ID学園高等学校

【見本つき】高校生の探究学習レポートの書き方|構成や引用を徹底解説

「探究学習のレポート、何からどう書けばいいんだろう…」
「調べたものをまとめて、最後にわかったことや感想を書けばいいの?」
「“レポートの流れ”を意識しろって言うけど、どういうこと?」

レポートの課題が出たとき、何から手をつければいいかわからないと、考えるだけで疲れてしまい、やる気もなくなってしまいますよね。

でも大丈夫。
この記事では、「何を書けばいいか分からない」をゼロにするために、序論・本論・結論それぞれの書き方をお手本つきで丁寧に解説しています。
あなたは、こちらの問いかけに答えていくだけ。
気づけば、自然とレポートが形になっていきます。

それでは、一緒にレポートを完成させていきましょう!

【この記事でできるようになること】

探究レポートの「型」に沿って書けるようになる(序論・本論・結論)
手本に沿って、スラスラ書き進められるようになる
正しい引用の仕方がわかり、著作権も意識できるようになる
テンプレートを使って、構成に悩まず書き出せるようになる

もう悩まない!「どう書けばいい?」は“真似”で解決

「レポートを書くのが苦手!」という人は多いですよね。

実際、いざ書こうとすると手が止まってしまう。
その一番の理由は、「どうやって完成させればいいのか」という具体的な手順がわからないことです。

「調べてまとめる」は何となくわかっても、どんな表現を使えばいいのか、何をどこまで書けばいいのか…。
書く前にイメージが湧かないからこそ、難しく感じてしまうんです。

そこでこの記事では、あなたが最後まで迷わず、楽しく学べるように、二人のナビゲーターを用意しました。

【登場人物の紹介】

アカリ先輩(高校2年生)
昨年、探究学習を経験し、レポート作成のコツをつかんでいる高校2年生
難しい専門用語を、わかりやすく翻訳してくれる優しい先輩

ユウキくん(高校1年生)
探究学習のレポート課題に頭を悩ませる、ごく普通の高校1年生
「何からやればいい?」「それってどういう意味?」という疑問を代弁してくれる
少しやる気がないように見えつつも、ちゃんとやり遂げたい気持ちはある

この記事では、ユウキくんがアカリ先輩に教わりながら、少しずつレポートの書き方をマスターしていきます。
あなたもユウキくんと一緒に、アカリ先輩からコツを教わっているような気持ちで、読み進めてみてください。

ではさっそく、レポート作成を始めましょう!

まずはこれだけ!レポートは「序論・本論・結論」の3段構造

ユウキくん

アカリ先輩、よろしくお願いします!

ユウキくん

…とは言ったものの、やっぱり何から手をつければいいのか…。
レポートって、そもそもどういう順番で書くものなんですか?

アカリ先輩

うんうん、そこからだよね!大丈夫、難しく考えなくてOK。

アカリ先輩

どんなに長くて立派なレポートも、実はたった3つのパーツでできてるんだ。それが、序論・本論・結論だよ。

ユウキくん

序論・本論・結論…
よく聞く言葉ですけど、それぞれ何を書くんですか?

アカリ先輩

映画にたとえるとわかりやすいかな。

序論】映画の「予告編」。これからどんな話が始まるのか、見どころを紹介するパート。
本論】映画の「本編」そのもの。調査したことや、そこから考えたことをたっぷり書く、一番の見せ場。
結論】映画の「結末」。結局、この話は何が言いたかったのかをまとめる、締めくくりのパート。

アカリ先輩

この3つの順番で書くのが、レポートの基本的な「なんだよ。

レポートは序論・本論・結論」という型に沿って書くのが基本です。
これから各パーツの役割を詳しく見ていきますが、まずはこの「予告編→本編→結末」という大きな流れだけを、頭に入れておきましょう。

【お手本つき】一緒にレポートの書き方をマスターしよう!

アカリ先輩

この記事では、「序論・本論・結論」という3つのパーツの作り方を、お手本を見せながら一つひとつ解説していくから安心してね。

ユウキくん

お手本、ですか?

アカリ先輩

うん!私たちでレポートを1本、今ここで作っていくよ。

アカリ先輩

テーマは、『タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する高校生の意識とそのメリット・デメリット』
動画の倍速視聴とか、ショート動画とか、みんなの身近にあるテーマだから、イメージしやすいでしょ?

ユウキくん

タイパ!
確かに、自分もよく使ってる言葉です。
それなら、何となく考えられそうかも…。

アカリ先輩

でしょ?じゃあ早速、最初のパーツになる「序論(予告編)」の作り方から見ていこう!

ここから、二人が作る「タイパ」レポートが、あなたのお手本になります。
ぜひ、ご自身のテーマと照らし合わせながら、読み進めてみてください。

ステップ1【序論】レポートのつかみを書こう

ここからは、レポート作成の具体的なステップに入ります。

まずは最初のパーツである「序論」。
序論は、あなたのレポートを読者が最初に目にする、いわば「顔」の部分です。
ここで読者の心をつかむことで、この後の本論もスムーズに読み進めてもらえます。

序論は3つの部品で組み立てる

ユウキくん

序論が「予告編」なのはわかったんですけど、じゃあ具体的に、予告編って何で構成すればいいんですか?
いきなり「このレポートの目的は…」って書き始めてもいいんですか?

アカリ先輩

良い質問だね!
いきなり目的から入ると、読者は「え、なんで急にその話?」ってなっちゃうんだ。

アカリ先輩

だから、序論はちゃんとした順番で作る必要があるの。
でも安心して。
序論もたった3つの部品でできてるから。

① 背景: なぜ今、このテーマを取り上げるのか?(現状や事実)
② 問題提起: その中で、どんな疑問や問題があるのか?(具体的な疑問)
③ 目的: このレポートで、何を明らかにしたいのか?(レポートのゴール)

ユウキくん

へぇー、序論も分解できるんですね!

アカリ先輩

そうだよ!
この背景→問題提起→目的」っていう順番は、レポートを論理的に見せるための黄金ルールなんだ。

アカリ先輩

この順番を守るだけで、「お、このレポートはちゃんとしてそうだな」って思ってもらえるから、絶対に覚えよう!

【実演】「タイパ」レポートの序論はこう書く!

ユウキくん

なるほど…。
理屈はわかったんですけど、いざ自分のテーマで書くとなると、やっぱり難しそうです。

アカリ先輩

だよね。
じゃあ、さっそく私たちの「タイパ」レポートで実演してみよう!
このお手本を真似すれば、すぐに書けるようになるから。

① 背景

アカリ先輩

まずは、このテーマの「タイパ」が「最近、どうなっているか」という現状や事実を書くよ。

お手本例文】
近年、私たちの周りではタイムパフォーマンス、通称「タイパ」を重視する風潮が広がりを見せている。
たとえばYouTubeでは倍速視聴が当たり前になり、数十秒のショート動画が人気を集めている。
こうした、短い時間で多くの情報を得ようとする行動は、高校生の間でも日常的なものとなっている。

② 問題提起

アカリ先輩

次に、その状況を見て、「でも、それってどうなの?」っていう疑問がわいてきたら、それを投げかけよう。

【お手本例文】
一見すると効率的に見えるタイパ重視の行動だが、その一方で「じっくりと物事を味わう経験が失われるのではないか」「情報の表面的な理解に留まってしまうのではないか」といった懸念の声も聞かれる。
果たして、私たち高校生はタイパをどのように捉え、それによって学びにどのような影響が生まれているのだろうか。

③ 目的

アカリ先輩

最後に「だから、このレポートでこれを調べます!」って、ゴールをはっきり示そう!

【お手本例文】
そこで本レポートでは、高校生のタイパ意識について調査し、その特徴や傾向を明らかにする。
さらに、そこから得られたメリットとデメリットを考察し、情報との向き合い方についての提言を行うことを目的とする。

ユウキくん

おおっ…!
こうやって見本があると、めちゃくちゃイメージが湧きます!

ユウキくん

3つの部品を順番に並べただけなのに、すごくちゃんとした文章に見える…!

アカリ先輩

でしょ?これが「型」の力なんだ。

【ワークシート】あなたのテーマで序論を書いてみよう

さあ、今度はあなたの番です。
お手本を参考に、ご自身のテーマで序論の内容を考えてみましょう!

難しく考えず、以下の3つの質問に、まずは短い文章で答えてみてください。

あなたのテーマについて、最近の状況や一般的な事実を書いてみよう(背景)
ヒント:「近年、〇〇が問題になっている」「私たちの周りでは、〇〇が当たり前になっている」など

② その状況の中で、あなたが感じた疑問や「なぜ?」と思うことは何ですか?(問題提起)
ヒント:「しかし、〇〇という問題もあるのではないか」「なぜ、〇〇なのだろうか」など

このレポートで、何を明らかにしたいですか?(目的)
ヒント:「そこで本レポートでは、〇〇を明らかにすることを目的とする」など

この3つの質問への答えをつなぎ合わせるだけで、あなたのレポートの序論は、もうほとんど完成です。

ステップ2【本論】レポートのメインを書こう

序論でレポートの「顔」を整えたら、次はいよいよ「本論」の作成です。

本論は、あなたの探究活動で調べたことや、考えたことを具体的に示す、レポートで最もボリュームが大きくなるメインパート。
ここがしっかりしていると、レポート全体の説得力が格段にアップします。

何をどう調べる?|「調査・研究の方法」の書き方

ユウキくん

いよいよ本論ですね!何から書けばいいんですか?

アカリ先輩

うん、本論もいくつかの部品に分かれてるんだ。
まず最初に書くべきなのは、「私は、こんな方法で調査・研究をしました」という宣言だよ。

ユウキくん

調査の方法、ですか?
どうしてそんなのを先に書く必要があるんですか?

アカリ先輩

それはね、このレポートの「信頼性」を高めるためなんだ。
「この調査結果は、ちゃんとした手続きを踏んで得られたものですよ」と最初に示すことで、読者は安心してこの後の話を読み進められるんだよ。

アカリ先輩

アンケート、インタビュー、文献調査、実験…自分がやったことを正直に書けばOK!

客観的な事実を伝えよう!|「結果」の書き方

アカリ先輩

調査方法を書いたら、次はその調査で「何がわかったか」という事実を書く
これが「結果」のパートだよ。

ユウキくん

わかったことを書くんですね!

ユウキくん

じゃあ、「こう調べてみたら、こうだということがわかって、すごいと思いました!」みたいな感じでいいんですか?

アカリ先輩

おっと、ユウキくん、ストップ!そこが一番大事なポイント。
「すごいと思いました!」っていうのは、ユウキくんの「意見」や「感想」だよね。

アカリ先輩

「結果」のパートに書くのは、誰が見ても変わらない「客観的な事実だけなんだ。

ユウキくん

事実だけ…ですか。

アカリ先輩

そう。例えばアンケートを取ったら、「『はい』と答えた人が〇〇人いた」という事実だけを書く。
そこに「この結果は驚きでした」みたいな自分の気持ちは、まだ入れちゃダメ。

アカリ先輩

事実と意見をしっかり分けるのが、良いレポートの鉄則だよ。

アカリ先輩のワンポイントアドバイス

【見やすいグラフを作る3つのコツ】

アンケート結果などは、文章だけで説明するより、グラフを使うと一目でわかってすごく効果的だよ!
Excelやスプレッドシートで作ったグラフを載せるときは、この3つを意識してみてね。

① 必ずタイトルを入れる!
「図1:動画の倍速視聴の経験」のように、「このグラフが何を表しているか」を一言で示そう。

② デザインはシンプルに!
3Dやカラフルすぎる色は避け、伝えたい情報が一番目立つようにしよう。

③ グラフからわかることを一文添える!
グラフの下に「このグラフから、〇〇という傾向が読み取れる」と書き加えるだけで、読者の理解度は格段にアップするよ。

ここで差がつく!|「考察」の書き方

アカリ先輩

事実だけを書いた「結果」の後に、いよいよユウキくんの意見を書くパートがやってくる。
それが考察だよ。

ユウキくん

ここでやっと、自分の考えを書いていいんですね!

アカリ先輩

その通り!
この考察こそが、ユウキくんのレポートの価値を決める、一番の見せ場なんだ。

アカリ先輩

「結果」で示した事実をもとにして、「この事実から、自分はこう考える。なぜなら…」と、自分なりの考えを論理的に展開していく。
ただの感想じゃなくて、「なぜそう言えるのか?」という根拠もセットで示すのがポイントだよ。

【実演】「タイパ」レポートの本論はこう書く!

ユウキくん

事実と意見を分ける…。
頭では分かりますけど、やっぱり難しそう…。

アカリ先輩

大丈夫!これもお手本を見れば一発だよ。
「タイパ」レポートの本論を、実際に見てみよう。

調査・研究の方法

【お手本例文】
筆者の在籍する高校の1年生30名を対象に、タイムパフォーマンス(タイパ)に関する意識調査を行った。
調査期間は2025年〇月〇日から〇月〇日までの期間に実施し、無記名式のGoogleフォームを用いて回答を回収した。

結果

〈お手本例文〉
図1に示す通り、「動画コンテンツを倍速で視聴することがあるか」という問いに対し、「頻繁にある」「時々ある」と答えた生徒は合計で約87%(26名)にのぼった。
ここに「図1:動画の倍速視聴の経験(棒グラフ)」を挿入

また、「タイパを意識しすぎて、楽しめなかった経験があるか」という問いには、40%(12名)が「はい」と回答した(図2)。
ここに「図2:タイパを意識しすぎて楽しめなかった経験(円グラフ)」を挿入

アカリ先輩

ちなみに、質問の内容によってグラフも使い分けてるよ!

アカリ先輩

選択肢が多い「倍速視聴の頻度」は、棒グラフの方が比べやすいし、「はい/いいえ」のシンプルな問いには、円グラフが割合をパッと見せるのにぴったりなんだ。

【お手本例文】
この結果から、多くの高校生にとって、タイパを意識した情報収集が日常化していることがわかる。
これは、学習や部活動で多忙な高校生が、限られた時間の中で効率的に情報を得ようとする、現代的な工夫の一環だと考えられる。

一方で、4割もの生徒がタイパを意識するあまり、コンテンツを純粋に楽しめていないという事実は、見過ごせない問題だと言える。
効率を求めるあまり、本来得られたはずの感動や、じっくり考える機会が失われている可能性がある。

ユウキくん

なるほど…!
結果は本当に「〇〇だった」という事実だけが書いてあって、考察で初めて「これは〇〇と考えられる」って意見を述べてるんですね!

ユウキくん

こうやって分かれていると、すごく理解しやすいです。

【ワークシート】あなたのテーマで本論を書いてみよう

さあ、あなたも書いてみましょう!

レポートで最も重要な、この本論パートを組み立てていきます。
以下の質問に答える形で、情報を整理してみてください。

あなたは、どんな方法で調査・研究をしましたか?(調査・研究の方法)
ヒント:「誰に」「いつ」「どんな方法で」調べたのかを具体的に書こう。

その調査から、どんな事実やデータがわかりましたか?(結果)
ヒント:数字や具体的な事実を、箇条書きで3つほど挙げてみよう。ここでは自分の意見は入れないこと。

その事実から、「なぜそうなったんだろう?」「これはつまり、どういうことだろう?」と考えてみたことを書いてみよう(考察)
ヒント:「この結果から、〇〇ということが考えられる。その理由は…」という形で、根拠とセットで意見を述べよう。

ステップ3【結論】レポートの締めくくりを書こう

いよいよ最後のパーツ、「結論」です。

ここまで来れば、レポートの完成はもう目の前。
結論は、これまで書いてきた序論と本論の内容をまとめる、締めくくりの部分です。

このパーツで絶対にやってはいけないのは、新しい情報を付け加えること
結論はあくまで「まとめ」なので、自信を持って、これまでの内容を整理することに集中しましょう。

結論は2つのパーツでOK!|「要約+課題」

ユウキくん

ついに結論ですか!
結末って聞くと、なんだかすごいことを書かないといけない気がして、緊張します…。

アカリ先輩

大丈夫、大丈夫!
結論こそ、一番シンプルに考えればOKなんだよ。

アカリ先輩

実は、結論もたった2つの部品でできてるの。

① 研究の要約: このレポートで、結局何がわかったの?(本論のまとめ)
② 今後の課題: このレポートではわからなかったことは何?次に何を知りたい?(探究の未来)

ユウキくん

え、それだけでいいんですか?

アカリ先輩

うん!特に大事なのは、①の要約が、序論で立てた「問い」や「目的」に、ちゃんと答える形になっていることなんだ。

アカリ先輩

予告編(序論)」で投げかけた謎を、「結末(結論)」でしっかり回収してあげるイメージだね。
そうすれば、レポート全体に一本の筋が通って、すごくわかりやすくなるんだよ。

【実演】「タイパ」レポートの結論はこう書く!

ユウキくん

序論へのアンサー、ですか。なるほど…。

アカリ先輩

早速「タイパ」レポートの結論を見てみよう。
すごくシンプルにまとめているから、注目してみて。

① 研究の要約

【お手本例文】
本研究では、高校生のタイパ意識に関する調査を実施した。
その結果、多くの生徒が日常的にタイパを意識した行動を取っている実態が明らかとなった。
これは、時間を効率的に使えるというメリットがある一方で、コンテンツを純粋に楽しむ機会を失うというデメリットも含んでいると考えられる。

② 今後の課題

【お手本例文】
今回の調査は、筆者が在籍する高校の生徒のみを対象とした。
そのため、今後は他校の生徒や、保護者世代といったより広い層にも同様の調査を行う必要がある。
世代間の意識の違いを比較することで、このタイパ重視の傾向が現代の若者に特有のものなのかを、さらに深く探っていきたい。

ユウキくん

本当だ!
本論で書いてあったことが、すごく短くまとめられてるだけですね。

ユウキくん

それに、今後の課題って、ただの反省文じゃなくて、「次にやりたいこと」を書くんですね!

アカリ先輩

その通り!
そう書くことで、ユウキくんの探究が「ここで終わりじゃないんだぞ」っていう未来への広がりを見せることができるんだ。
レポートを読み終わったときの印象が、ぐっと良くなるテクニックだよ。

【ワークシート】あなたのレポートを完成させよう

さあ、これが最後のワークシートです!
あなたのレポートを、あなた自身の言葉で締めくくりましょう。

あなたの探究で、結局何が明らかになりましたか?(研究の要約)
ヒント:序論で立てた「問い」に、一言で答えてみよう。本論の「考察」で述べた、あなた自身の考えを短くまとめよう。

次に探究するとしたら、どんなことを調べてみたいですか?(今後の課題)
ヒント:「今回は〇〇だけだったが、次は△△も調査したい」という形で、今回の探究で足りなかったことと、次にできそうなことを書こう。

ここまで書き終えたら、レポートの土台はもう完成したも同然です!

レポートの質が一気にアップ!知っておきたい重要ルール&テクニック

これまでのステップで、レポートの基本的な「型」はマスターできましたね。

しかし、ここから紹介するルールやテクニックを知っていると、あなたのレポートの信頼性と完成度は、さらに何倍にもアップします。
他の人と差がつく、重要なポイントばかりです。

【超重要】盗作は絶対ダメ!「引用」と「参考文献」の正しい書き方

ユウキくん

アカリ先輩、友達が「レポートはコピペでいいんだよ」って言ってたんですけど、本当ですか…?

アカリ先輩

ユウキくん、それだけは絶対にダメ!
それは「コピペ」じゃなくて、「盗作」っていう立派な不正行為なんだ。バレたら、そのレポートは0点になってしまう可能性もある、とても危険なことだよ。

ユウキくん

えー!そうなんですか!
でも、本やネットの情報を参考にしちゃいけないってことですか?

アカリ先輩

もちろん、参考にするのはOK!
むしろ、たくさんの情報を参考にした方が、レポートの深みは増すよ。

アカリ先輩

大事なのは、「これは、私が考えた意見です」「これは、〇〇さんの本からお借りした意見です」という境界線を、はっきり読者に示すことなんだ。
そのためのルールが「引用」と「参考文献」だよ。

ユウキくん

なるほど、勝手に使っちゃうのがダメなんですね。

アカリ先輩

その通り!
ちゃんとルールを守って情報を借りれば、それはユウキくんのレポートの信頼性を上げてくれる、強力な武器になるんだ。

アカリ先輩のワンポイントアドバイス

信頼できる情報源の見分け方

引用する元の情報が「個人の感想」や「ウソ」だったら、レポートとして説得力がなくなっちゃうよね。
情報源を選ぶときは、この3つをチェックしてみよう。

誰が書いたかわかる?
大学の先生(.ac.jp)、政府や市役所(.go.jp)、有名な新聞社や研究機関の名前があるものは信頼度が高いよ。

② いつ書かれたかわかる?
特に科学や社会のテーマは情報が新しくないと意味がないことも。日付が明記されているものを選ぼう。

③ 根拠(データ)は示されている?
「〜だと思う」じゃなくて、「〇〇の調査によると〜」と、客観的なデータに基づいて書かれている記事は信頼できるよ。

図書館の司書さんに「〇〇について調べてるんですけど…」と相談するのも、最強の裏ワザだからね!

アカリ先輩

引用の具体的な書き方は、文の途中にカギカッコで入れたり、長い場合は段落全体を引用したり、いろいろな方法があるんだ。

【引用の例文】
探究学習について、文部科学省の資料では「実社会との関わりを重視し,身近な地域や現実の社会にある問題の解決に向けて取り組む総合的な探究の時間を行うことが大切となる」と述べられている。
(文部科学省, 2023)

アカリ先輩

そして、レポートの最後に「参考文献」というページを作って、参考にした本やWebサイトの情報を、リストにしてまとめて書くんだ。

【参考文献の書き方例】
・文部科学省(2023)『高等学校を中心とした「総合的な探究の時間」の指導の手引き』
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/20230522-mxt_kyouiku_soutantebiki02_1.pdf  2025年○月○○日閲覧)

ユウキくん

なるほどー!こうやって書けば、ちゃんと敬意を払いつつ、自分のレポートの説得力も上げられるんですね!

ユウキくん

でもアカリ先輩、参考文献のURLって、書くんですか?
なんだかすごく長くなるし、見た目がゴチャゴチャしちゃう気がして…

アカリ先輩

ユウキくん、良い質問だね!
そう感じるの、すごくよくわかるよ。

アカリ先輩

でもね、Webサイトを参考にした場合、URLは絶対に書かなくちゃダメなんだ。
むしろ、URLがないと参考文献の意味がなくなっちゃうくらい、大事なものだよ。

ユウキくん

ええっ、そんなに大事なんですか!?

アカリ先輩

うん。考えてみて。
本の参考文献には「どの出版社から出た、何ていう本か」を書くでしょ?

アカリ先輩

WebサイトにとってのURLは、その「インターネット上の住所」みたいなものなんだ。

ユウキくん

住所、ですか。

アカリ先輩

そう!この「住所」を書いておかないと、レポートを読んだ先生や友達が、「この情報、もっと詳しく知りたいな」と思っても、元のページにたどり着けないんだ。
それはすごく不親切だし、ユウキくんのレポートの信頼性もガクンと下がっちゃう。

アカリ先輩

そして、一緒に書いた「閲覧日」は、「私は、この日に、この住所で、この情報を見ました!」っていう、アリバイみたいなものかな。

ユウキくん

URLは「住所」で、アクセス日は「アリバイ」!
そう考えると、絶対に必要だってことがよくわかりました!

【あるある】高校生がやりがちな「惜しいレポート」7つのパターン

ここでは、多くの高校生が陥りがちな「惜しい!」レポートのパターンを7つ紹介します。

これを知っておけば、あなたのレポートが「ただの調べ学習」で終わるのを防ぐことができます。
自分のレポートが当てはまっていないか、チェックリストとして使ってみてください。

パターン① テーマが壮大すぎる

惜しい例:「地球温暖化を解決する方法」

なぜ惜しい?
テーマが大きすぎて、何から調べればいいかわからず、結局ネットの受け売り情報をまとめただけで終わってしまう。

改善策】
「私たちの学校でできるエコ活動の効果」のように、主語を「自分」や「自分の学校」にして、調査可能なサイズまでテーマを絞ろう!

パターン② 調べ学習で終わっている

惜しい例:事実の羅列だけで、書き手の意見や考え(考察)が全く見られない

なぜ惜しい?
先生が一番見たいのは、あなたが「どう考えたか」。事実だけでは評価が難しい。

改善策】
「結果(事実)」と「考察(意見)」のパートをしっかり分け、「この事実から、自分はこう考える」という主張を、根拠と共に述べよう!

パターン③ 「問い」が「質問」になっている

惜しい例:「少子化は進んでいますか?」

なぜ惜しい?
Yes/Noで答えが出てしまい、探究が深まらない。

改善策】
「なぜ少子化は進むのか?」「どうすれば若者が結婚したくなる社会になるか?」のように、「なぜ?」「どうすれば?」を使い、簡単に答えが出ない「問い」を立てよう!

パターン④ ただの感想文になっている

惜しい例:「〜を調べて、すごいと思いました」

なぜ惜しい?
「すごい」の根拠となる客観的なデータがなく、説得力に欠ける。

改善策】
「アンケートで8割が支持したから、すごいと思った」のように、感情(すごい)と事実(データ)をセットで語る癖をつけよう!

パターン⑤ 図やグラフが不親切

惜しい例:タイトルや説明がなく、グラフだけがポツンと貼られている

なぜ惜しい?
読者が「このグラフは何を表しているの?」と混乱してしまう。

改善策】
「図1:クラスの男女比」のようなタイトルと、「このグラフから〇〇がわかる」という短い説明文を必ず添えよう!

パターン⑥ 引用と参考文献のルールを無視している

惜しい例:出典を書かずに、ネットの文章をそのまま使っている

なぜ惜しい?
「盗作」という不正行為にあたる。レポートの信頼性もゼロになる。

改善策】
他人の文章やデータを使った場合は、必ずルールに沿って「引用」し、レポートの最後に「参考文献」リストを載せよう!

パターン⑦ 「今後の課題」がただの反省文

惜しい例:「調査の時間が足りなくて、焦ってしまった」

なぜ惜しい?
個人の反省や感想で終わってしまっている。

改善策】
「今回は〇〇だけだったが、次は△△も調査したい」のように、次の探究への「発展性」を示そう!

AIって使っていいの?|探究レポートでの活用法と注意点

ユウキくん

そういえばアカリ先輩、最近よく聞くChatGPTみたいなAIって、レポート作成に使ってもいいんですか?
なんだか、ズルしてるみたいで…

アカリ先輩

良いところに目をつけたね!
結論から言うと、AIは「賢く使えば、最強の相棒になる」よ。

アカリ先輩

でも、使い方を間違えると、それこそ思考停止の「ズル」になっちゃう。

ユウキくん

最強の相棒…!
どういうことですか?

アカリ先輩

例えば、AIに「レポートを全部書いて」と丸投げするのは、ただのズル。
ユウキくんの力には全くならない。

アカリ先輩

でも、AIを「自分だけの優秀な相談相手」や「壁打ちパートナー」として使うのは、すごく賢い活用法なんだ。

アカリ先輩のワンポイントアドバイス

AIを「相棒」にする、賢い使い方3選

アイデアの壁打ち相手として使う
「『タイパ』をテーマに探究したいんだけど、面白い切り口はない?」と相談すれば、自分では思いつかなかった視点を提案してくれるよ。

② 分かりにくい言葉の翻訳家として使う
難しい論文やニュース記事を貼り付けて、「この記事を、高校生にもわかるように要約して」と頼めば、教えてくれるよ。

③ 構成案のチェック役として使う
自分が考えたレポートの構成を見せて、「この構成で論理的に話が通じるか、アドバイスをください」と頼めば、客観的な視点で弱点を教えてくれるよ。

アカリ先輩

大事なのは、最終的に「考える」のは自分自身だっていうこと。
AIはあくまで、ユウキくんの考えを助けるための道具。
この距離感を間違えなければ、探究の質をぐっと高めてくれるよ!

コピペで使える!探究レポート構成テンプレート

お疲れ様でした!
これまでの解説で、レポートを構成する全てのパーツが揃いましたね。

ここでは、その集大成として、そのまま使える「レポート構成テンプレート」を用意しました。

以下のテンプレートを、WordやGoogleドキュメントに貼り付けて、カッコ内の指示に沿って文章を埋めていくだけで、あなたのレポートの土台が完成します。

何度も読み返したくなる、あなただけの「最強のガイドブック」として、ぜひ活用してください。

ID学園高等学校_コピペで使える!探究レポート構成テンプレート

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探究レポート

タイトル: (あなたのレポートのタイトルをここに書く)

氏名: 〇年〇組 氏名

1.序論(レポートの予告編)

【背景】
(ここに、あなたのテーマの現状や一般的な事実を書く。「近年、〇〇が当たり前になっている」など、読者が「なるほど、そういう状況なのか」と理解できる情報を提示しよう)

【問題提起】
(その現状の中で、あなたが「なぜ?」「どうして?」と感じた疑問を書く。「しかし、〇〇という問題点も指摘されている」「なぜ、〇〇なのだろうか」など、これから何を明らかにするのか、問題の大事なポイントを示そう)

【目的】
(このレポートで、何を明らかにするのか、ゴールをはっきり示す。「そこで本レポートでは、〇〇を調査・分析し、△△を明らかにすることを目的とする」という形が基本)

2. 本論(レポートの本編)

【調査・研究の方法】
(ここに、どんな方法で調べたのかを具体的に書く。「誰に」「いつ」「どんな方法で」調査したのかを明確に記述することで、レポートの信頼性がアップする)

【結果】
(ここに、調査から判明した、客観的な事実やデータだけを書く。あなたの意見や感想は、ここではまだ書かないこと。必要に応じて、図やグラフも活用しよう)

【考察】
(ここに、「結果」で出た事実をもとに、あなたが「どう考えたか」を筋道を立てて説明する。レポートの中でも、いちばん大事な部分。「この結果から〇〇だと考えられる。その理由は△△だからだ」というように、必ず「意見」と「根拠」をセットで述べよう)

3.結論(レポートの結末)

【研究の要約】
(このレポートで、最終的に何が明らかになったのかを短くまとめる。序論で立てた「問い」に、ここでズバリと答えよう。本論の考
察で述べた、あなた自身の考えを要約する)

【今後の課題】
(今回の探究で足りなかったことと、次にできそうなことを書く。「今回は〇〇しか調査できなかったため、今後は△△も調査する必要がある」のように、次に何を探究したいかを述べよう)

4.参考文献

(このレポートを書くにあたって参考にした本、論文、Webサイトなどの情報を、ルールに沿ってリストアップする)

1.(例)文部科学省(2023)『高等学校を中心とした「総合的な探究の時間」の指導の手引き』
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/20230522-mxt_kyouiku_soutantebiki02_1.pdf  2025年○月○○日閲覧)

2. …

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【Q&A】探究レポートの「素朴なギモン」に答えます!

レポートの適切な文字数はどれくらいですか?

まず、学校や先生からの指定がある場合は、必ずそれに従ってください。

特に指定がない場合、一般的には2,000〜4,000字程度(原稿用紙5〜10枚分)が目安となることが多いです。
しかし、最も重要なのは文字数を満たすことよりも、序論・本論・結論の各パートで必要な要素をしっかり記述できているかです。

アンケート調査は何人くらいに実施すればいいですか?

テーマや目的によりますが、例えば、2、3人にしか聞いていないと、それは「あなたの友達の意見」であって、レポートの根拠にするには少し弱いですよね。
調査結果として説得力を持たせるためにも、「クラスの半分以上」など、比較や分析ができる人数を目指しましょう。
自分のクラス全員(30〜40人)を対象にするのは、比較もできておすすめです。

手書きで提出しても問題ないですか?

まずは学校のルールを確認しましょう。
もし選択できるのであれば、パソコンでの作成をおすすめします。

文章の修正や構成の入れ替えが簡単で、図やグラフもきれいに挿入できるため、レポートの質がかなり向上します。
手書きの場合は、第三者が読みやすいよう、丁寧な字で書くことを何よりも優先してください。

レポートを書いている途中に行き詰まったら、どうすればいいですか?

レポート作成で行き詰まるのは、誰にでもある、ごく普通のことです。
一人で抱え込まず、以下の対処法を試してみてください。

人に話す: 先生や友達に現状を話すだけで、頭が整理されたり、思わぬアドバイスがもらえたりします。

一度離れる: 集中できないときは、思い切って1日休みましょう。リフレッシュすることで、新しい視点が生まれることがあります。

原点に戻る: 序論で立てた「問い」や「目的」を再確認し、「自分は一体何を明らかにしたかったんだっけ?」と立ち返ってみましょう。

締切まで時間がない!どう計画すればいいですか?

時間がないと焦りますよね。
そんなときは「締切から逆算」して、大まかな計画を立てるのがおすすめです。

例えば、残り時間が4週間なら、以下のように時間配分を考えてみましょう。

【第1週】 テーマに関する情報収集と、レポート全体の計画づくり
【第2週】 レポートの執筆(序論・本論の結果まで)
【第3週】 考察をじっくり考え、結論を書く
【第4週】 全体を読み返し、推敲・修正と参考文献リストの作成

「計画通りに進まなくても大丈夫!」と割り切って、まずは全体像をつかむことが大切です。

レポートで最も評価されるのは、どんな点ですか?

先生が最も注目するのは、あなたが「どれだけ主体的に考え、試行錯誤したか」というプロセスです。

特に、調べた事実(結果)を踏まえて、自分なりの考え(考察)を筋道を立てて導き出そうと努力している部分が、最も重要な評価ポイントになります。
完璧な答えが出せなくても、粘り強く考え抜いた「足跡」を、レポートで示すことを意識しましょう。

考察の書き方についてはこちら|考察

まとめ|「最後までやり遂げた経験」が一番の自信になる

この記事を読み終えて、少しはレポートが書けそうな気がしてきましたか?
読み始める前の「何から書けばいいか分からない」という不安は、少し軽くなったでしょうか?

レポートを書くには、たくさんのことを考える必要があるので、まだまだ完璧ではないかもしれません。

大変だったと思いますが、この「一つのことを最後までやり遂げようと試みた経験」は、とても価値があります。
筋道を立てて物事を考える力、情報を整理する力、そして計画的に作業を進める力。
これらはすべて、大学入試やその先の社会で必ず役立つスキルです。

難しいことにチャレンジした自分を、たくさん褒めてあげてくださいね。

【ID学園の夢活】仲間と学ぶリアルな体験

ID学園では、生徒が主体的に学ぶ『夢活』を開講しています。

この夢活は、アウトプット中心の活動を通して、社会で役立つ問題発見・解決能力を高めることを目的としています。
自分の興味や関心に合わせて研究テーマを設定し、仲間との議論や発表を重ねながら探究を深めていきます。
作成したレポートやプレゼン資料は、大学入試などで活用できる公式な活動履歴にすることも可能です。

また、同じ興味を持つ仲間と一緒に活動する中で、新しい視点を得たり、自然と交友関係を広げたりできるのも、大きな魅力です。

『夢活』の活動の様子や、先輩たちのリアルな声は、学校説明会で直接お話ししています。
少しでも「面白そう!」と感じたら、気軽に説明会に参加してみてくださいね。

【お役立ちリンク】もっと詳しく知りたいなら、ここもチェック!

レポートの書き方について、「もっと本格的に知りたい」という人は、以下のページも参考にしてみてください。

NHK高校講座「高校生・先生のための探究ガイドブック」
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tanq/assets/20_tanq_guide.pdf

理数教育研究所「レポートの書き方」
https://www.rimse.or.jp/research/pdf/report_chukou.pdf

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