

またダメだった…
テストの点数に、思わずため息がもれる…
友達の楽しそうなSNSの投稿にモヤモヤする…
そんな気持ちを引きずってしまうこと、ありませんか?
「気持ちを切り替えたい」と思っても、なかなかうまくいかなくて、結局ずっとモヤモヤしたまま。
勉強も手につかないし、楽しいはずのことも楽しめない。
考えないようにしたいのに頭から離れず、そんな自分にイライラしてしまうこともあるかもしれません。
実は、気持ちの切り替えは『性格』や『メンタルの強さ』だけの問題ではありません。
ちょっとした工夫やコツを身につけることで、少しずつ楽になっていくこともあります。
この記事では、『落ち込みやモヤモヤを整えて前向きな行動へ戻る』ために、中高生でも5分で試せる具体的な方法と、毎日続けやすい習慣をわかりやすく紹介します。
自分のペースで、自分だけの“気持ちの切り替えスイッチ”を探していきましょう。
【この記事でわかること】
気持ちを切り替えるってどういうこと?
切り替えられないときによくある原因
5分でできる!気分転換の方法12選
毎日を少し楽にする習慣のコツ
逆効果になりやすいNGな切り替え方
気持ちを切り替えるってどういうこと?
テストで思うように点が取れなかったときや、部活でミスをしたとき、友達と気まずくなったとき…。
そんな場面で「気持ちを切り替えよう!」ってよく言われませんか?
『気持ちを切り替える』って聞くと、「こんなことかな?」と思う人も多いのではないでしょうか。
嫌なことをすぐ忘れること
無理やりポジティブになること
本当はつらいのに無理して笑うこと
落ち込んでいるのに大丈夫なフリをすること
嫌な出来事を『なかったこと』にしてしまうこと
でも、実際にはそう簡単に忘れられないし、無理に笑っても気持ちがついてこなかったり、なかったことにしようとしても心の中にモヤモヤが残ったりすることがありますよね。


本当の『気持ちの切り替え』とは、落ち込んだ気持ちやモヤモヤを整理して、次の一歩を踏み出せる状態にすることです。
たとえば



今回はここが弱かったから、次はここをやってみよう
と考え直せたり



気まずかったけど、明日はちゃんと話してみよう
と行動に移せたりすることを、『気持ちの切り替え』と言います
つまり『切り替え』とは、気持ちを無理に押さえつけることではなく、その気持ちを受け止めて整理し、前に進む力に変えること。
では、なぜこの『切り替え』が大事なのか?
次にその理由を見ていきましょう。
なぜ気持ちを切り替えることが大事なの?
気持ちを切り替える力があると、毎日の過ごし方が大きく変わります。
たとえば
【そのまま引きずる】→「やっぱり自分はダメだ」と思い込んで勉強が手につかなくなる
【切り替えられた】→「次はこの問題に気をつけよう」と前向きに考えて復習につなげられる
【そのまま引きずる】→「また同じミスをするかも」と不安になり、プレーが消極的になる
【切り替えられた】→「次の練習で同じ場面を意識してみよう」と挑戦に変えられる
【そのまま引きずる】→「嫌われたのかも」とモヤモヤして気分が沈み続ける
【切り替えられた】→「明日はちゃんと話してみよう」と行動につなげられる
このように、同じ出来事でも『そのまま引きずる』と『切り替えられる』とでは、結果が大きく変わります。
気持ちの切り替えができると、集中力ややる気を取り戻して、毎日を前向きに過ごせるようになるのです。
心理学では、この力を『レジリエンス』と呼びます。
『跳ね返り・回復力・しなやかさ』といった意味を持ち、アメリカ心理学会では「困難や逆境に直面しても柔軟に適応し、回復していく過程と結果」と定義されています。
つまり、気持ちを切り替えることは、ただ気分を変えるだけでなく、ストレスや失敗から立ち直るために必要な力なのです。
(平野 優子「レジリエンス」日本地域看護学会誌 第27巻2号 2024年)
でも、気持ちを切り替えたくても、うまくできないときってありますよね。
それには、いくつか共通した理由があります。
次は、その原因について見ていきましょう。
気持ちを切り替えられない原因って何?



気持ちを切り替えたいのに、どうしてもできない…
そんなとき、「自分はダメなんだ」「心が弱いからだ」と思っていませんか?
実は、気持ちを切り替えられないのは、性格や根性のせいではなく、いくつかの共通した原因があるからです。
たとえば
考え方のクセが強すぎる
完璧を求めすぎる
人の評価を気にしすぎる
生活リズムや心身の疲れが影響している
自分がどこでつまずいているのかがわかれば、対処法も見えてきます。
ここからは、気持ちを切り替えにくい原因について見ていきましょう。
考え方のクセがある
気持ちを切り替えにくい原因のひとつに、考え方のクセがあります。
頭の中にある『いつもの考え方』が、気持ちを重くしてしまうことも。
たとえば
「どうせ自分なんてできない」
「失敗したら全部おしまい」
「完璧じゃないと意味がない」
こうした極端な考えが出てくると、実際よりも物事を悪く感じてしまいます。
ちょっとしたミスも『大失敗』に思えたり、友達に一度返事をもらえなかっただけで「嫌われたのかも」と思い込んでしまったり。


ネガティブな思考が頭の中をぐるぐる回り続けると、気持ちを切り替えるのがとても難しくなります。
心理学でも『考え方のクセ』が気分に大きく影響することが指摘されています。
国立精神・神経医療研究センターによると、ストレスを受けると物事を悪いほうに考えすぎてしまい、その結果『問題を解決できない心の状態』に追い込まれることがあるそうです。
また、考え方のクセが強まると、不安や落ち込みが増えて、さらに悪循環に陥りやすくなると述べられています。
(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター「認知行動療法(CBT)とは」)
こうした考え方のクセに働きかけ、気持ちを楽にする方法として『認知行動療法』というものがあります。
認知行動療法では、とっさに頭に浮かぶ考えを見直し、「本当にそうなのかな?」と検証して、考え方のバランスをとる練習を大切にします。



『考え方のクセに気づくこと』そのものが、気持ちを切り替えるための一歩になるのです
完璧を求めすぎてしまう
気持ちを切り替えにくい原因として、完璧を求めすぎてしまうこともあります。
たとえば
テストで1問でも間違えると「100点じゃないから意味がない」と思う
部活で少しミスをしただけなのに「全部ダメになった」と感じる
SNSで思ったより反応が少ないと「自分には価値がないのかも」と考える
このように「完璧じゃなきゃダメ」という気持ちが強いと、小さな失敗も大きな失敗のように見えてしまいます。


その結果、自己嫌悪や劣等感につながったり、失敗を引きずってしまう悪循環に陥りやすくなります。
劣等感や自己嫌悪については、こちらの記事で詳しく解説しています。




誰でも「うまくやりたい」「認められたい」と思うものです。
がんばるのも、とても素敵なことです。
でも、完璧さを求めすぎると、自分を苦しめてしまうことがあります。



この背景には、『人からどう見られているか』を気にしすぎる気持ちも関係しています
次は、その点について見ていきましょう。
人からの評価を気にしすぎる
人からの評価を気にしすぎることも、気持ちを切り替えにくい原因と言えます。
たとえば
「あのときの発言、変に思われてないかな?」
「DMの返事が遅いのは、嫌われたから?」
「SNSでいいねが少ないのは、自分に魅力がないから?」
誰だって「みんなから好かれたい」「嫌われたくない」と思いますよね。
でも、その気持ちが強すぎると、頭の中がずっと不安や心配でいっぱいになってしまいます。


本当は一時的な出来事でも、『どう思われているか』が気になって、気持ちを切り替えにくくなるのです。
SNSの反応や友達のちょっとした表情にまで敏感になりすぎると、緊張や不安が続いて心が休まらなくなることもあります。
その不安が積み重なると、「人が怖い」と感じてしまうこともあります。
人が怖いという気持ちとのつきあい方については、こちらの記事でも紹介しています。


こうした状態が長く続けば、ストレスや疲れがどんどん積み重なってしまいます。
次は、そうしたストレスや生活リズムの乱れが、気持ちの切り替えを妨げる原因になることを見ていきましょう。
強いストレスや生活リズムの乱れ
気持ちを切り替えにくくなる大きな原因のひとつに、強いストレスや生活リズムの乱れがあります。
テストや部活、友達との関係など、毎日の中でストレスを感じる場面は少なくありません。
さらに、睡眠不足や疲れがたまっていたり、食事が偏っていたりすると、心も不安定になりやすいのです。
たとえば
夜遅くまでスマホを見てしまい、翌日ぼんやりして集中できない
疲れているのに無理してがんばり続けて、気持ちに余裕がなくなる
強いストレスのせいで食欲がなかったり、逆に食べすぎたりして体調が崩れる
こうした状態では、『切り替えたい』と思っても、なかなか気持ちが追いつきません。


体の調子と心の状態はつながっているので、生活リズムが乱れると気持ちを切り替える力も弱くなってしまうのです。
もちろん、人によっては持って生まれた特徴や、育ってきた環境が関係して、さらに気持ちを切り替えるのが難しくなることもあります。
次は、そのような生まれつきの特徴や過去の体験が関係しているケースについて見ていきましょう。
生まれつきの特徴や過去の体験の影響
気持ちを切り替えるのがむずかしい背景には、生まれつきの特徴や過去の体験が関係していることもあります。
たとえば、人によっては『予定が急に変わるのが苦手』『気持ちが高ぶると落ち着くまでに時間がかかる』といった、生まれつきの特徴(発達特性と呼ばれることもあります)を持っていることがあります。
また、過去に嫌な経験やつらい出来事があった場合、それを思い出すような場面で気持ちの切り替えが難しくなることもあります。
こうしたことは、あなたが悪いからではありません。
人によって感じ方や経験が違うように、気持ちの切り替えやすさも人それぞれです。
どんな場面で切り替えがしにくいのか知っておけば、少し気持ちがラクになるかもしれません。
【5分でOK】今すぐできる!気持ちの切り替え術12選
ここまで、気持ちを切り替えにくくなる原因についてお伝えしてきました。
でも、どんな理由であれ、モヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごすのはつらいものです。



今すぐ何とかしたい!
と思うときもありますよね。
そんなときに試してほしいのが、短い時間でできる気分転換の方法です。
ここで紹介するのは、どれも5分くらいでできるものばかり。
勉強や部活の合間、休み時間など、日常のちょっとした時間に取り入れられます。
体を動かす
呼吸を整える
音楽や香りを楽しむ
書いたり話したりして気持ちを外に出す
小さな行動でリセットする
「これならやれそう」と思ったものから試して、自分なりの切り替えスイッチを見つけてみてください。
体を動かして気分転換


気持ちを切り替える方法として効果的なのが体を動かすことです。
スポーツ庁によると、適度な運動をすると幸せホルモンと呼ばれるセロトニンやエンドルフィンといった物質が分泌され、「気分の安定や幸福感の向上」につながると述べています。
(スポーツ庁「コロナ疲れ・ストレスの解消法!運動・スポーツで心のケア」)
激しい運動でなくても大丈夫。
少し体を伸ばしたり、外を歩いたりするだけでも効果があります。
体を動かすと血流がよくなって頭がスッキリする
小さな達成感が得られて気分が上向く
運動の疲れで夜の眠りも深くなり、生活リズムが整う
『勉強や部活の合間にちょっと体を動かす』―それだけで、切り替えのきっかけが生まれやすくなります。
では、5分でできる具体的な方法を紹介していきます。
① 5分間のストレッチや筋トレ
首や肩をゆっくり回す
腕を大きく伸ばす
スクワットや腕立てを数回やってみる
無理をせず『スクワット10回』など短時間でOK
血流がよくなると頭がスッキリする
『体が軽い』と感じると、気持ちも前向きになりやすい
② 近所を少し散歩する(太陽の光を浴びる)
家のまわりを5分ほど歩いてみる
歩きながら空を見上げたり、景色を眺めたりする
太陽の光をしっかり浴びる
外の空気に触れるだけで気分転換になる
太陽の光は体内時計を整え、気分を安定させる効果がある
『景色が変わる』ことで、頭の中のモヤモヤも整理されやすい
③ 部屋の掃除や模様替えでリフレッシュ
勉強机の上を片づける
本棚や引き出しを整理する
小物の位置を変えてちょっと模様替えする
身の回りを整えると『自分をコントロールできている』感覚が得られる
小さな達成感が自信につながる
勉強や作業に集中しやすい環境になる
呼吸を整えて気持ちを落ち着ける
気持ちがざわざわしているときや緊張しているとき、呼吸は浅く速くなりがちです。
そんなときに意識して呼吸をゆっくり整えると、自律神経のバランスが整い、気持ちも少しずつ落ち着いてきます。


深呼吸をすることで『今の自分』に意識を向けやすくなり、頭の中のモヤモヤを一時的に離すきっかけになります。
こうした呼吸に集中する方法はマインドフルネスとも呼ばれていて、気持ちを落ち着かせたり、心をととのえたりする方法として知られています。
ここからは、休み時間や勉強の合間でもすぐできる呼吸法を紹介します。
④ 窓を開けて深呼吸する
窓を開けて新鮮な空気を吸い込む
大きく息を吸って、ゆっくり吐き出す
『頭の中のモヤモヤを吐き出す』イメージで呼吸すると効果的
空気の入れ替えで気分がリセットされやすい
学校の休み時間でもできる手軽さがある
⑤ 腹式呼吸『3秒吸って6秒吐く』を試す
背筋を伸ばして座る
お腹をふくらませるように3秒かけて息を吸う
6秒かけてゆっくり吐く
吐く時間を長くするとリラックスしやすい
緊張したときやテスト前に効果的
どこでも静かにできる
音楽や香りでリフレッシュ
気持ちを切り替えるときに役立つのが、音楽や香りです。
音や香りは、考えるより先に気分に影響を与える力があります。
好きな音楽を聴くと気持ちが整理されたり、香りを感じるだけで安心したりした経験はありませんか?
そのときの気分に合わせて『アップテンポな曲で元気を出す』『落ち着きたいときは好きな香りをかぐ』といった工夫をすると、より効果的にリフレッシュできます。


『これを聴けば切り替えられる』『この香りをかぐと安心する』といった、自分専用の切り替えアイテムを持っておくのもおすすめです。
ここからは、音楽や香りを使った具体的な方法を紹介します。
⑥ 好きな音楽を1曲だけ聴く
スマホやイヤホンで好きな音楽を流す
『1曲だけ』と区切りを決めて聴く
歌詞やメロディに共感して気持ちが整理されやすい
アップテンポなら気分が上がり、バラードなら落ち着ける
短時間でも気持ちをリセットできる
⑦ リラックスできる香りを楽しむ
ハンドクリームや飲み物の香りを深呼吸で味わう
好きなアロマや香りグッズを使う
ラベンダーや柑橘系はリラックス、ミント系はリフレッシュに向く
『自分が落ち着く香り』を選ぶのが一番大事
勉強机やカバンに入れておくと手軽に使える
書き出す・人に話す
気持ちを切り替えるには、心の中にある思いを外に出すことも役立ちます。
頭の中でぐるぐる考えているだけだと、モヤモヤが大きくなってしまうことがあります。


言葉にして外に出すと「自分はこんなふうに感じていたんだ」と客観的に見られるようになり、気持ちの整理がしやすくなります。
やり方はシンプルで、ノートに書き出すのもよし、信頼できる人にちょっと話すのもよし。
大事なのは、気持ちをためこまないことです。
ここからは、『書く』と『話す』それぞれの方法を紹介します。
⑧ ノート・スマホに気持ちを書き出す
頭に浮かんでいる不安や悩みをノートやスマホのメモに書く
誰にも見せなくていいので自由に書く
書くことで考えが整理されやすい
『どうしたいか』を一言書くと前向きな行動につながる
短時間で気持ちを外に出せる
⑨ 友達や家族に短く話す
信頼できる人に「今日は疲れた」など一言だけ伝える
「ちょっと落ち込んでる」「うまくいかなかった」「なんかモヤモヤする」などでもOK
無理に長く話す必要はない
話すことで共感が得られ、気持ちが軽くなる
『短く伝える』だけでも効果がある
無理のない範囲でOK
ちょっとしたリセット行動をする
気持ちが切り替えにくいときでも、ちょっとした行動がきっかけになることがあります。
特別な準備はいりません。
温かい飲み物を飲んだり、「まあ、いっか」と声に出してみたり、スマホから少し離れたり…。


ほんの小さな行動でも、心のスイッチを切り替えるきっかけになるのです。
大切なのは『短い時間でもやってみる』こと。
気持ちを大きく変えようとしなくても、リセットのきっかけをつくることが次の一歩につながります。
ここからは、気軽にできるリセット行動の具体例を紹介します。
⑩ 温かい飲み物をゆっくり飲む
ココアやハーブティーなど好きな温かい飲み物を用意する
香りや温かさを感じながらゆっくり飲む
体を内側から温めると緊張がやわらぐ
『飲むこと』に集中すると気分をリセットしやすい
勉強や作業の合間にちょうどいい休憩になる
⑪「まあ、いっか」と声に出してみる
ミスや失敗を思い出したときに「まあ、いっか」と声に出す
友達とのちょっとしたすれ違いなど、気にしすぎてしまうときに口にしてみる
言葉にすることで頭の中のこだわりをゆるめやすい
ネガティブな考えを一時的に手放せる
次の行動に切り替える合図になる
⑫ スマホやPCから離れて目を閉じる(デジタルデトックス)
スマホやタブレット、PCの電源をOFFにする
1〜2分でもいいので目を閉じる
情報から離れることで脳が休まる
目を閉じるだけでも『切り替えの合図』になる
少しの時間でも効果あり
毎日の習慣で気持ちを切り替えやすくするコツ
その場でできる気分転換も大切ですが、日々の生活習慣を工夫することで、気持ちを切り替えやすくする土台をつくることもできます。
ちょっとした考え方の工夫や生活のリズム、好きなことに集中する時間…。
こうした小さな積み重ねが、落ち込んだときに立ち直る力につながります。
『気持ちの切り替え』は一度で完璧にできるものではありません。
でも、毎日の中で意識できることを少しずつ取り入れていけば、自然と前向きになれる場面が増えていくはずです。
ここからは、気持ちを切り替えやすくするための習慣のコツを紹介します。
考え方のクセに気づく
気持ちを切り替えにくくする原因のひとつが、考え方のクセです。
「どうせ自分なんて」「絶対に完璧じゃないとダメ」といった思い込みにとらわれると、落ち込みやすくなります。
でも、自分の考え方のクセに気づくことができれば、それだけで気持ちが少し軽くなることもあります。
たとえば
その日の出来事と『そのときの気持ち』をノートに書き出してみる
ネガティブな考えが浮かんだときに「本当にそうかな?」と立ち止まってみる
同じような考えが繰り返されていないかチェックしてみる



大事なのは、考え方をすぐに変えることではなく、まずは気づくことから始めることです
小さな成功を振り返る
気持ちを切り替える力を育てるには、できたことに目を向ける習慣が役立ちます。
『できなかったこと』『まだ足りないこと』ばかりに意識が向くと、落ち込みやすくなってしまいがちです。
でも、小さな成功を振り返ることで『自分にもできることがある』という感覚を持ちやすくなります。
その積み重ねが、自信や前向きな気持ちにつながるのです。
たとえば
宿題を予定通りに終わらせた
苦手な教科の問題を1問だけ解けた
朝、昨日より少し早く起きられた
部活で昨日より長く走れた
ほんのささいなことでもかまいません。



『できたこと』に目を向けるようにすると、少しずつ気持ちを切り替えやすくなっていきます
感情に名前をつける
気持ちを切り替える工夫のひとつに、感情に名前をつけるという方法があります。
ここでいう『名前をつける』とは、モヤモヤした気持ちをただ抱えたままにせず、感情を表す言葉に置き換えてみることです。
そうすることで気持ちを客観的に見られるようになり、切り替えやすくなります。
たとえば
ネガティブな気持ち:不安・イライラ・さみしい・落ち込む・あせる・ゆううつ
あいまいな気持ち:何か違う・どうすればいいかわからない・どうにもならない・むなしい
もし言葉にしにくければ、数字で表してみるのもOKです。
「今の不安度は10点満点中で6くらい」といった具合にスケールで示すだけでも、気持ちを客観的にとらえやすくなります。



言葉や数字で自分の感情をラベルづけすることで、「この気持ちはずっと続くわけじゃない」と思え、気持ちの切り替えにつながります
生活リズムを整える
気持ちを切り替えやすくするためには、毎日の生活リズムも大事なポイントです。
睡眠不足や食事の乱れ、体を動かさない生活が続くと、気持ちが落ち込みやすくなったり、モヤモヤが長引いたりしやすくなります。
逆に、しっかり眠って体を休めたり、バランスのよい食事をとったり、体を動かしたりすると、心の安定につながります。
といっても「全部完璧にやらなきゃ」と思う必要はありません。
いつもより少し早めに寝る
朝ごはんを食べてから出かける
学校や家で軽く体を動かす
そんな小さな工夫だけでも、気持ちを切り替える土台が整っていきます。
好きな世界に没頭する(推し活や趣味)
気持ちを切り替えるには、自分の好きなことに集中する時間を持つのもおすすめです。
推し活や趣味に没頭しているとき、余計なことを考えずに夢中になれますよね。
その時間は、モヤモヤや不安から自然に気持ちを離すことができる『心の充電時間』になります。
たとえば
絵を描く
ゲームの世界で冒険する
好きなアニメやアイドルの動画を観る
物語や音楽に浸る
友達と推しについて語り合う



好きなことに没頭していると、それが自然と気持ちの切り替えになります
イラストや絵を描く
ノートやスケッチブック、スマホなどに自由に描く
上手さにこだわらず『落書き』感覚で描いてOK
描くことに集中すればモヤモヤを忘れやすい
完成度より『描いている時間』を楽しむことが大事
ゲームの世界で冒険する
好きなゲームを短時間プレイする
ストーリーやミッションに集中してみる
現実とはちがう世界での達成感が自信につながる
時間を区切って楽しむと切り替えがスムーズ
好きなアニメやアイドルの動画を見る
YouTubeや配信サービスでお気に入りの動画を観る
『この時間だけ観る』と決める
推しの存在が勇気や元気をくれる
動画を観る時間を区切ることで、切り替えやすくなる
小説やマンガの世界に浸る
好きな小説やマンガを読む
ストーリーに集中してみる
物語の世界に没頭することで一時的に現実の悩みから離れられる
読み終わったあとに気分がリフレッシュしやすい
友達と「推し」について語り合う
学校やSNSで友達と推しの話をする
『好きなシーン・一番の推しポイント』を共有する
好きなものを語り合う楽しさがポジティブな気持ちを生む
共感し合える仲間との会話は安心感にもつながる
気持ちを切り替えて“やる気”を取り戻すには?
気持ちを切り替えることは、落ち込んだ気分から立ち直るだけではありません。
そこから『やる気』や『集中力』を取り戻すことにもつながります。
中高生にとって、学校生活の中には、うまくいかなくて落ち込む場面がたくさんありますよね。
テストで思ったより点数が取れなかったり、部活や大会で失敗してしまったり、進路のことを考えて不安になったり…。


そんなときに気持ちをうまく切り替えることができれば、「次はこうしよう」と前向きな行動に移れるようになります。
ここからは、勉強・部活・進路の3つの場面を例に、気持ちを切り替えてやる気を取り戻すコツを紹介します。
テストや勉強で落ち込んだとき
テストで思ったような点数が取れなかったとき



なんで自分はできないんだろう
と落ち込んでしまうこと、ありますよね。
そんなときに大事なのは、『できなかった部分』だけに目を向けないことです。
『できたところ』と『できなかったところ』を分けて考えるだけでも、気持ちの切り替えにつながります。
たとえば
できた部分:自分の力になっていると捉える
できなかった部分:次に工夫するための材料と考える
例:復習の時間を少し増やす・見直しのやり方を工夫する



この視点を持つだけで、結果が良くなかったテストは『失敗』ではなく成長のヒントになります
部活や大会でうまくいかなかったとき
試合や大会で思うような結果が出なかったとき、「自分のせいで負けた」「なんであんなミスをしたんだろう」と落ち込んでしまうこともありますよね。
悔しい気持ちがあるのは、それだけ一生懸命に取り組んできた証拠です。
失敗やうまくいかなかった経験も、次に向けてのヒントになります。
たとえば
緊張で力を出せなかった → 練習のときに試合をイメージしてみる
ミスが続いた → 基本の動きを繰り返し確認する
思うように走れなかった → 体調管理や準備の仕方を見直す



悔しさを消すことはできなくても、「次はこうしよう」と考えられれば、それが成長につながります
進路や将来に不安を感じたとき



自分はこの先どうなるんだろう



進路を決めなきゃいけないけどわからない
そんなふうに将来のことを考えて、不安でいっぱいになることもありますよね。


不安をなくそうとするよりも、まずは頭の中を整理することが大切です。
思っていることを書き出してみると、『何が不安なのか』『どこから手をつければいいのか』が少しずつ見えてきま
そして、今すぐできる小さなことに集中してみましょう。
興味のあることを調べてみる
得意な科目や好きな分野を振り返る
学校の先生や家族に話してみる
不安を一人で抱え込む必要はありません。



悔しさを消すことはできなくても、「次はこうしよう」と考えられれば、それが成長につながります
やってみたい『切り替えスイッチ』にチェックしてみよう!
- 【体を動かす系】
-
5分だけストレッチや軽い筋トレをする
太陽の光を浴びながら、少しだけ外を散歩する
机の上だけなど、小さな範囲を片付けてみる - 【心を落ち着けてリセット系】
-
窓を開けて、新鮮な空気をゆっくり深呼吸する
「3秒吸って、6秒吐く」腹式呼吸を試してみる
温かい飲み物を、香りを楽しみながらゆっくり飲む
好きな音楽を「1曲だけ」と決めて聴いてみる
ハンドクリームなど、お気に入りの香りをかいでみる
スマホから少し離れて、1分間だけ目を閉じてみる - 【気持ちを外に出す系】
-
ノートやスマホのメモに、今の気持ちを書き出してみる
信頼できる人に「ちょっと疲れた」と短く話してみる
小さな声で「まあ、いっか」とつぶやいてみる
今の気持ちに「不安」「イライラ」など名前をつけてみる
今日できた「小さな成功」を1つだけ思い出してみる - 【好きな世界系】
-
イラストや好きなキャラクターの落書きをする
好きなゲームを時間を決めてプレイする
推しのアニメやアイドルの動画を1本だけ観る
好きな小説やマンガの世界に少しだけ浸る
友達と『推し』についてメッセージを送り合う
いくつチェックがつきましたか?
一番やってみたいと思ったものを、次に気持ちがモヤモヤした時に、ぜひ試してみてください。
あなただけの最高の『切り替えスイッチ』が、きっと見つかりますように。
ついやりがち…逆効果になるNGな切り替え方5つ
ここまで、気持ちを切り替えるための方法を紹介してきました。
きっとみなさんの中にも『自分なりの切り替え方』を持っていると思います。
でも、切り替え方法の中には、一時的には気がまぎれるけれど、あとから逆に気分を悪化させてしまうものもあります。
やっているときはラクでも、終わったあとに余計に落ち込んだり、疲れてしまったり…。
ここからは、ついやりがちなNG行動を5つ紹介します。


「これをやらないようにしよう」と思うよりも、「逆効果になりやすい方法もあるんだ」と知っておくことが大切です。
NG① 自分や他人を責める
気持ちを切り替えたいときに、「自分はダメだ」「あの人のせいだ」と自分や他人を責めてしまうことはありませんか?
自分を責めると、一瞬「反省している」気がして、なんとなく前に進んでいるような感覚になるかもしれません。
他人のせいにすると、「自分は悪くない」と思えて少しラクになったように感じることもあるでしょう。
でも、どちらも逆効果になってしまうことも。
自分を責めすぎると →自信を失って次の挑戦がこわくなる
他人を責めすぎると→信頼関係が壊れて孤立しやすくなる
ここで大事なのは、反省と自己否定を区別することです。



「次はこうしてみよう」と考えるのは反省
「自分はダメな人間だ」と決めつけるのは自己否定
反省は次につなげる力になりますが、自己否定は気持ちをさらに落ち込ませてしまいます。
NG② SNSやゲームに逃げすぎる
SNSを見たりゲームをしたりすると、一時的には気分がまぎれることがあります。
楽しい気持ちになれたり、嫌なことを忘れられたりしますよね。
でも、気づいたら長時間スマホを触っていたり、夜更かししてしまったり…。
そんなふうに現実から逃げるようにSNSやゲームにのめり込むと、逆に気持ちが切り替えにくくなることがあります。
睡眠不足になって、次の日さらに落ち込みやすくなる
「またやりすぎた…」と自己嫌悪につながる
本当の解決にはつながらない
SNSやゲームそのものが悪いわけではありません。



使い方次第で『気分転換』にも『逆効果』にもなることを覚えておくといいですね
NG③ SNSでネガティブ発信を続ける
気持ちがしんどいときに、「つらい」「もうイヤだ」とSNSに書きたくなることもありますよね。
誰かから「わかるよ」「大丈夫?」と反応をもらえると、少し気持ちが軽くなることもあるでしょう。
共感してもらえることは、確かに心の支えになります。
でも、ネガティブな発信を続けていると…
自分の中でもネガティブな気持ちが強まりやすい
見ている人も疲れてしまって、だんだん反応が薄くなっていく
人間関係のトラブルにつながる可能性がある
つまり、発信することで『切り替えられる』どころか、ネガティブな感情を固定してしまうことがあるんです。
「誰かに気持ちをわかってほしい」と思うのは自然なこと。



だからこそ、SNSに書くよりも、信頼できる人に直接話す方が、気持ちを整理しやすいこともあります
NG④ 暴飲暴食や夜ふかしに走る
イライラしたときに甘いものを食べすぎたり、動画を見て夜ふかししてしまったり…。
甘いものを食べると一瞬幸せな気持ちになれる。
夜ふかししている間は、明日のことを考えなくていい。
そのときは気がまぎれても、あとで体調を崩したり、罪悪感で余計に落ち込んだりすることがあります。
食べすぎ → 胃が重くなって気分が悪くなる
夜ふかし → 翌日の授業や部活に集中できない
その結果 → また自己嫌悪につながる
つまり、その場しのぎで気持ちをまぎらわせても、後で逆効果になることが多いのです。



気持ちを切り替えるためには、むしろ『生活リズムを崩さないこと』が大切な土台になります
NG⑤「忘れよう」と無理に抑える
嫌なことがあったときに、「忘れよう」「考えないようにしよう」と無理に抑えようとしたことはありませんか?
実は、人は「考えないようにしよう」と思えば思うほど、そのことが頭に浮かんでしまうと言われています。
心理学者のダニエル・ウェグナーが行ったシロクマ実験で、「白いクマのことは考えないで」と言われた人ほど、逆に白いクマを思い浮かべてしまったそうです。
感情も同じで、無理に抑え込もうとすると、かえって強く意識してしまいます。



大切なのは『考えないようにする』ことではなく、一度気持ちを認めてから、少し距離を置くことです
メモに書き出したり、深呼吸をして「いったん置いておこう」と区切りをつけたりすると、切り替えやすくなります。
Q&A|気持ちを切り替えたいときによくある疑問
- テストで失敗して落ち込んだとき、どう切り替えればいいですか?
-
テストで思うような点数が取れないと、自分を責めたくなりますよね。
そんなときは、失敗を『次につなげる材料』として整理すると気持ちを切り替えやすくなります。【ステップ1】まずは間違えた問題を見直し、「なぜできなかったのか」を整理する
【ステップ2】そのうえで「次のテストでは、この単元だけを重点的に復習しよう」といった小さな目標を決めるこうして小さな一歩に落とし込むことで、「自分にもできることがある」と前向きな気持ちを取り戻せます。
詳しくはこちらで説明しています。
テストや勉強で落ち込んだとき - 友達関係でイヤなことがあったときはどうすればいい?
-
友達とのすれ違いや気まずさは、誰にでも起こるものです。
そんなときは『話す・距離をとる・好きなことをする』の3つを意識してみましょう。信頼できる人に「実はちょっとイヤなことがあった」と話してみる
一旦距離をとって、自分の気持ちを落ち着ける時間を持つ
好きな音楽や趣味に没頭して気分をリセットする「すぐに解決しなきゃ」と思わなくても大丈夫。
時間をかけて整理することで、自然と前向きになれることもあります。 - やる気が出ないとき、どう切り替えたらいいですか?
-
「やる気が出ないから何もできない」と思うと、ますます気持ちが重くなってしまいますよね。
そんなときは『小さな行動』でスイッチを入れるのが効果的です。「5分だけやってみよう」と時間を区切って行動する
机の上を片付けて、気分をリセットする
好きな音楽を流して気持ちを整えるやる気は待つものではなく、行動の中で生まれるもの。小さな一歩を踏み出すことで、自然と気持ちを切り替えられるようになります。
詳しくはこちらをご覧ください。
気持ちを切り替えて“やる気”を取り戻すには? - SNSのことが気になって切り替えられないのですが…
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SNSは楽しいけれど、気にしすぎると気持ちの切り替えが難しくなることもあります。
そんなときは『距離をつくる工夫』をしてみましょう。使う時間をあらかじめ決めておく
スマホを別の部屋に置いて、強制的に距離をとる「見ないようにしなきゃ」と思うほど、かえって頭から離れなくなるものです。
だからこそ、環境を工夫して自然に距離をつくることが大切です。
少しの時間でもSNSから離れることで、気分がリセットされやすくなります。詳しくはこちらで解説しています。
NG②SNSやゲームに逃げすぎる - どうしても切り替えられないときは?
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どんな方法を試しても気持ちを切り替えられないときは、一人で抱え込まないことが大切です。
信頼できる先生やスクールカウンセラーに相談したり、家族や友達に話してみたりすることで、気持ちが少しずつ整理されることもあります。もし近くに相談できる人がいない場合は、電話やチャットで相談できる外部窓口もあります。
子ども家庭庁|子どもの相談窓口一覧
まとめ|自分に合った「切り替えスイッチ」を見つけよう
ここまで、気持ちを切り替えるとはどういうことか、なぜ大事なのか、そしてうまくいかない原因や対処法について紹介してきました。
さらに、すぐに実践できる方法や、毎日の習慣づくりのコツも具体的に見てきました。
気持ちを切り替える方法は、ひとつではありません。
体を動かしたり、呼吸を整えたり、好きなことに没頭したり…方法はいくつもあります。
大切なのは『自分に合った切り替え方』を見つけることです。
友達に効果がある方法でも、自分にはピンとこないこともあります。
逆に「これならできそう」と思える小さな工夫が、自分の気持ちを楽にしてくれることもあるでしょう。
落ち込んだときに無理やり元気になろうとする必要はありません。
焦らず、少しずつ試していく中で「これが自分のスイッチだ」と思える習慣を見つけていきましょう。
【この記事のポイント】
気持ちを切り替えるとは『無理に忘れる』ことではなく、気持ちを整理して次につなげること
切り替えられないときは、考え方のクセや生活リズムの乱れが原因になることがある
短時間でできる気分転換(ストレッチ・深呼吸・音楽など)は効果的
毎日の小さな習慣(成功を振り返る・感情に名前をつける)が切り替えやすさにつながる
自分に合った「切り替えスイッチ」を探すことが大事
【ID学園】気持ちの切り替えを支える3つのサポート
気持ちを切り替える工夫はいろいろありますが、一人でがんばるのには限界があります。
ときには「誰かに支えてもらいたい」と感じることもあるでしょう。
ID学園では、生徒が落ち込みやモヤモヤを抱えたときに、そばで大人が支える体制を整えています。
① 相談できる人とのつながり:メンタルサポート
落ち込んだ気持ちを一人で抱え込むと、なかなか切り替えることができません。
ID学園では、キャンパスの先生やスクールカウンセラーなど、そばで話を聞いてくれる大人がいます。
安心して気持ちを打ち明けられる相手がいることで、心が少し軽くなり、前向きな一歩を踏み出しやすくなります。
② 学び直しを支える仕組み:学習サポート
勉強でつまずいたままでは気持ちも切り替えにくいものです。
ID学園では、一人ひとりに合わせた学習計画やサポート体制があり、もう一度やり直せる環境が整っています。
学びを積み重ねられる実感が、「次はできるかも」という前向きな気持ちへの切り替えにつながります。
③ 未来への安心感:進路サポート
将来が見えない不安は、気持ちを切り替える妨げになりがちです。
ID学園では、進路相談やキャリア教育を通して、自分の未来を考えられる機会を用意しています。
「やりたいことがある」「次の挑戦が見えてきた」と思えることで、不安から希望へと気持ちを切り替えやすくなるのです。










