を測定します。この際、血圧が急激に低下する場合は、起立性調節障害の可能性があります。
心拍数の測定
同時に、立ち上がる前後の心拍数を測定し、変動を観察します。立ち上がり後に心拍数が20〜30回/分以上増加する場合も、異常のサインと考えられます。
専門的な装置で実際に測らなくても、心臓のドキドキなどでもしかしたらと思う場合にも受診のきっかけにすることができます。
医療機関での診断テスト
医療機関では、より精密な診断を行うためのテストがいくつかあります。以下に代表的なものを紹介します。
ヘッドアップチルト
患者を仰向けに寝かせた状態から徐々に立てた姿勢に移行させ、血圧や心拍数の変動を観察するものです。起立性調節障害の患者は、立った姿勢にすることで血圧が低下し、心拍数が上昇することを確認します。
血圧のモニタリング
24時間にわたり血圧を記録することで、日常生活における血圧の変動を詳細に分析します。これにより、症状がどの時間帯に強く現れるかを把握することができます。
自律神経機能検査
心拍変動や皮膚電気活動などを測定し、自律神経の状態を評価します。これにより、起立性調節障害以外の自律神経に関連する疾患との鑑別診断が可能とされます。
症状日記の活用
診断の一環として、日常生活での症状を記録する「症状日記」の作成も有効とされています。特に、朝の体調や立ちくらみの頻度、体調不良が現れる状況などを詳細に記録することで、医師が診断を下す際の重要な情報となります。これにより、患者自身も症状のパターンを把握しやすくなります。
起立性調節障害は、診断が難しい疾患の一つとされますが、適切な診断テストを通じてその存在を確認することが可能です。自宅での簡単なテストから専門的な医療機関での検査まで、様々な方法が存在します。特に中学生の患者に対しては、学校生活や日常生活への影響を最小限に抑えるため、早期の診断と適切な対応が重要と言えるでしょう。
起立性調節障害の中学生活への影響と対策
起立性調節障害は、中学生の学校生活に大きな影響を与える疾患です。自律神経の異常によって、朝の起床が困難であったり、立ちくらみやめまいなどの症状が頻繁に現れるため、登校や授業中の集中力に支障をきたすことが少なくありません。
ここでは、起立性調節障害が中学生の生活に及ぼす具体的な影響と、その対策について紹介します。
学校生活への影響
遅刻や欠席の増加
起立性調節障害の主な症状の一つである朝の倦怠感やめまいにより、朝起きることが非常に難しくなります。このため、遅刻や欠席が増える傾向があります。特に、朝の通学時間が早い学校や、授業の開始時間が早い場合には、これが顕著になります。
授業中の集中力低下
血圧の不安定さが原因で、授業中に突然めまいや立ちくらみを感じることがあります。このような状態では、集中力が持続せず、学業成績に影響を与える可能性があります。また、体調不良によって授業に参加できないこともあり、学習内容の遅れが生じることもあります。
体調不良による体育や部活動への支障
起立性調節障害の影響で、運動時に心拍数が急激に上昇することがあります。このため、体育の授業や部活動に参加することが困難になる場合があります。特に激しい運動は避けるべきとされており、学校側の理解と配慮が必要です。
対策するには
学校との連携
起立性調節障害を理解し、適切に対応するためには、学校との連携が不可欠と言えるでしょう。担任の教師や学校の保健室のスタッフと症状について情報を共有し、適切なサポートを受けることが大切です。
例えば、体調不良時には保健室で休息を取ることが許可される場合があります。また、遅刻や欠席についても、柔軟に対応してもらえるようにすることが望ましいです。
高校進学を考える際、全日制高校の時間割が体調に合わなそうだと感じる場合は「定時制高校」や「通信制高校」を検討してみるのもよいでしょう。特に「通信制高校は、普段の授業に無理して参加しなくてもよい、自分のペースで体調に合わせながら学べるという環境があります。ID学園高等学校では、週0日⇔週1日⇔週3日⇔週5日のコースがあり、毎月コース変更ができるほか、通信制高校で参加必須のスクーリングも宿泊無しであるほか、遠方へ出向く必要もありません。午前中が苦手な方に夕方のスクーリング時間も増設しています。
授業や試験の配慮
授業中に症状が現れた場合には、席を立って休憩することができるように配慮する必要があります。
また、定期試験などの際には、体調に合わせた時間配分や別室での受験が認められることもあります。
ご家族のサポート
家庭でも、起立性調節障害を持つ中学生に対してできるサポートが大切です。朝の準備時間を十分に確保し、ゆっくりと起き上がれる環境を整えることが大切です。また、規則正しい生活リズムを維持するために、早寝早起きを習慣づけることも効果的です。さらに、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけることで、症状の改善が期待できます。
精神的なケアとサポート
起立性調節障害の症状が続くことで、本人自身がストレスや不安を感じることがあります。そのため、心理的なサポートもとても大切です。学校のカウンセラーやメンタルヘルスの専門家に相談することもできますが、まず一番なのは、身の回りの家族や友人とのコミュニケーションを大切にし、少しでも元気づけてあげることが必要です。
起立性調節障害は中学生の学校生活に多大な影響を及ぼす可能性がありますが、適切な対応をすることで、改善していくことができます。学校との連携や家庭でのサポート、そして専門家との連携を組み合わせることで、症状の改善とともに学業への影響を最小限に抑えることができるでしょう。
起立性調節障害の治療法
起立性調節障害の治療には個々の症状や生活環境に応じたアプローチが求められます。この障害は自律神経のバランスが崩れることにより発生するため、治療法も多岐にわたります。ここでは、中学生に適した治療法とその対策について詳しく解説します。
生活習慣の改善
まず、起立性調節障害の治療において最も基本となるのが、生活習慣の改善と言われています。規則正しい生活リズムを確立し、ストレスの少ない環境を作ることが重要です。
規則正しい睡眠
睡眠不足は自律神経の働きを悪化させる原因となります。毎日同じ時間に就寝し、十分な睡眠時間を確保することが重要です。特に、夜更かしを避け、早寝早起きを心がけることが大切です。
バランスの取れた食事
栄養バランスの取れた食事を摂ることで、体調を整えます。特に、朝食は一日のスタートを支える重要な食事です。塩分や水分を適度に摂取することで、血圧の維持にも役立ちます。
適度な運動
適度な運動は血流を促進し、自律神経の調整に寄与します。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を日常生活に取り入れることが推奨されます。ただし、無理をしない範囲で行うことが重要です。
薬物療法
症状が重い場合や生活習慣の改善だけでは不十分な場合には、薬物療法が考慮されます。医師の診察を受けた上で、適切な薬物を処方してもらうことがあります。
血圧調整薬
血圧の低下を防ぐために、血圧を上昇させる薬が処方されることがあります。これにより、立ちくらみやめまいの症状が軽減されることが期待されます。
自律神経調整薬
自律神経のバランスを整える薬が使用されることもあります。これにより、心拍数の安定や精神的な落ち着きを得ることができます。
漢方薬
場合によっては、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は自然由来の成分を用いた治療法であり、体質改善を目的とされています。
心理的サポート
起立性調節障害の治療には、心理的サポートも重要な要素です。先述の通り、長期間にわたる体調不良は、本人の精神的な健康にも影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
カウンセリング
学校内外のカウンセラーと定期的に相談することで、精神的な負担を軽減することができます。心のケアを行うことで、ストレスの緩和や症状の改善が期待できます。
家族の支援
家族の理解とサポートは、治療の一環として非常に重要です。子どもが抱える悩みや不安を理解してあげることが大切です。
学校との連携
学校生活においても、起立性調節障害の影響を最小限にするための配慮が必要です。学校と連携し、子どもが快適に学習できる環境を整えることが求められます。
柔軟な対応
体調が優れない日には、遅刻や欠席が許容されるような柔軟な対応を求めることが重要です。また、試験や課題の締め切りに関しても、必要に応じて延長が認められるように事前に相談しておきましょう。
健康管理室の利用
体調不良時には、学校の健康管理室で休息を取ることができるようにしておくと安心です。学校の保健師との連携を強化し、適切なケアを受けられるようにしましょう。
起立性調節障害の治療には、生活習慣の改善や薬物療法、心理的サポートなど、多角的なアプローチが必要です。中学生という特有のライフステージにおいて、学校や家庭でのサポートが不可欠です。寄り添う気持ちと、適切な治療と支援を受けることで、子どもたちが健康で充実した学校生活を送るための助けとなるでしょう。
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