怒られて泣いたことがありますか?
おそらくほとんどの方が「はい」と答えるのではないでしょうか。
それは幼少期だけだったり、小学生の頃だったり、今現在もという場合もあるかもしれません。
「もう小さな子どもじゃないんだから、怒られて泣くのをやめたい!」
「人前で泣きたくないのに、どうして無意識に涙が出てしまうの?」
泣きたくないにもかかわらず、怒られると毎度泣いてしまう、それを自分で責めて自己肯定感を下げてしまってはいないでしょうか。
今回は、怒られると泣いてしまう原因と対処法、そしてHSPとの関連についても解説します。
焦らず少しずつ、自分自身をコントロールするための参考にしてみてください。
目次
- 泣いてしまうのは良くないことなのか
- 怒られると泣いてしまうのはなぜ?
- 怒られると泣いてしまう時の対処方法
- 怒られると泣いてしまうのはHSPかも?
- すぐ泣く自分を責めないで!自分と向き合って心のコントロールを始めよう
泣いてしまうのは良くないことなのか
怒られるのは誰だって悲しくつらいもの。
怒られて泣くこと自体は悪いことではありません。
人によっては、泣くことは感情を表現する方法の1つです。
ただし、何度も同じ状況で泣いてしまう場合や、感情を抑えられない場合は、その原因を見つけることが重要になります。
自分でもどうして泣いているのかわからない、という場合もあるでしょう。
とくに、大人になってからだと、泣くことが相手を困らせたり不快な気分にさせてしまうことがあります。
場面にあわせて、人前では涙を見せないようにするのが一般的です。
泣くことが悪くないとはいっても、怒られて泣くことが多くなり、自分自身を責めたり、周囲から嫌われることを恐れたりするようであれば、泣かないようにするにはどうしたらよいかを考えた方が良いでしょう。
怒られると泣いてしまうのはなぜ?
怒られると泣いてしまうのはなぜなのでしょうか。
そこには大きく分けて4つの理由があると考えられます。
- 泣くことでストレスを発散している
- 「甘え」の感情がある場合も
- 自信のなさ
- 感情のコントロールができない
ひとつずつ見ていきます。
泣くことでストレスを発散している
泣くことは感情表現の一種で、ストレスの発散になります。
涙には、ストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンなどが含まれており、泣くことでこれらのホルモンが体外に排出されるため、ストレスの解消に役立つといわれています。
また、泣くことによって、感情的な緊張や不安感が緩和され、リラックス効果が得られることもあります。
泣くことは自己表現であるため、自分自身の感情を認め、外に出すことができると心理的な負荷の軽減が期待できるのです。
思いっきり泣いた後に心がすっきりするのは、このためです。
ただし、過剰な泣き方や、泣き続けてしまう場合は、逆にストレスを増大させる可能性があります。
「甘え」の感情がある場合も
泣きたくないのに涙が出てきて、自分では止められない。
自分ではそんなつもりがなくても、悩みの奥深くには「かまってほしい」という甘えの感情が隠れていることがあります。
決して多いケースではありませんが、子どもの頃に親から愛情を受けられなかった場合、泣くことで注意を引くという行動を無意識にとってしまっている可能性があるのです。
自信のなさ
自信のなさが背景にあると、怒られた場合に泣いてしまうことがあります。
自信がないと、自分の意見や行動に自信を持てず、自分が悪いことをしたと感じてしまうためです。
そのため、怒られると自分自身を否定されているように感じ、傷付いてしまうという流れです。
また、泣くことは、自分の感情を表現する1つの方法であり、自分の気持ちをストレートに出すことができます。
自信がないと自分の意見や感情を言葉で表現することができないため、代わりに泣くことで、自分の感情を表現している場合があります。
感情のコントロールができない
私たちは日常の中でさまざまな刺激によって感情が高ぶったり、落ち着いたりしています。
感情をコントロールすることができれば、感情的な刺激に対して冷静に対処することができますが、うまくコントロールできないと感情に支配され、行動や判断に影響を与えることがあります。
とくに、ストレスや緊張が高まっている状況下では、感情がコントロールできずに過剰に泣いてしまうことがあり得ます。
怒られると泣いてしまう時の対処方法
怒られて泣くのをやめるにはどうしたらよいのでしょうか。
怒られずに済むのであれば、それにこしたことはありませんが、新しいことを始める際はどうしても注意を受けることが多くなります。
知識やスキルを身につけるには、指導を避けられない場合があるでしょう。
それであれば、怒られたときにどう受け止めるか、どう自分自身で気持ちを立て直すかを考えていく必要があります。
- できるだけ感情的にならない
- 自分自身と向き合う
- 自分はどうしたいか考え、行動に移す
- つらいときこそ前を向くトレーニングを
以上の4つを、やりやすい順に実践してみましょう。
自分に合う方法が見つかれば、怒られた時に泣いてしまうことを防ぎ、より良いコミュニケーションを図ることができるはずです。
ひとつずつ詳しく見ていきます。
できるだけ感情的にならない
怒られて泣きそうになったときは、できるだけ感情的にならずに目の前の物ごとややるべきことに集中しましょう。
泣いてはいけないと強く思うと、より意識が自分に向いてしまい逆効果です。
後悔すること、反省することは後からでもできます。
「次に何をすべきか」「言われたことをすぐやろう」など、泣く暇がないくらいに現実に目を向けておくのも方法の1つです。
また、怒られたときに深呼吸をすることで、感情的になっている自分を落ち着かせることができます。
ゆっくりと深呼吸をして心拍数を下げれば、気持ちを安定させられるでしょう。
自分自身と向き合う
怒られること自体を避けて相手に合わせてみても根本的な解決にはなりません。
自分自身から目を背け続けていると、新しい環境に移っても結局同じ事の繰り返しになりかねないのです。
「言われるのが悔しい」
「頑張っているつもりなのに」
「やっぱりあのことを言われた」
「怒られることが怖い」
相手に直接伝えることができなくても、自分の中では思いを言葉にしましょう。
「どうして悔しかった?」
「どうして涙が出たんだろう?」
「どうして怒られるのが怖いんだろう?」
感情が見えてきたら、さらに思いの奥を自問自答していきましょう。
自分の嫌な部分、思い出したくない現実と向き合うのは楽しいことではありませんが、ここで自分と向き合わないと悩みの解決にはなりません。
自分はどうしたいか考え、行動に移す
怒られて泣いてしまう人は、「怒られた」ということに意識が向いているため、自分がどうしたいかということを後回しにしがちです。
現実を受け止めた上で、自分自身はどうしたいのかまで考える必要があります。
なんとなく「しょうがない」「つらい」と時間とともに消化させるだけだと、結果として何度も同じ事態を繰り返します。
自分はこうしたい、という志をもって実際に行動に移しましょう。
たとえ小さな一歩でも、行動することが自信にもつながります。
つらいときこそ前を向くトレーニングを
つらいことがあったとき、怒られたときなどは、ついついうつむいてしまいがちです。
しかし、つらいときこそ、前を向くよう意識しましょう。
学校でも恋愛でも仕事でも、さまざまな壁が立ちはだかることがあります。
ある程度落ち込んでしまうのは仕方ありませんが、その中でも自分自身が前に進むことで成長し、新しいチャンスを得ることができます。
たとえば、自分の弱みや課題を克服するために学習することや、新しいスキルを身に付けることで自分自身を高めていく方法があります。
他人を助けることで心が穏やかになったり、癒やされたりするかもしれません。
運動や趣味などを通じてリフレッシュするのもよいでしょう。
前を向くことは簡単ではありませんが、自分の気持ちを整理し、自分自身を励ますことが大切です。
悲しくなったら「下を向かずに上を向く」という単純な行動も、気持ちを立て直すうえでは力になってくれます。
結果として、精神的にも強くなり、次の一歩を踏み出せるようになるはずです。
怒られると泣いてしまうのはHSPかも?
怒られて泣くのにはさまざまな要因がありますが、もしかしたらHSP(Highly Sensitive Person)気質が関係しているかもしれません。
HSPは、一言で言うと繊細な気質を持つ人を指します。
その度合いは人によりますが、HSPは病気ではないのでうまく付き合っていくことが大切です。
怒られると泣いてしまうのは、HSPの特性の一つです。
感受性が人一倍豊かで、うまく感情を吐き出せないためにすぐ泣いてしまい、感情をうまくコントロールできないのが原因といわれています。
HSPが原因ですぐ涙が出る理由
HSPは、環境の変化や周りの雰囲気に敏感であり、音や匂い、光や温度などの刺激にも反応しやすいのが特徴です。
人間関係でも他人の気持ちを考えるあまりストレスを感じやすく、疲れやすい傾向があります。
そのため、強い刺激に反応して感情があふれ出てしまうことがあるとされています。
- とにかく悲しい
- どうしてこんなに迷惑を掛けてしまったんだろう
- できない自分が不甲斐ない
- 周囲の空気に耐えられない
怒られた際には、これらの感情が心を占めていると考えられます。
感情をコントロールすることが難しく、環境変化や刺激、周囲の反応といったいくつもの要因が重なったときに、自分でも制御できず泣いてしまいます。
HSP気質の場合、自分の中にある悩みや不安を外に言葉で表現するのが苦手です。
理由を聞かれたり、問い詰められたりすると、緊張の糸が切れるかのように涙が溢れてしまうのかもしれません。
さらに、怒られたこと自体より「相手をここまで怒らせてしまった」「困らせてしまった」という罪悪感の方が大きくなることが多いです。
怒られたことを必要以上に重く受け止めがちで、泣いた自分が周囲に迷惑を掛けている、皆を困らせていると考え、自分を責めてしまいます。
HSPの人が心を楽に保つための方法
HSP気質の人は、自分自身の感受性に対して理解を持ち、自分自身を守るために適切なケアをすることが重要です。
自己肯定感を高め、自分を受け入れることで、自信を持って自己表現をすることができるようになります。
ストレスを軽減し、心を楽に過ごすためには次のような方法がおすすめです。
- リフレッシュする
- 趣味に没頭する
- 感情や思いを書き出す
- 瞑想する
- 環境を変える
それぞれご説明します。
リフレッシュする
長く悩んでいても心は沈むばかりです。
ときには現実逃避を兼ねて遠出をするなど、リフレッシュしましょう。
学校や部活、仕事からできるだけ離れられると心身ともに休まります。
心を癒やすと考え方も少し前向きに変わっていくはずです。
趣味に没頭する
自分の好きなことに没頭するのも気分転換には最適です。
嫌なことを毎分考えてしまうより、時間が経つのも忘れるほど趣味に集中している方が心のリカバリーにもなります。
家から出ずに、好きな動画を観て笑顔になるだけでもストレス発散できます。
趣味がないという場合は、何か新しいことを始めてみるのもよいでしょう。
感情や思いを書き出す
心に溜まるモヤモヤした感情は、時間が経ってもなかなか消化しきれないもの。
人と話すのが苦手であれば、紙に書き出してみましょう。
不安や悩みを書き出せば、不思議と心が冷静になり、それに対して何をすべきか見えてくることもあります。
毎日続けてみると、自分の感情の起伏や落ち込みやすいパターンにも気付けます。
瞑想する
1日5~10分という短い時間でいいので、瞑想を習慣化するのもおすすめです。
瞑想自体が不安を解決してくれるわけではありませんが、頭がリラックス状態になることで心も穏やかになる効果が期待できます。
続けると、外からの刺激に振り回されにくくなるともいわれています。
気持ちの切り替えのためにも、取り入れてみてはどうでしょうか。
環境を変える
今の学校や仕事の環境がどうしても合わない、緊張を強いられる場面ばかりでつらいというときは、思い切って生活環境を変えるのがよいでしょう。
ただし、環境を変えても自分自身が変わらなければ、同じ状態を招く可能性があります。
ストレスのかからない場所に身を置きながら、うまくリフレッシュして過ごすことが大切です。
すぐ泣く自分を責めないで!自分と向き合って心のコントロールを始めよう
泣くこと自体が悪いことではありませんが、人前ではできる限り泣かずに対応したいものですよね。
怒られると泣いてしまう人は、感情のコントロールがうまくいかずに、自分の気持ちを言うより先に泣いてしまう傾向があります。
個人の性格や状況によっても大きく異なるため、一概に何が原因かを決めつけることはできません。
大切なのは、「しょうがない」で済まさずに自分の感情を理解し、それに適切に対処することです。
泣くのをやめるのは、すぐに結果を出せるものではありません。
つらいときは、自分を少し甘やかしても大丈夫。
心を楽に保ちながら過ごすのは、逃げではなく自分を立て直すためのステップです。
泣いてしまうことを怖がって立ち止まり、自分を責めるのではなく、自分自身を受け入れて次の一歩を踏み出しましょう。