受験の準備は人生の大きな挑戦の一つですが、それに伴うストレスは避けられない要素です。「もう限界かもしれない」と感じることも少なくありません。泣きたくなる、頭痛がする、吐き気がするなど、体調不良を引き起こすことも。これらの症状は、受験によるストレスが原因かもしれません。しかし、限界を超える前に適切な対処をすることが重要です。
本記事では、ストレス症状の解説、受験期におけるストレスの対処法、試験前の緊張を和らげる方法について詳しく解説します。受験ストレスを上手に処理し、受験生活を快適に送るための秘訣をお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
受験によるストレス症状
受験期間は、多くの学生にとってストレスが高まる時期です。受験に伴うストレスが深刻化すると、勉強に集中できなくなるだけでなく、心身にも重大な影響を及ぼす可能性があります。ここでは、生徒からの相談で耳にする事例を基に、受験ストレスが引き起こす具体的な症状について解説します。
腹痛
1つ目は腹痛です。試験日に、緊張からくる腹痛に悩まされる受験生は少なくありません。この腹痛は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることが主な原因と言われています。緊張により交感神経が過度に優位になり、消化器官の動きが遅くなったり、消化液の分泌が減ったりするためです。
長引く強い腹痛は、最悪の場合、胃に穴が開くなど、入院が必要になる深刻な症状を引き起こす可能性もあります。勉強が足りないかもしれないという不安もあるかもしれませんが、無理をせず、自分を過剰に追い込まないことが大切です。
吐き気
吐き気も良く報告されるストレス症状です。大脳皮質が精神的ストレスを感知すると、その刺激が神経を介し、嘔吐中枢に伝播します。それによって嘔吐や吐き気といった症状が誘発されると考えられています。こちらも根本的な要因は自律神経の乱れによるものが多いです。
特に中学受験など、まだ心身ともに発達しきっていないお子様などは誘発されやすいと言われています。また、何ごとにも真面目に取り組む几帳面な性格、細かいことが気になる神経質な性格をお持ちの方は、この傾向が現れやすい可能性があります。
食欲不振
食欲不振もさきほどの2つと原因は近いです。緊張状態が続くことで、自律神経のバランスが崩れ、胃腸の消化機能がうまく働かずに食事がのどを通らなくなってしまいます。
無理して食べようとはせず、おなかが空いてきたなと感じたタイミングで、少しずつ消化に良いものを食べるようにしましょう。
消化に良い食べ物
- おかゆ・うどん
- 豆腐・納豆
- 鶏むね肉・白身魚
- 白菜・大根
- 卵・チーズ
- りんご・バナナ
不眠
不眠も非常につらいストレス症状の一つです。こちらも自律神経の乱れが原因と言われています。
副交感神経がうまく働かず、本来リラックスして眠るべき時にも交感神経が優位となるため、布団に入っても眠れない状態が続くことがあります。また、布団に入ったときに受験勉強のプレッシャーや日常のストレスが心に押し寄せ、不安で眠れないという悪循環に陥ることも少なくありません。
不眠が続く場合は、病院で薬を処方してもらうことも1つの手段です。
イライラ
プレッシャーを感じたり、緊張状態が続くと、些細なことでのイライラ、興味の喪失、さらには人間関係の悪化といった症状を引き起こすことがあります。特に、勉強に対する焦りや、クラスメイトとの比較などが原因でストレスが増大し、集中力の低下や勉強の効率も大きく下がることがあります。
また、気分転換として運動や外出を試みても、頭から勉強のことが離れず、本来の楽しみを感じることができなくなることも。このような状態はさらなるストレスを引き起こし、勉強へのイライラを増幅させる悪循環に陥りがちです。
このため、受験生は限界まで自分を追い込むことなく、適度に息抜きを取り入れることが重要です。定期的な休息やリラックスする時間を設けることで、心身のバランスを保ち、効率的な学習を支えることができます。
ストレスへの対処法10選
これまで紹介してきたようなストレス症状を根本的に解決するための方法を10個お伝えします。
ただし、あくまで一例ですので、症状が重い場合は病院で治療を受けることを先に検討してください。
試験編
深呼吸をする
最も簡単なストレスの緩和法は深呼吸です。緊張状態にいるときは、呼吸が浅くなりがちです。正しいやり方の一例を載せておきますので、思い出したタイミングで取り入れてみてください。
【効果的な深呼吸の方法】
1.楽な姿勢で座り、背筋をのばします。
(椅子に座ってもOK、畳の上など床に座ってもOK)
2.両手を下腹部(おへその下あたり)にあて、口から息を吐き切ります。
(息を吐くのと一緒に、体の中の悪いものや不安な気持ちも全て出しきるように吐きます)
3.鼻からゆっくりと息を吸い込みます。
(下腹部が新鮮な空気でいっぱいになるイメージで、お腹のふくらみを両手で感じとって)
4.口からゆっくり息を吐きだします。
(鼻から空気を吸うときよりも2倍の時間をかけてゆっくり吐くことがポイントです。お腹がへこんでいく様子を両手で感じましょう。また、2番のように、体の中の悪いものや嫌な気持ちも全て出しきるように吐きます)
5.鼻からゆっくりと息を吸い込み、その2倍の時間をかけて口からゆっくり息を吐きだします
この深呼吸を5回ほど行います。
引用元:https://www.fujita-hu.ac.jp/~chuukaku/machikado/remotemachikado/kokorokaradarirax/index.html
胃に優しい食事をこころがける
試験当日など、緊張状態にあるときは食欲もわかないことかと思います。そのようなときは、消化に良い、胃に優しいものを摂るようにしましょう。
消化に良い食べ物を再掲しておきます。
- おかゆ・うどん
- 豆腐・納豆
- 鶏むね肉・白身魚
- 白菜・大根
- 卵・チーズ
- りんご・バナナ
薬を飲んでおく
試験当日、緊張でおなかが痛くなりそうだという人は、下痢止めなどの薬をあらかじめ飲んでおくという対処法もあります。
これにより安心して試験に臨むことができたという報告もございます。
勉強の仕方編
休息日・予備日をつくる
長期間にわたって毎日勉強を続ける状態が続くと、どうしても疲れがたまったり、成績が伸び悩んでイライラしはじめてしまいます。また、スケジュール通りに勉強が進まないことでストレスがたまることもあるでしょう。
そこで、1~2週間に1日、勉強の予定をいれない日を作ってみましょう。その日は自分の趣味にあてるもよし、消化しきれていなかった問題を解いても良し、友達とカラオケに行っても良しです。
休息日や予備日を作ることで気持ちにゆとりができ、モチベーションの維持にもつながります。
座りっぱなしにならない工夫をする
勉強は基本座って行いますが、人間は座りすぎると心身に悪影響を及ぼします。血流の流れが悪くなり、腰痛、肩こり、メンタルヘルスにも影響があることが報告されています。
引用元:https://www.heart-center.or.jp/rehabnow/4567/
休憩時間は座ってスマホをいじるのではなく、席を立って散歩をしたり、ストレッチをすることで気分をリフレッシュしてみましょう。身体を動かすことで、その後の勉強に対する集中力も向上するといわれています。
運動編
朝散歩・ランニングをする
ずっと屋内で勉強をしていると、日光を浴びることはないでしょう。朝散歩をすることで、日光を浴びて体内時計を整えることができます。具体的にはセロトニンと言われる精神を安定させ、気分を落ち着かせる効果がある脳内ホルモンが分泌されます。また、セロトニンは間接的に睡眠にも良い効果をもたらします。というのも、体内時計がセロトニンによってリセットされてから15~16時間後にメラトニンというホルモンが分泌され、これが眠気を引き起こします。つまり、朝散歩することで、夜適切な時間に眠くなり、スムーズに睡眠状態に入れるということです。
さらに余裕のある人はランニングをしてみてください。有酸素運動を取り入れることでストレス解消・集中力の向上・自律神経が整うなど良い効果がたくさん得られます。
繰り返しますが、ポイントは屋内ではなく日光が当たる環境で行うことです。
筋トレをする
筋トレは、筋肉を鍛えるだけでなく、メンタルケアにも効果があると言われています。というのも、筋トレをするとドーパミン・セロトニン・テストステロンといった、メンタルに良い影響を与える脳内ホルモンが分泌されます。
筋トレは無酸素運動であり、体内で「乳酸」という成分が生成されます。この乳酸は脳に働きかけ、成長ホルモンの分泌を促進する効果があります。このプロセスを通じて、脳内ホルモンが活性化されるわけです。詳しくは割愛しますが、これらのホルモンによってストレスの軽減、モチベーションの向上など、様々な良い効果が得られます。
その他
緑が豊かな場所に行く
ミシガン大学の研究で、自然と20分の触れ合うだけで、ストレスホルモン「コルチゾール」を大幅に減少させることが明らかになりました。この研究は、週に3回以上自然の中で過ごし、その効果を唾液テストで確認。特に20~30分間の自然体験が、ストレスの軽減に最も効果的であると示されたということです。
受験生の皆さんも、忙しい日常から少し離れて、自然の中でリラックスする時間を作ることで、ストレスレベルを下げる取り組みをしてみてください。
引用元:https://forbesjapan.com/articles/detail/30559?read_more=1
読書をする
読書にもストレス解消の効果があると言われています。先ほども紹介したセロトニンに加え、エンドルフィンというホルモンが作られ、気分を落ち着かせたり、痛みをやわらげたりする作用があります。
たった6分の読書で、ストレスを68%も軽減できるという研究発表もあり、極めて効率的なストレス解消法といえそうです。
趣味を楽しむ
最後のストレス解消法は「趣味を楽しむ」です。やはり自分の好きなことを我慢せず、適度に楽しむことが重要です。受験だからといって厳しく制限をすると、かえってそれがストレスとなり集中力が低下しかねません。
勉強が気になって趣味を楽しめない場合もあるかと思いますが、そういうときは「週に2時間だけ」
など、適度に条件を決めておくのがおすすめです。
まとめ
いかがだったでしょうか。受験勉強中は紹介したように数多くのストレスが生まれます。限界が来る前に、適切な方法で対処することが何よりも重要です。
今回紹介した解決策を最後にまとめておきます。
試験編
- 深呼吸をする
- 胃に優しい食事をこころがける
- 薬を飲んでおく
勉強の仕方編
- 休息日をつくる
- 座りっぱなしにならない工夫をする
運動編
- 朝散歩・ランニングをする
- 筋トレをする
その他
- 緑が豊かな場所に行く
- 読書をする
- 趣味を楽しむ
受験によるストレスに悩まされている方は、是非今回紹介したストレス対処法を実践してみてください。