「通信制高校と全日制高校、どちらが大学進学に向いているのか」という問いには、一概に答えることは難しいでしょう。それぞれの学校形態が持つ特性を理解し、自分にとって最適な学習環境を選ぶことが重要です。通信制高校は自主学習が中心で、自己管理能力を要求されますが、全日制高校はより伝統的な学習スタイルと支援体制を提供します。それぞれのメリットを考慮した上で、自分の学習スタイルや進学目標に合った学校選びをすることが望ましいと思われます。
本記事では、生徒や保護者様が、高校を選ぶ際の参考にして頂けるように、様々な軸から2つの高校を比較していきます。
通信制高校と全日制・定時制の違い
まず、日本の高校の種類について確認しておきましょう。日本の高校には、通信制、全日制、定時制の3種類の教育課程が存在します。
通信制高校は、その名の通り通信による教育が行われるため、全日制や定時制とは異なり登校の頻度が少ないですが、卒業時には同様に「高校卒業」という資格が与えられます。このため、通信制高校を卒業した後に進学しない場合でも、最終学歴は「高校卒業」として扱われます。
また、高校を卒業するためには、いずれの課程も3年以上の在籍が必要であると、学校教育法で規定されています。
それでは実際にどのような違いがあるのか、「登校頻度・授業形態・在籍期間」の3つの点から見ていきましょう。
登校頻度
全日制高校では通常、平日の昼間に学校に通い、授業を受けます。定時制高校の場合は、夜間や昼間に登校するスケジュールが設定されています。一方、通信制高校では、学校によって異なる選択肢があり、週に数回登校する選択肢や年に1回の合宿での参加など、自分に合ったスケジュールを選ぶことが可能です。
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授業形態
全日制と定時制では、学校が定めた時間割に従って、全日制では1日に5時間から8時間、定時制では1日に4時間の授業が行われます。通信制高校では、スクーリングと呼ばれる登校日に授業を受ける他、レポートの提出やテストを通じて単位を取得する方法が一般的です。
在籍期間
全ての教育課程で最低3年以上の在籍が必要ですが、定時制の場合、4年以上在籍する必要がある学校もあります。
高校を比較する方法
それでは実際に、高校を選ぶ際にどのような観点で考えていけば良いのかを解説していきます。本記事では、「学習環境・課外活動・進学実績・学費」の4つの軸で比較していくことにします。
学習環境
全日制の高校と通信制の高校の最も大きな違いは、その学習環境にあると言えるでしょう。全日制の高校は全て対面で授業が行われるのに対し、通信制では郵送やパソコン通信などを活用して単位を取得していきます。
また、通信制高校は自学自習が中心となり、スクーリングの日に集中して授業を受けます。ここでは、自己管理能力と自律的な学習姿勢が強く求められるため、独立して学ぶことに自信がある学生には最適な環境です。また、通信制高校は地理的な制約が少ないため、遠方に住む学生や、特定の時間帯に学校に通うことが難しい学生にとっても利点があります。
通信制と全日制の学校では、利用できる図書館や研究施設、IT設備などの物理的なリソースも異なります。全日制の場合は、通常、これらの施設が充実しており、学生が自由にアクセスできることが多いです。対照的に、通信制の学校はリモート学習に対応したリソースを提供することが多く、デジタルツールやオンラインプラットフォームが整っています。
課外活動
課外活動は高校生活を色鮮やかに彩る大切な部分かと思います。全日制高校では、部活動や体育祭、文化祭などのイベントが活発で、学生たちはさまざまな活動に参加する機会が豊富にあります。こうした機会は、勉強だけではなく、新しい友人を作ったり、チームワークを育んだり、リーダーシップ能力を伸ばすのにも役立つはずです。日々の学校生活を通じて、生徒同士が共に過ごし、協力しあう中で、社交的なスキルやコミュニケーション能力がおのずと身についていくでしょう。
一方、通信制高校での課外活動は、あまりありません。学校によってはクラブ活動やオンラインイベントを提供している場合もありますが、全日制の高校ほどの規模で開催されることはないため、そういったイベントを楽しみたい方には全日制の高校をおすすめします。
進学実績
通信制高校と全日制の偏差値の低い高校の進学実績を比較すると、通信制高校の方が柔軟性に富んだ学習スタイルを提供しており、多様な進学オプションが特徴だといえます。
例えば、中央高等学院では、自宅学習を中心に進学対策を行うことができ、さまざまな大学への進学実績があります。特に医学部や難関大学への進学支援が充実している点が挙げられます。
また通信制高校の生徒の中には全国の著名な大学に進学しており、一橋大学や北海道大学など、国公立大学だけでなく、早稲田大学や慶應義塾大学といった私立大学への進学例も多数報告されています。
これに対して、全日制の偏差値の低い高校は、一般的にはこれらの通信制高校に比べて進学実績が限定されることがありますが、個々の学校によって特色やサポート体制は異なるため、一概には言えません。通信制高校は、特に自立学習能力が高い生徒や、特定の分野に特化した教育を求める生徒に適していると言えるでしょう。
引用元:【https://www.your-intern.com/tsushinsei/ranking/】【https://www.restart-school.com/】
学費
学費に関しては、通信制高校は全日制高校どちらも公立か私立かにより大きく異なりますが、公立の通信制高校は年間10万円以下で通学できるのが強みと言えるでしょう。
全日制高校
種別:1年あたりの高等学校学習費(学校教育費+学校外活動費)
公立:512,971円(309,261+203,710)
私立:1,054,444円(750,362+304,082)
引用元:【https://hoken.kakaku.com/fp/article/high_school_fees】
通信制高校の学費は、公立高校であれば年間4~6万円に収まりますが、私立高校では30万円以上かかることが多いです。
代表的な私立通信制高校の学費を掲載します。
学校名 | 所在地 | 年間学費 | 入学費 |
ルネサンス高等学校 | 茨城県 | 約30万円~ | 約5万円 |
鹿島学園高等学校 | 茨城県 | 約26万円~ | 約4万円 |
ヒューマンキャンパス高等学校 | 東京都 | 約30万円~ | 約1万円 |
飛鳥未来高校 | 奈良県 | 約40万円~ | 約1万円 |
通信制高校は、進学支援や就職支援を強化している学校も多く、進学実績の高い学校では指定校推薦枠を多く持つことも特徴です。また、進学だけでなく、資格取得や特定の職業訓練に特化したコースを設けている点も魅力の一つです。全日制と通信制の学費とサポート内容を比較することで、学生や保護者はそれぞれのニーズに最適な学校選びを行うことができます。
ID学園高等学校の学費については以下をご参照ください。
通信制高校の選び方
通信制高校については馴染みがなく、どのようにして高校を選べばよいかお悩みになるかもしれません。ここでは、通信制高校の選び方の5つのポイントをお伝えします。
ポイント①:学費
通信制高校を選ぶ際、学費は重要な判断基準の一つです。学校が公立か私立かによって、費用は大きく異なります。例えば、公立の通信制高校では、3年間の学費が約10万円程度で済むことが多いですが、私立では40万円から100万円となることも少なくありません。公立高校は自己管理能力が求められるため、自主的に学習を進めることができる生徒に適しています。
ポイント②:コース内容
通信制高校には多種多様な学科やコースが設けられています。自分の興味や将来のキャリアに合った専門科目を学べる学校を選ぶことが、モチベーションの維持にも繋がります。
ポイント③:登校頻度
通信制高校ではスクーリング(面接指導)が必要となるため、登校頻度も選択のポイントです。学校によっては月に数回から、年に1回の合宿で集中スクーリングを行うところもあります。生活リズムや将来の計画に合わせて、最適な登校頻度を提供する学校を選びましょう。
ポイント④:学習サポートの有無
通信制高校では独学が基本ですが、学習サポートが充実している学校を選ぶことで、学びやすい環境を整えることができます。例えば、動画授業やオンラインサポートを提供している学校は、場所を選ばずに学習を進めることが可能です。
ポイント⑤:通学範囲
通信制高校は、生徒の居住地によって広域通信制と狭域通信制に分けられます。広域通信制は多くの私立高校で採用されており、全国や複数の都道府県から生徒を受け入れています。通学の負担を考え、自宅から通学可能な距離の学校を選ぶことが重要です。
まとめ
本記事では、偏差値が低い高校と通信制高校、どちらを選ぶべきかについて議論するとともに、通信制高校の選び方のポイントについても解説しました。
結論、「通信制高校と全日制高校、どちらが大学進学に向いているのか」という問いには、一概に答えることは難しく、皆様の目的や経済状況に応じて適切な選択は変わってきます。
通信制高校では、自主学習の時間が多く設けられており、自分のペースで勉強を進めることができるため、自己管理能力が求められます。名門大学に合格する生徒もいるなど、進学実績が豊富な通信制高校もあるため、独学で学ぶことに自信がある学生には適していると思われます。
一方、全日制高校は、定期的な授業と教師の直接的な指導があり、友人たちとの競争や協力を通じてモチベーションを保つことが可能です。さらに、体育祭や文化祭といった規模の大きいイベントが開催されることも良さの1つといえるでしょう。
それぞれの環境がどのように自分の学習や生活に影響を与えるかを考慮し、賢明な選択を行うことがその後のキャリアの成功につながるのではないでしょうか。
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