本日のID学園高校のSDGs授業では、途上国開発の総合コンサルタントをされている沖田広希様をゲストにお招きし、
SDGs特別講演を行っていただきました。
沖田様は東京大学大学院在学中にインドネシアのカリマンタン島に住み、
パームオイルプランテーションの拡大と人々の生活変容について数年にわたり現地調査されたご経験があります。
今回の特別講演では、その現地調査で目の当たりにした内容や、お考えになられたことなどを写真を交えてお話いただきました。
(zoomを使用してリモートにてご参加いただきました。通信型コースの生徒もオンライン参加しました)
沖田様のお話では、パームオイルプランテーションの問題は、SDGs項目の
・12 つくる責任 つかう責任
・13 気候変動に具体的な対策を
・15 陸の豊かさを守ろう
・17 パートナーシップで目標を達成しよう
に関連するとのこと。
(沖田様資料より内容を一部表記)
パームオイルプランテーションの拡大により、従来カリマンタン島で行われていた持続可能な焼畑農業が衰退し、生態系が脅かされていることや、共同体の中での経済格差・貧富の差が拡大したこと、民族としてのアイデンティティを失いかけていること、生計活動の単一化、森林が減少し、資源へのアクセスが限定されたことなどが課題として挙げられました。
その一方で、パームオイルプランテーションの存在はすべてネガティブなわけではないと沖田様はいいます。
例えばパームオイルプランテーションが拡大することで村人の現金収入の増加、道路や水道など基礎的なインフラの発展、インターネットへアクセスできるようになったこと、村に学校ができて子どもの教育機会が広がったことなどプラス面もあるとおっしゃられました。
パームオイルプランテーションは、持続可能な生活を脅かし環境破壊にもつながる一方、人々の経済発展にもなり、実際パームオイルプランテーションがなくなると、現地の村人たちは生活できなくなると言われています。
そして沖田様は最後に、
「“どうやったら自然環境面や社会面に負の影響を与えずに開発ができるのだろうか。
先進国だけでなくて途上国も、都市だけではなくて地方も、
世界のあらゆる人々が豊かに生きるためにはどのようにしたらいいのだろうか“ということを考え、
“日本と世界が協力しながら問題を解決できる仕事がしたい”と思い、
現在のコンサルタントという仕事を選択しました」
とお話されました。
また、物事は聞いただけでは分からないことや違う側面がたくさんあること、
皆さんも、旅をして、人と出会って、自然と触れて、視野を広げてみてくださいというアドバイスもいただきました。
実際に現地に行き現地の方とのふれあいで見えてくること。
物事を多面的に見る、様々な視点を持つことの大切さを学んだSDGs特別授業。
明日から夏休みを迎える生徒たちへのエールとなる講演となりました。
沖田様ありがとうございました。